1月20日(土)に行われた準決勝@サンガスタジアム by KYOCERA。

NHK-BS

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浦和はWEリーグ7節まで、5勝1分け1敗、14得点8失点、で2位。
EL埼玉・@千葉L・@S広島R・AC長野・大宮Vに勝ち、@東京NBに分け、@新潟Lに負け。
悪くはないが、満足はしていないだろうスタートとなっている。
STATSを見ると、シュート数103本:1位(被42本:1位)、コーナーキック数54本:1位(被28本:6位) と良いのだが、その割に失点が多く、守備に課題を抱えている。

昨年夏に5伊藤選手を獲得、主力も残留したし、連覇に向けて盤石な布陣となったが、
AFC Women’s Club Championship 2023 – Invitational Tournament で7高橋は選手が怪我・離脱。過密日程となって、WEリーグの出だしは苦戦していた。
だが、7高橋は選手も復帰、皇后杯の佳境に来て充実し始めている。

システムはいつもの4-2-3-1。
TOPに15島田選手、好調10安藤選手は左SHでアタッカー使い、ボランチに14角田選手、CBに13長嶋選手が入ってスタート。
ベンチには3石川選手5伊藤選手9菅澤選手19塩越選手ら超豪華なメンバーが座っている。



S広島Rは、WEリーグここまで2勝2分け3敗、8得点10失点。
@大宮V・N相模原に勝って、@千葉L・東京NBに分け、@AC長野・EL埼玉・浦和に負け。
カップ戦を制した勢いは無くなり8位。
ここまでのSTATSは、シュート数57本:8位(被87本:11位)、コーナーキック数24本:8位(被41本:12位) で、こちらも苦しい内容。
昨年夏に大量の選手を放出。補強した3選手は機能しているが、駒数的に余裕がないところで主力に怪我が出て、リーグ戦スタートで躓いている。
だが、33瀧澤選手が復帰・フル出場するようになったし、9上野選手の調子が上がって4試合連続得点。チームとしても、やっと上向いて来たところ。

システムは、4-3-3だったが、WEリーグ7節から3-4-2-1を採用していて、順当なメンバーで順当な配置。
14松本選手はベンチスタート。
これで3試合20島袋選手の姿がベンチにもなく、それで3バックにしているのかも知れない。



 

前半、浦和が優勢に進めて2点を先制するが、S広島Rも押し戻して1点返す。
後半、S広島Rが追い付いた後も優勢に進めるが、同点のまま。
延長戦は、双方互角の死闘を繰り広げ、3点目を取り合ってPK戦。
GK池田選手が2本止めて、浦和が大激戦を制している。

シュート状況は下図の通り。



 

浦和はWEリーグチャンピオンとして意地を見せましたね。
逆転され、残り時間的に追い詰められても、勝つのは流石です。

でも、10安藤選手8猶本選手が負傷退場。
2人とも他人の肩を借りずに立って試合を見守っていたので、

重傷ではなさそうだが、中6日と言うと決勝戦出場には疑問符が付くだろう。
また、2人の退場がチームに与えた影響が大きすぎたのも気になるところ。

さらに、このところ稼働時間が上がっていた9菅澤選手も延長後半のみの出場。
出場する予定は本来無かったが、ビハインドになったから出場したのだろう。
アタッカーの戦力という面で、決勝:I神戸戦に大きな不安が生じた試合だった。
良い試合をして欲しいのだが、3人のコンディション次第と言うところだろう。


一方のS広島Rは善戦及ばず。でも、このチームは強い。
33瀧澤選手はキレキレだったし、マイ仙台戦では十分機能しなかった11中嶋選手も躍動、26立花選手の出来もこの試合非常に良かった。迫力の有る攻撃をしていた。
ただ、点を取るべき人:9上野選手が最後の精度を欠いていたのが惜しまれる。

これで、S広島Rはウィンターブレーク。
この試合を見れば、主力が強敵相手にも十分戦えるのは明白。

だが、現時点では交代枠を2枚しか使えない台所事情。
怪我人が帰って来て、この試合使えなかった選手たちがアクティブになったとしても、アタッカーの交代選手不足は、解消しない。

20島袋選手をFWにもどせば1枚は増えるが、あと2・3枚は欲しい。
19吉野選手や新卒選手が機能しないと、安定した戦いは出来ないので、その見極めと育成がこの冬の1番の課題だと思う。



では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制

浦和は、マンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。
相手がゴール前に密集陣形を敷いてきたときにはゾーンディフェンス。

S広島Rは、マンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。



両チームの先発を背の順に並べると以下の様になる。



 

ほぼ互角のマッチアップ関係。



(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。


 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー

A.浦和のコーナーキック

a)体制

キッカーは8猶本選手19塩越選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 15島田選手11清家選手
・正面からファーへ: 13長嶋選手7高橋は選手
・ニアポスト前:14角田選手
・GK脇: 10安藤選手
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 18柴田選手16水谷選手
・セーフティー: 17遠藤選手

b)結果概要

1本目 (00:37) 左CK 8猶本選手7高橋は選手ヘディングシュート→3呉屋選手ヘディング→33瀧澤選手クリア。スローイン。
2本目 (10:53) 右CK 8猶本選手15島田選手シュート→GK木稲選手キャッチ。
3本目 (18:04) 左CK 8猶本選手7高橋は選手ヘディングシュート→10安藤選手シュート。ゴール!!。

 


4本目 (63:35) 右CK 19塩越選手→(3石川選手3呉屋選手7高橋は選手トラップ・シュート。右へ外してGキック。
5本目 (76:46) 右CK 19塩越選手7高橋は選手ヘディング→18渡邊選手ヘディングクリア
18柴田選手ヘディング→5市瀬選手ヘディング。11清家選手ファール。
6本目 (92:11+) 右CK 19塩越選手9上野選手5市瀬選手クリア・13長嶋選手ブロック(シュート)。右へ外れてGキック。
7本目 (108:39) 左CK 19塩越選手9菅澤選手5市瀬選手3石川選手
19塩越選手9菅澤選手11清家選手シュート→GK木稲選手キャッチ。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

この試合、キッカーの8猶本選手19塩越選手はファー狙い。
おそらく9菅澤選手がベンチに長く座っていたので、7高橋は選手をメインターゲットに狙ったのだと思う。
実際、6左山選手の厳しいマークを受けても、7高橋は選手が勝っている。
最近7高橋は選手は、ヘディングの際のポジション取りが上手くなったと私は思う。


3本目 (18:04)が得点になっているので図にしておく。
7高橋は選手がヘディングシュート。

ゴール前の場所取り合戦を制した10安藤選手がフリックして決まったゴール。



まず、7高橋は選手が強い。
マークの6左山選手をハンドオフし続け、間合いに入らせていない。
勿論ハンドオフの強さは格別なのだが、落下地点の見極めが早く正確で、
先に落下点に入って場所を取っている。
1本目 (00:37)と5本目 (76:46)で も、6左山選手に勝っていて、王道を行くヘディングの強さだと思います。

また、フリックでゴールを決めた10安藤選手の、ゴール前での場所取りも素晴らしい。
マークの18渡邊選手も、決して気を抜かない良い守備をしたと思う。
ただ、ボールがニアでは無くファーサイドへ落ちると判断した時点で、GK木稲選手が邪魔になって、10安藤選手より先に動けなかったようだ。
以降、パワー勝負になって、10安藤選手に前を押さえ続けられて、ゴールを決められることになっている。
またGK木稲選手も1歩目で18渡邊選手と接触したことによって、10安藤選手に対し後手を踏み、ボールに行けなかった。
結果10安藤選手は1で2人を押さえ、ゴールを決めている。



B.S広島Rのコーナーキック

a)体制

キッカーは18渡邊選手(右利き)33瀧澤選手(左利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 13高橋選手3呉屋選手
・正面からファーへ: 9上野選手5市瀬選手
・GK脇: 6左山選手・23柳瀬選手
・ショートコーナー: 33瀧澤選手
・コボレ狙い: 26立花選手
・セーフティー: 11中嶋選手


b)結果概要

1本目 (09:37) 左CK 18渡邊選手5市瀬選手ヘディングシュート。浮いてGキック。
2本目 (12:41) 右CK 33瀧澤選手GK池田選手パンチング→18柴田選手クリア。スローイン。
3本目 (16:02) 左CK 18渡邊選手8猶本選手ヘディングクリア。再CK。
4本目 (16:37) 左CK 密集陣形 18渡邊選手8猶本選手ヘディングクリア
33瀧澤選手回収・シュート→18柴田選手ブロック。スローイン。

 


5本目 (37:08) 右CK 33瀧澤選手5市瀬選手ヘディングシュート→16水谷選手9上野選手シュート。浮いてGキック。
6本目 (72:55) 左CK 18渡邊選手11清家選手19塩越選手26立花選手33瀧澤選手3石川選手ドリブル・逆襲・3呉屋選手カット→GK木稲選手。再組み立て。
7本目 (95:06+) 左CK 密集陣形 18渡邊選手23柳瀬選手シュート→GK池田選手キャッチ。
8本目 (110:22) 右CK 時間潰し 18渡邊選手13高橋選手。Gキック。
9本目 (115:33) 左CK 密集陣形 18渡邊選手9菅澤選手ヘディングクリア→7高橋は選手逆襲・ドリブル→5伊藤選手18柴田選手26立花選手クリア→13長嶋選手。組み立て。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

ア)5本目 (37:08)
おそらく最も意図するところに近いプレーだったと思われる。
5市瀬選手が、ニアで合わせたプレー。



5市瀬選手マークの13長嶋選手を9上野選手がブロック。
5市瀬選手はフリーでニアからヘディングシュートを流すが、左へ外れている。
最近S広島Rのピックプレーをよく見かけるが、キックと合ったのは久々ではないかと思う。
惜しいプレーだったと思う。

 



イ)7本目 (95:06+)

延長戦が目前となった後半アディショナルタイム。
ここで、密集陣形を敷いて、外側から攻めて、23柳瀬選手がボレーシュートを狙ったプレー。
19塩越選手にチャージをされて、しっかり打てずに浮いてしまい、GK池田選手にキャッチされている。



おそらくゴール前で密集を作った5選手としては、ニアで9上野選手が合わせるか、密集の中で競ることを考えていたのだと思う。でも18渡邊選手はファーを狙って蹴ったように見える。
ミスコミュニケーションだろうと思います。

これが企画だったとしたら、大詰めの時間帯と言うこともあり、非常に面白い狙いだが、算段が浅い。
23柳瀬選手がボレーシュートを打つためには、19塩越選手5伊藤選手のチャージを防ぐ工夫をしないと、実戦のように23柳瀬選手はフリーで足を振れない。



以上です。



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目次 1.概要(アメブロ版)

 

2-2 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックA 2015/11/28

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