08月26日(土)に行われたWEリーグCUP第1節。@広島広域公園第一球技場。

WEリーグ公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=Bls4GJAollw


************

2023-2024シーズンが明けて、まずはCUP戦。
下の表は、2022-2023リーグ戦における各選手の先発回数の総和と、出場時間の総和が、

この夏の移籍によって、どう増減したかを示したモノ。

(引退や移籍がなければ1.00。参入のC大阪は事情が異なる)



 

なぜこの試合を選んだか言うと、対照的な補強状況だからです。

S広島Rは、退団した選手も多かったが、昨期フル出場だった5市瀬選手と、約7割出場の14松本選手13高橋選手を獲得。約10%余っているので、削減しなければならない状況。

逆にマイ仙台は市瀬さん・万屋さんが引退、宮澤選手・矢形選手・船木選手が移籍、松窪選手をレンタル。昨年実績の4割を失った。その分を埋めなければならない。



昨期リーグ戦で、5位になんとか滑り込んだS広島Rは、TOPやサイドハーフが出来る13高橋選手14松本選手を補強。そしてバックスの3市瀬選手を迎えた。
コマ数の絶対数が減ったので、怪我人が出たときのやり繰りに、多少懸念が有るが、
はっきりって、このメンバーで、上位3強に迫れなければ、中村監督はここまでだろうと思う。

この試合のシステムは移籍組3人を投入して、4-3-3。
既存選手の配置は、予想できるところ。



マイ仙台は、昨期4位だったが、このCUP戦で課題が沢山有る。
バックス陣は引退もあったが、昨期後半17佐々木選手と28松永選手が台頭し、
実績のあるメンバーで組むことが出来るので、大きな心配は無い。
だが、他は難題である。
補強した外国人選手の内、何人戦力に成れるかがキー。

① 中盤はどうするのか?
昨期は4バック・3バック色々なシステムで戦ったが、基本真ん中3人が自由度高く動き回って補完し、どんなシステムをやっても、それなりに様になっていた。
でも宮澤選手が抜けて、7隅田選手と10中島選手に誰をどう足して、整えるのか?
 

② 前戦:アタッカーは誰にさせるか?
主力が全員居なくなった。11後藤選手(昨期出場218分)、廣澤選手(同182分)が残っているくらい。

そんな状況のマイ仙台はこの試合4-2-3-1。
4人入団した外国人選手では、18バウティスタ選手がベンチに居るが、他はまだ姿がない。
昨期開幕早々に怪我で離脱した13武田選手が、先発で復帰している。

 


 

試合開始から均衡した戦いだったが、徐々にS広島Rが押すようになって、先制点。
後半はマイ仙台が盛り返して追い付くが、

再びS広島Rがボールをコントロールし、3点を奪い快勝。

シュート状況は下図の通り。



 

S広島Rは移籍してきた3選手が得点を取った。
特に、TOPに入った13高橋選手はシュート9本で大暴れ。この日の出来が続くのなら、なでしこJAPANに呼ばれても良いと思えるくらいの状況で、正直驚きを持って観戦していました。
課題が有るとすれば、14松本選手で、33瀧澤選手が動き回るのでうまく住み分けできていない所でしょう。
この試合を見る限り、S広島Rは上位3強に近づけなければ、ウソになる?でしょう。



一方のマイ仙台は一時同点に追い付くも、直ぐに決勝点を取られ、その後は防戦一方になって、追加点を奪われ、大敗。
やはり昨年主戦FW3人と、宮澤選手が抜けるのは大き過ぎたようで、攻撃の形が出来ない。
助っ人FW18バウティスタ選手は、パワータイプで、良いヘディングシュートが有った。
だが、ボールを呼ぶ時は足下に欲しがるだけで、守備もあまりやらない。
この試合に限らず、今シーズンのマイ仙台は、押し込むシーンは少ないだろうから、このプレーでは、先が心配だ。
良かったことを挙げれば、28松永選手が11中嶋選手のドリブルを止めたこと。
うまく5國武選手の居る方へ導き、抜かせなかった。
だが、5國武選手が負傷し、途中退場。大事に至っていないことを願う。


では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃態勢。

S広島Rは、マンツーマンディフェンス中心にゾーン固定配置2人。

マイ仙台は、6人のゾーン固定配置でMIXディフェンス。



先発を背の順に並べると以下の様になる。



 

やや、マイ仙台有利なマッチアップ関係。



(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー

両チームとも、壁役の選手の外側を通って、複数の選手がニアへ走ることでフリーを作ろうとしているプレーが見られた。


A.S広島Rのコーナーキック


a)体制


キッカーは8小川選手(右利き)33瀧澤選手(左利き)。

受け手の体制は、1本目がG前密集陣形のショートコーナーでわかりにくかったが、2本目と見比べて判断すると、以下のようにしている。

・ニアへ: 5市瀬選手14松本選手2近賀選手
・正面からファーへ: 13高橋選手6左山選手
・GK脇: -
・ショートコーナー: 8小川選手
・コボレ狙い: 20島袋選手
・セーフティー: 11中嶋選手

b)結果概要

ポインタはYoutubeの時間。

1本目 (19:12 ポインタ29:26) 左CK G前密集陣形 8小川選手モドシ→11中嶋選手クロス→GK松本選手パンチング
23柳瀬選手シュート。浮いてGキック。
2本目 (24:19 ポインタ34:33) 右CK 8小川選手5市瀬選手ヘディングシュート・10中島選手ブロック→28松永選手ヘディングカット及ばず。ゴール!!
3本目 (38:12 ポインタ48:26) 左CK ショートコーナー 8小川選手33瀧澤選手8小川選手クロス→GK松本選手パンチング
20島袋選手フィード。13高橋選手オフサイド。
4本目 (58:52 ポインタ1:25:13) 右CK G前密集陣形 33瀧澤選手→28松永選手ヘディングクリア
23柳瀬選手クロス→2近賀選手ヘディングシュート→ポスト→6左山選手・5國武選手→26西野選手クリア。スローイン。
5本目 (68:7 ポインタ1:34:28) 左CK 8小川選手→27田畑選手ヘディングクリア
20島袋選手回収→18渡邊選手11中嶋選手クロス→GK松本選手パンチング→19佐藤選手クリア。スローイン。
6本目 (80:42 ポインタ1:47:3) 右CK 8小川選手→(9上野選手)抜けて
18渡邊選手回収・クロス→7隅田選手ヘディングクリア
15藤生選手ヘディング回収→18渡邊選手。再組み立て。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

ア)2本目 (24:19 ポインタ34:33)

ゴールが決まったので図にしておく。
5市瀬選手がニアサイドで合わせてシュート。直後に10中島選手にブロックされ、28松永選手に掻き出されようとしたが、なんとかゴールマウスに入った。



動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=Bls4GJAollwfeature=youtu.be&t=2068

このプレーでは、6左山選手1人で5市瀬選手13高橋選手の2人をフリーにしている。
まず5市瀬選手がフリーになった状況。
① 6左山選手が26西野選手を押し込むようにして、ゴール方向へ寄る。
② その外側を通って、5市瀬選手がニアに走る。
③ マークの4高平選手の出遅れも有ったが、14松本選手6左山選手の外側を通ってニアへ走ったので、4高平選手のルートが狭まっている。5市瀬選手は完全にフリーで、ボールに到達。

さらに、6左山選手の動きの主目的は、5國武選手をブロックし、13高橋選手をフリーにすること。典型的なピックプレ-が綺麗に決まっている。


こうして2人がフリーになったのだが、もう一つポイントが有って2近賀選手が10中島選手の前に入って、5市瀬選手に競りに行けなくしていること。

そのままシュートが決まればストーリー的に完璧なプレーだったが、
結果的には、2近賀選手の動きによって走路を変えた10中島選手にヘディングシュートが当たって、それがゴール左隅に飛んで決まることになった。



B.マイ仙台のコーナーキック

a)体制

キッカーは10中島選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 5國武選手・19佐藤選手
・正面からファーへ: 27田畑選手・4高平選手
・GK脇: 13武田選手・26西野選手
・ショートコーナー: 17佐々木選手
・コボレ狙い: 28松永選手
・セーフティー: 25太田選手

b)結果概要

ポインタはYoutubeの時間。

1本目 (14:38 ポインタ24:52) 左CK ショートコーナー 10中島選手→17佐々木選手→10中島選手→10中島選手ドリブル。Gラインを割ってGキック。
2本目 ((17:19 ポインタ27:33)) 左CK 10中島選手→13高橋選手ヘディングクリア→33瀧澤選手5市瀬選手逆襲・ドリブル→4高平選手カット・13高橋選手20島袋選手・28松永選手。スローイン。
3本目 (41:33 ポインタ51:47) 左CK 10中島選手→13高橋選手ヘディングクリア。再CK。
4本目 (41:56 ポインタ52:10) 左CK 10中島選手→13高橋選手ヘディング→20島袋選手ヘディングクリア。スローイン。

 


5本目 (51:28 ポインタ1:17:49) 右CK 10中島選手→13高橋選手ヘディングクリア→33瀧澤選手ドリブル逆襲→13高橋選手23柳瀬選手13高橋選手クロス→16松本選手キャッチ。
6本目 (53:40 ポインタ1:20:1) 左CK 10中島選手→20島袋選手ヘディング・28松永選手ヘディング→19佐藤選手→26西野選手・23柳瀬選手クリア
⇒17佐々木選手回収→10中島選手クロス。直接入ってゴール!!
7本目 (55:58 ポインタ1:22:19) 左CK 10中島選手→18バウティスタ選手・5市瀬選手
⇒17佐々木選手回収→28松永選手クロス→2近賀選手ヘディングクリア
⇒4高平選手フィード→14松本選手ヘディングクリア
⇒17佐々木選手回収・ドリブル→10中島選手。オフサイド。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

ア)4本目 (41:56 ポインタ52:10)
 

偶然的な要素も有るが、26西野選手と19佐藤選手がニアでフリーになっている。



動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=Bls4GJAollwfeature=youtu.be&t=3125


5國武選手が1人で、8小川選手6左山選手の2人をブロックした形になっている。

① 5國武選手の外側を通り26西野選手がニアへ出る。マークの8小川選手は5國武選手と2近賀選手の間から追おうとするが、5國武選手もニアへ出たため、引っ掛かる。
② 19佐藤選手も26西野選手の後ろを追う。マークの6左山選手は予定通り5國武選手らの内側を迂回して追うが、5國武選手が8小川選手をブロックし続ける動きに走路を塞がれる。

ボールは上を越えて、13高橋選手20島袋選手にクリアされるが、受け手側としては非常に上手く行った例で有る。


イ)7本目 (55:58 ポインタ1:22:19)

4本目と同じように5國武選手の外側から26西野選手と19佐藤選手がニアに走る。
つまりこの形は、ある程度は練習したモノなのだろう。

今回は5國武選手が反転・ファーポスト前に走っている。
おそらく守備選手に4本目の残像が有るのだろう。
10近賀選手だけでなく、14松本選手までニアへ食い付いて、5國武選手・18バウティスタ選手がファーポスト前でフリーになっている。

動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=Bls4GJAollwfeature=youtu.be&t=4934

ボールは、18バウティスタ選手がトラップしたが、5市瀬選手が側にいて、クリアしている。


 以上です。


*********


ブログ内関連記事

 

目次 1.概要(アメブロ版)

 

2-3 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックB 2015/11/29

2-5 局面的な技術:パターン③ ブロック&ラン 2015/12/10






*********


関連記事など、外部リンク

WEリーグ_Youtube
サンフレッチェ広島レジーナ vs マイナビ仙台レディース【2023-24 WEリーグカップ グループステージ 第1節 グループA】
https://www.youtube.com/watch?v=Bls4GJAollw

【公式】ハイライト:サンフレッチェ広島レジーナ vs マイナビ仙台レディース【WEリーグカップ GS 第1節 2023.8.26】
https://www.youtube.com/watch?v=h56aL7d-9ag


S広島R_HP
8.26 土 18:30 WEリーグカップ グループステージ 第1節 vs. マイナビ仙台レディース HOME広島広域公園第一球技場
https://www.sanfrecce.co.jp/regina/matches/20230826/report

マイ仙台_HP
2023-24 WEリーグカップ 第1節 サンフレッチェ広島レジーナ 2023年8月26日(土) 18:30 キックオフ 広島広域公園第一球技場
https://www.mynavisendai-ladies.jp/leagues/leagues-4630