現地4月9日(火)に行われた国際親善試合:SheBelieves Cup 3位決定戦@Lower.com Field (Columbus, Ohio)。
JFA-TV(Youtube)
https://www.youtube.com/watch?v=-0Xpoou10MI
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なでしこJAPANはここ数年、ブラジル代表とは勝ったり負けたりの良い勝負を繰り広げている。
昨年12月の親善試合も1勝1敗だった。
なでしこJAPANは、3-4-2-1でスタート。TOP:11田中選手、シャドウ:22浜野選手、ボランチ16林選手、左WB13北川選手が、CBに20古賀選手・12石川選手。先発を入れ替えてスタートしている。
対するブラジルも先発を大きく入れ替えてスタート。
どの程度の本気のメンバーかは判りづらく、五輪の前哨戦としては参考にはならないと考えるべき。
2023W杯、昨年12月の親善試合、3月に行われたCONCACAF W GOLD CUPと比べて見たのですが、非常に多くのメンバーを招集していて、全部に登録されているのは(多分)3人だけ。この中の何人が五輪メンバー入りするか?予想しにくい状況です。
前半、膠着気味で進む。ややブラジル代表が優勢となるが、なでしこJAPANが先制。
後半も、膠着していたが、なでしこJAPANが決定機を逃す中、ブラジル代表が同点に追い付く。
PK戦はGKロレナ選手が3本連続で止めてブラジル代表が勝利している。
ボール支配率: なでしこJAPAN 43%-57% ブラジル代表 (Footystats.org)
シュート状況は下図の通り。
なでしこJAPANは、勝っておかなければならない試合でした。
55分、66分のPK、79分など大チャンスが有って、沈めておけば完勝もあり得た。
GKロレナ選手が大当たりと言うよりも、なでしこJAPANの決定力の問題でしょう。
さて、この後WEリーグ終了後6月以降に強化試合が組まれるかも知れないけれど、パリ五輪本番まで予定されている試合は無い。もう試している期間も場所も無い。
2023W杯のように、「3-4-2-1で低く守ってカウンター」と言うやり方が、現実的なのでしょうね。
強敵相手にもボールを保持して戦うべく、池田監督はこの半年あまり試行錯誤してきけれど、
この遠征を見る限り、前戦で拠点を作れないし、繋いで行っても安定して押し上げられないのですから。
私のメンバー予想は以下の様。
あくまで「池田監督が選びそうな18人」と言う視点で、「私のベストメンバー」ではありません。
また、理由などは書き出すと長くなるので割愛します。
GK:1山下選手、18平尾選手
CB:4熊谷選手、3南選手、20古賀選手、高橋選手(浦和)
WB:2清水選手、5守屋選手、13北川選手
ボランチ:10長野選手、14長谷川選手、16林選手、19谷川選手
シャドウ:7宮澤選手、15藤野選手、17清家選手
TOP:9植木選手、11田中選手
では、いつものようにコーナーキックを見ていく。
(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制。
なでしこJAPANは、マンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。
ブラジル代表は、2-1-4-1(+2)のゾーンディフェンス。
下表に、スタメンを身長順に並べる。
いつものようになでしこJAPANとしては、苦しいマッチアップ関係。
(2)統計
例によって、私が採っているSTATSを紹介します。
2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。
(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー
A.なでしこJAPANのコーナーキック
キッカーは16林選手・14長谷川選手(右利き)13北川選手(左利き)。
a)体制
受け手の体制は、以下のようにして始まっている。
・ニアへ: 11田中選手・12石川選手
・正面からファーへ: 3南選手・20古賀選手
・GK脇: 22浜野選手
・ショートコーナー: 14長谷川選手
・コボレ狙い: 13北川選手・15藤野選手
・セーフティー: 2清水選手
b)結果概要
ポインタは Youtubeの時間。
1本目 (10:49 ポインタ27:50) 左CK 16林選手→11田中選手ヘディングフリック→17ジャケリネ選手→13フェ パレルモ選手→3タルシアーニ選手クリア。スローイン。
2本目 (48:37 ポインタ1:26:8) 右CK 13北川選手→11クリスチアーニ選手クリア。スローイン。
3本目 (55:23 ポインタ1:32:54) 左CK ショートコーナー 16林選手→14長谷川選手→13北川選手→16林選手横断パス→8上野選手→15藤野選手クロス→GKロレナ選手キャッチ。
4本目 (63:23 ポインタ1:40:54) 右CK 13北川選手→3タルシアーニ選手ヘディングクリア→16林選手ヘディング。11クリスチアーニ選手ファール、PK。
5本目 (65:39 ポインタ1:43:10) 左CK 16林選手→GKロレナ選手パンチング→19プリシラ選手クリア⇒2清水選手→(15藤野選手)。スローイン。
6本目 (76:15 ポインタ1:53:46) 右CK 13北川選手→3南選手シュート。左へ外してGキック。
7本目 (89:17 ポインタ2:6:48) 右CK 14長谷川選手→23ライス エステバム選手ヘディング・3南選手ヘディングブロック→3タルシアーニ選手ヘディング→7ルドミラ選手クリア
⇒10長野選手回収→14長谷川選手→10長野選手→17清家選手→10長野選手→(17清家選手)16ヤスミム選手。再CK。
8本目 (90:0 ポインタ2:7:31) 右CK 14長谷川選手→2アントニア選手ヘディング→6タミレス選手→7ルドミラ選手ドリブル・逆襲→3南選手・7ルドミラ選手・7宮澤選手→16ヤスミム選手→23ライス エステバム選手スルーパス→(18ガビ ポルティーリョ選手)5守屋選手→GK山下選手→2アントニア選手ヘディング→3石川選手→15藤野選手・23ライス エステバム選手。スローイン。
c)全般的な印象と特記すべきプレー
受け手側を見ていると、おそらくニアでのタイミング勝負を狙っていたのだろうけれど、1本目以外はキックの精度が悪かったようだった。
ただ、ブラジル代表のゾーンの配置を見ていると、ニア重視で、厚いし高い。
ファーポスト前くらいを狙って、戦力集中すれば勝負になりそうだと、私は思うのだけれど。
B.ブラジル代表のコーナーキック
a)体制
キッカーは10マルタ選手・16ヤスミム選手(左利き)。
受け手の体制は、以下のようにして始まっている。
・ニアへ: 3タルシアーニ選手・11クリスチアーニ選手・14ローレン選手
・正面からファーへ: 13フェ パレルモ選手・17ジャケリネ選手
・GK脇: -
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 8アンジェリナ選手・19プリシラ選手
・セーフティー: 5ジュリア選手・6タミレス選手
b)結果概要
ポインタは Youtubeの時間。
1本目 (42:6 ポインタ59:7) 右CK 10マルタ選手→11田中選手ヘディングクリア。再CK。
2本目 (42:35 ポインタ59:36) 右CK 10マルタ選手→GK山下選手キャッチ。
3本目 (70:27 ポインタ1:47:58) 右CK 16ヤスミム選手→11クリスチアーニ選手ヘディングシュート。ゴール!!。
c)全般的な印象と特記すべきプレー
3本目で11クリスチアーニ選手のヘディングシュートが決まっているので図にしておく。
動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=-0Xpoou10MIfeature=youtu.be&t=6473
ブラジル代表は、滅多に企画らしきモノをしないのだけれど、この日の3本にはループ的な動きをしている。
この日の3本にはストーリーがあって、前の2本と見比べてもらえば、と思います。
1本目 (42:6 ポインタ59:7):
https://www.youtube.com/watch?v=-0Xpoou10MIfeature=youtu.be&t=3542
12石川選手が14ローレン選手にピックされて、3タルシアーニ選手がフリー。
2本目 (42:35 ポインタ59:36)
https://www.youtube.com/watch?v=-0Xpoou10MIfeature=youtu.be&t=3571
12石川選手が14ローレン選手にピックされるが、20古賀選手がスムーズにマークチェンジ。
この2本を見ると、なでしこJAPANとしては、マークチェンジを原則に守ることにしたようです。
で3本目ですが、両チームがメンバーチェンジしていて、マーク関係が変わります。
セットした時点でニア側からの並びは以下の順。
2アントニア選手(←14ローレン選手)/12石川選手(←20古賀選手)
11クリスチアーニ選手/20古賀選手(←22浜野選手)
3タルシアーニ選手/3南選手(←12石川選手)
ここからの初動を見ると以下の様。
① 3タルシアーニ選手がニアへ先頭で走ると、12石川選手がマークチェンジして付く。
② 3南選手は3タルシアーニ選手をほとんど追わず、空いた2アントニオ選手を受け取る。
③ 20古賀選手も、あまり動いていない。
この③の遅れが、11クリスチアーニ選手に対する遅れとなり、
さらに2アントニア選手の動きと少し交錯し、遅れが拡大する。
結果11クリスチアーニ選手がフリーでヘディングシュートすることになっている。
20古賀選手は、ピックプレーに対し、マークチェンジが原則でも、
まずは当初のマークマンを追うべきことは判っているのだろうけれど、
相手が3選手で応用編となって、状況を見てしまったのだろうか?
また、このプレーに関しては11田中選手も落ち度があった。
ゴール裏からの映像を見ると、落下点を少し見誤っていて、一度ファー側へと下がってから、慌ててニア側に飛んでいる。
キッカーが10マルタ選手から16ヤスミム選手代わって、球筋が変わったのだろうか?
いずれにせよ、防げたし、防がなければならない失点だったと思う。
以上です。
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ブログ内関連記事
2-3 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックB 2015/11/29
2-6 局面的な技術:パターン④ ループ 2015/12/18
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関連記事など、外部リンク
JFA-TV(Youtube)
【FULL MATCH】<3位決定戦>なでしこジャパン vs ブラジル女子代表[2024 SheBelieves Cup @Lower.com Field]
https://www.youtube.com/watch?v=-0Xpoou10MI
U.S.Soccer-Youtube
Japan vs. Brazil HIGHLIGHTS | 2024 SheBelieves Cup - April 9, 2024
https://www.youtube.com/watch?v=5iZG_HzRVbc
Yahoo-Sportsnavi
SheBelievesCup 3位決定戦 4/9(火)29:07 ロウアー ドットコム フィールド
https://soccer.yahoo.co.jp/japan/category/women/game/2024040901/summary?gk=244
Footystats.org
2024年4月10日 - 5時00分 (Asia/Tokyo)日本女子代表対ブラジル女子代表
https://footystats.org/jp/international/brazil-womens-national-team-vs-japan-womens-national-team-h2h-stats#7406978
JFA_HP
【Match Report】なでしこジャパン 3位決定戦はPK戦の末に敗れて4位で大会を終える 2024 SheBelieves Cup
https://www.jfa.jp/nadeshikojapan/news/00033833/
Soccer Digest Web 2024/04/10 手塚集斗
【なでしこジャパン1(0PK3)1ブラジル|採点&寸評】“決定力不足”、敗因はこの一言に尽きる。好機を多く創出の長谷川を最高評価
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=151344
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