4月14日(日)に行われたWEリーグ第14節@フクダ電子アリーナ。

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この対戦は第8節:3月3日に行われていて、AC長野2-1千葉Lだった。



千葉Lは3勝4分け6敗で9位、10得点:10位(15失点:5位)。
STATSを見ると、シュート数116本:6位(被116本:4位)、コーナーキック数63本:3位(被52本:5位)と、結構良い数字が並んでいるのだが、星にあまり繋がっていない。

システムはいつもの4-3-3。
GKに30大熊茜選手、CBに14大熊環選手、インサイドHに20北村選手を入れているのが目に付くところ。
4林選手22井上選手の離脱が発表されていている。


AC長野は3勝4分け6敗で10位、13得点:7位(21失点:10位)。
STATS的には、シュート数93本:10位(被136本:9位)、コーナーキック数61本:5位(被71本:12位)と、順位なりの数字になっている。

システムはいつもの4-2-3-1。
バックラインが珍しくて、7三谷選手3岡本選手22奥川選手4長江選手の並びになっている。
5岩下選手がベンチスタート。2奥津選手16鈴木選手の姿が無い。



 

前半、AC長野やや優勢で始まったが、徐々に千葉Lペースになって2点を取る。
後半も、千葉Lがやや優勢に進めてそのまま勝ちきっている。

シュート状況は下図の通り。



 

千葉Lは第7節:1月7日以来の勝ち。
後半追加点を取れれば完勝だったろうが、枠を叩いた惜しいシュートもあった。
全体的に見れば押していたし、守備も危ないところは無し。快勝だと思います。
10鴨川選手も、だいぶ調子を取り戻したようで、「違い」を感じさせるプレーが多く見られた。

ただ、ほとんど高い位置でボールを奪えなかったし、パスも繋がったとは言い難い。
そもそも、今シーズンの千葉Lらしい得点パターンが浮かんでこないのが、この順位に居る理由なのでしょうね。



一方のAC長野は完敗。
プレスがいつもほど積極的では無かったし、行ってもほとんど嵌まらなかった。
また、中盤を小気味よく繋ぐシーンもほとんど無く、良い所が出なかった試合だった。
気温が23.9℃と高く、長野の選手たちにとっては厳しかったのかな?よく戦えたのは試合の入りだけだった。

ただ、今シーズン初先発の4長江選手は良かったと思います。特に後半もよく走って攻め上がり、ボールが来ればチャンスになりそうなポジションを再三取れていたように思います。



では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制。

千葉Lは、マンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。

AC長野は、2-1-4-1(+2)のゾーンディフェンス。



下表に、スタメンを身長順に並べる。



 

千葉Lがかなり有利なマッチアップ関係。


(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.千葉Lのコーナーキック

a)体制

キッカーは10鴨川選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 9大澤選手6蓮輪選手
・正面からファーへ: 5田中選手24城和選手8岸川選手
・GK脇: 14大熊環選手
・ショートコーナー: 17山口選手
・コボレ狙い: 20北村選手
・セーフティー: 2藤代選手

b)結果概要

ポインタはDAZN の時間。

1本目 (12:28 ポインタ21:10) 左CK 10鴨川選手14菊池選手ヘディングクリア。14大熊環選手ファール。
2本目 (21:25 ポインタ30:7) 右CK 10鴨川選手14大熊環選手フリック→9大澤選手シュート。ゴール!!
3本目 (29:32 ポインタ38:14) 右CK 10鴨川選手14菊池選手ヘディングクリア
17山口選手回収・ドリブル・クロス→GK梅村選手キャッチ。
4本目 (45:14+ ポインタ53:56) 左CK 10鴨川選手22奥川選手ヘディングクリア
17山口選手シュート。浮いてGキック。



5本目 (68:0 ポインタ1:32:19) 左CK 10鴨川選手GK梅村選手パンチング
20北村選手シュート→GK梅村選手ファインセーブ。再CK。
6本目 (68:40 ポインタ1:32:59) 右CK 10鴨川選手9大澤選手ヘディングシュート。右へ逸れてGキック。
7本目 (72:5 ポインタ1:36:24) 右CK 10鴨川選手5田中選手ヘディングシュート。浮いてGキック。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

全般的には、ファーポスト前を狙っていて、メインターゲットの8岸川選手5田中選手の強さ・高さを活かそうとしている。
対抗できるのは3岡本選手5岩下選手くらいだから、そこを外せば勝てると言うこと。
後は、10鴨川選手の考え方次第でニアも使う、といった考え方だと思う。

実際得点も入ったし、シュートも多く打てていて、この日の内容は良かったと思う。



2本目 (21:25 ポインタ30:7)で得点が入っている。
GK脇から14大熊環選手がニアサイドへ出てフリック、流れてきたところを9大澤選手が決めたプレー。



動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=LhQ2syMI-EU&t=4s&feature=youtu.be&t=28

結論から言うと、AC長野の守備が甘い。

このプレーでは、以下の様な守備の綻びが見える。
28稲村選手は、9大澤選手を一時的に捕まえているが、誰に引き継ぐこと無く離してしまっている。しかも動いた先の14大熊環選手には、既に4長江選手7三谷選手が対応している。
19安倍選手6蓮輪選手を瞬間捕まえているが、誰に引き継ぐこと無く、簡単にニア側を譲り渡している。
3岡本選手は、フリーの9大澤選手に対して距離を詰めておかなければならなかった。

で、結局14大熊環選手のフリックが流れてきたところで、9大澤選手がフリーだったし、さらにその後ろで6蓮輪選手もフリー。決められるべくして決められたプレーと言える。


ゾーンディフェンスの初級編で留まっているようなプレーであった。
「初級編」とは、決められた位置に立って、ボールに対してのみ反応するような守備。ボールを持たない人に対して全く守備をしない。
身長が互角以上で、極々狭いエリア守ることを前提とする場合は、それが成立する。

だが、例えばバスケで3ポイントシュートを楽々決めるような選手が居れば、ゾーンを広げなければならない。
そうなると、ただ立っているだけでは守れないから、自分の担当エリアに入って来た選手に対し、位置を認識・最適な場所に移動しておかなければならないし、場所とタイミングによっては密着マークもしなければならない。そして、攻撃選手が自分の担当エリアから出ていったら、次に引き渡さなければならない。それが「中級」だが、この日のAC長野はそのレベルまで行っていない。

また、この試合の場合、AC長野は身長で不利なのだから、空中戦になる前に地上戦で優勢になっておかないと基本負ける。
ゾーンディフェンスと言っても、対人要素を濃くしないと守れないはずなのです。



B.AC長野のコーナーキック

a)体制

キッカーは14菊池選手(右利き)8福田選手(左利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 4長江選手22奥川選手
・正面からファーへ: 3岡本選手19安倍選手
・GK脇: 20宮本選手11川船選手
・ショートコーナー: 28稲村選手
・コボレ狙い: -
・セーフティー: 7三谷選手18伊藤め選手

b)結果概要

ポインタはDAZN の時間。

1本目 (15:20 ポインタ24:2) 右CK 14菊池選手4長江選手シュート→9大澤選手ヘディングカット。再CK。
2本目 (15:50 ポインタ24:32) 右CK 14菊池選手18伊藤め選手ミドルシュート。左へ逸れてGキック。
3本目 (36:35 ポインタ45:17) 右CK 14菊池選手5田中選手ヘディングクリア
7三谷選手シュート。浮いてGキック。
4本目 (87:52 ポインタ1:52:11) 左CK 8福田選手5田中選手ヘディング→2藤代選手ヘディング→7小川選手ヘディングクリア
6大久保選手回収→18伊藤め選手22奥川選手6大久保選手クロス→5田中選手ヘディングクリア→25増田選手
3岡本選手回収→8福田選手クロス→4長江選手10鴨川選手クリア。スローイン。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

この日のAC長野は久々にコーナーキックを仕込んできた。

ア)1本目 (15:20 ポインタ24:2)
 

4長江選手がシュートを打ったが、9大澤選手にヘディングでカットされたプレー。



4長江選手が、3岡本選手6蓮輪選手を壁に使って、ニアへ。マークの20北村選手は上手く迂回したが、少し遅れる。
11川船選手8岸川選手の外側でストップ。4長江選手のシュートスペースを確保する。
4長江選手がボールに先着、シュート。枠に飛んだ。

この他にも、22奥川選手2藤代選手を壁に使って、14大熊環選手をセパレートしていて、2箇所でのピックプレ-になっている。


イ)2本目 (15:50 ポインタ24:32)
 

18伊藤め選手がセーフティーの位置から上がって行って、ミドルシュート(クロス?)を打ったプレー

動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=LhQ2syMI-EU&t=7s

よくあるパターンではある(なので図は割愛)が、連続での企画。


ウ)4本目 (87:52 ポインタ1:52:11)

7人で走り込む体勢を作っている。

終盤で選手交代をしているので、守備側としては、マークの対応がややこしい。
ちょっと思うところが有ります。


① 千葉Lが混乱している間に、早く始めたかったですね。
 

② メインターゲットではなく、セットプレーで目立たない選手を使うと、マーク漏れしている可能性もあるので、面白いと思う。
セーフティーの選手を入れ替えるのも、混乱を拡大して面白い。
 

③ 実戦では攻守7組がばらけた状態で始まったが、
もっとPKスポット辺りに密集して、最もファー側の選手が密集をループするか、間を縫うようにしてニアへ出れば、面白かった。
狙い所は、この日の1本目のようなプレー。

当然試合前またはHTでの仕込みが必要だし、両軍のメンバーがどうなっているか分からないので、できるだけ単純なプレーが良い。ここ1本で使って見たら面白いと思う。



以上です。



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ブログ内関連記事

 

目次 1.概要(アメブロ版)

 

2-2 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックA 2015/11/28

2-3 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックB 2015/11/29

2-6 局面的な技術:パターン④ ループ 2015/12/18






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関連記事など、外部リンク

DAZN(有料)
千葉L vs AC長野 : 第14節WEリーグ | 4/14 日曜日
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【公式】ハイライト:ジェフ千葉レディース vs AC長野パルセイロ・レディース【2023-24 WEリーグ 第14節 2024.4.14】
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千葉L_HP
2023-24  WEリーグ 第14節 4.14 SUN 13:00 KICKOFF HOME フクダ電子アリーナ 試合終了 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース 2 0 AC長野パルセイロ・レディース
https://jefunited.co.jp/matches/contents/771

AC長野_HP
2023-24 WEリーグ 第14節 4.14 SUN 13:00KICKOFF VSジェフユナイテッド市原・千葉レディース AWAY フクダ電子アリーナ
https://parceiro.co.jp/ladies/matches/detail/419