皆さん、こんにちは。大津です。


世間は3連休ですね。皆さんはどのようにお過ごしですか?


さて現在発売中の『週刊新潮11月27日号』。


インタビューに応じた記事がp60~に掲載されていることは前回のブログで触れました。


裏表紙から2枚めくったところに、週刊鳥頭ニュースというコーナーがあり、西原理恵子さんの漫画と佐藤優さんの文章が掲載されています。


今回の題は「尊厳死」で、そのことについて佐藤優さんが書かれています。


(以下引用)


父が末期癌の痛みで苦しみ、のたうち回って死んだのを目にしているので、痛みで錯乱状態になることを母はとても恐れていた。そのせいか、「痛みが耐えられない状況になったら、モルヒネを使用して、意識がなくなっても構わない」ということも繰り返し述べていた。


(以上引用)


お父さんのおつらさと、お母さんの気持ちが拝察されます。


このような悲しみを防ぐため、緩和医療は進歩を続けて来ました。


今では適切な症状緩和医療を施せば、痛みでのたうち回ることはまずありません。


あるいは「うちの家族はそうではなかった」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは『大切な人を看取る作法』でも記したように、身の置きどころのなさやせん妄状態に対して、鎮痛薬を中心に対応していたからかもしれません。鎮静薬を用いることで、それらの症状も緩和し得ます。


大切なご家族を、痛みやせん妄、強い倦怠感でのたうち回さなければいけなかった時代、それを背景に、今も「モルヒネで意識をなくしてほしい」という言葉が絶えることはありません。


「あのような苦しみを味わうくらいならモルヒネでいっそ、あるいは安楽死を……」


そのような悲しい誤解を少しでも減らすべく、もっと緩和の担い手も旺盛に発信していかねばならないと考えます。


いつも通り完全に念のために述べておきますが、今はモルヒネだけではない医療用麻薬は末期ではなくても使用するものであり、命を縮めず、意識も一切落とさず、苦痛を取り除くことを可能にする一手段となっています。また最終末期に、痛みだけではなく起こりうる混乱や身の置きどころのなさを鎮静薬で緩和せざるを得ない状況の前までは、意識も正当に保たれます。


また読者の皆さんはご存知のように、緩和医療と安楽死はあまり相性が良くありません。


緩和医療を駆使することで、最後まで苦痛少なく生活して頂いて、できれば生きる意味に包まれながら生を全うして頂くように支援する、これが緩和医療であり、緩和医療は「生」の医療です。希望の医療であり、意味を最後まで支えようとする点で「あきらめの悪い」医療であり、「できることを最後まで探す」医療でもあります。


少しでも正しい情報が届き、また適切な医療を用いて、良い時間を過ごされる方が一人でも増えてほしいと願っております。


それでは皆さん、また。
失礼します。