暦では大寒名を成し列島はどこもかしこも冬盛り
冠雪知らず九州ならば冬を知るには空を見る
朝が冷えれば晴れなれどさすがの寒気は身に染みる
青空さんも上着を纏うか白雲をそぞろ引いて曇り空
大陸の空から押し寄せてくる風の冷たさ身に染みて
早くこいこい春の風
それでも日の入り遅くなり日の出も少し早くなる
冠雪知らずの九州なれど冬を知るのは草木共
季節が廻れば一様に冬の女神は蕾に口づけそうして
緋色に白にとそれぞれの草木が持つ色香を届けだす
春の花には到底真似できぬ寒さを忘れる天人の世と
見紛うばかりの芳香を澄んだ風に彩付けて
蝋梅の細工のごとし花びらよ
むせぶほど香り立つか梅の花
其方の残り香は不思議な迄に肌刺す風によく似あう
漱石は斯くの如く句を詠んだ
水仙白く古道顔色を照らしけり
其方の静かな立ち姿を「雅客」と呼ぶのは粋だろう
微かに薫るは艶やかな深緑の葉に散りばめた椿の花
厳寒に耐え毅然と花咲くねえさんたちにあこがれて
春を待つ花たちも密かに蕾を膨らます
裏の土手にたくさん咲いていたからと父が持ってけと手土産に
どこから来たのか宿り主不明のこの花は毎年静かに薫り立つ
誰かに見てもらおうと出しゃばらず唯花咲くことが吾使命だと
身を切るような寒風にわれ負けじと静かに静かに佇んでいる
其方の美麗な立ち姿 花瓶にさして春を待つ
あと暫くの冬を堪えれば暦のうえに春が来る
