2018年からMycujoo配信やなでしこリーグのYouTube配信が始まり、2020年は全試合YouTube配信、2021-2022はDAZNとなり、各チームを均等に観戦できるようになりました。
ジェフLに関しても、コーナーキック本数で2017年13本、2018年44本、2019年16本、2020年35本、2021-2022は50本のデータが採取できています。
 
以下に千葉Lの2021-2022のコーナーキックの状況の概容と、2022-2023の予想を記載していきますが、原則下図のような配置を基に述べていきます。
 

  青字:15試合以上先発した選手         青字:新加入選手
  緑字:15試合以上出場した選手         緑字:2種登録 
  橙色:10試合以上出場した選手
  赤字: 5試合以上出場した選手
  黒字: 上記以下の選手
  下線:引退・移籍など
  * :冬期入団選手

 

他チームに関してはWEリーグ2022-各チーム戦力予想 2022/08/09 を参照。

 

攻守の配置の1例を示します。

 
(1) 2021-2022シーズンの全般傾向。
 
2021-2022シーズンは3得点で平均やや上。失点1は、良くやれている。
 
攻撃はシーズン後半になって、キッカーと受け手がキック前に話すシーンが見られ、狙いを確認していた。
 
守備では、過去からもずっとマンツーマンディフェンスだが、市瀬選手(166cm)・岸川選手(168)・田中選手(171)をゴール前に並べ、ニアポスト脇の鴨川選手と合わせると4人体制で固め(MIXディフェンスとも言う)、結果を出した。
 
 
レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。
 
① 高さ関係:揃っている(A-)
10人平均で164cmと2位、G前で競る5人平均で168cmでこちらも2位。
浦和に比べると線がやや細目で、その面でも少し見劣りする。
 
② 軸になる攻撃:中央からファー狙い(B)
ニアサイドの短めのボールはほとんど蹴られていない(集積図参照)。タイミング勝負と言うより、高さ勝負で競り勝つことが狙いだった。
メインターゲットは岸川選手のようで、キックはほぼゴール正面を狙っていたように見える。
横に市瀬選手、大外に田中選手が居て、強力な体制と言える。
 
③攻撃の工夫・戦略:ピックプレーの頻度はリーグ1(A-)

G前密集陣形を5回、ピックプレー11回確認している。

シーズン序盤は単調だったが、後半は見所有るプレーが多かった。

 
④守備力:堅かった(A-)
フリーで先着を許したのが、9.4%(全データ平均16.7%)、シュートの被弾率は11.3%(同24.2%)と良かった。
ただ、中央を厚く守る守備(MIX)に対する攻め方が、まだ定着していないことにも助けられていると思う。
 
 
(2)データ
 
A.なでしこリーグ・リーグカップ、WEリーグ公式記録より
 
 
 
B.独自収集データより
あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。
①集計表とシュート率・被シュート率のグラフ2枚
②左右CKの集積図
 
 
 
 

 

 

 

 

(3)詳細評価

 

以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 

A.攻撃詳細
 

2021-2022リーグ戦で点を取ったのは、岸川選手のみで3点。

2020年も2点で岸川選手だけだった。

 

a)ニアでの合わせ(C)

 
集積図のように、ニアへはほとんど蹴られていないのが、他チームには見られない特徴で、ニアへの走り込み、特に先頭はほぼデコイ(囮)である。
 
独自データでは、ニアへ先頭で走り込んだ選手は特定的では無い。
 大熊選手11回(内ターゲット0/先着0)、千葉選手9回(同2/1)、岸川選手8回(同3/2)他とばらけている。
千葉選手はニアの合わせが上手そうなのだが、今のところチーム戦略として重きを置かれていない。
 
b)中央からファーでの競り(A-)
 
前述のように、岸川選手・千野選手・田中選手が強力で、競りを狙っている。
特徴的なのは、ゴールから遠目・PKスポット辺りの距離に蹴られることが20.4%。
前後に揺さぶっていて、シーズン後半キック前に確認していたのは、おそらくその距離の塩梅だったのだと推測しながら、私は見ていた。

 

c)ショートコーナー・ローボール(D)

 
ショートコーナー1本と少な目。あまり使わない。
高さに自信が有るので、小細工しないのだろう。
 
d)キッカーと戦術選択(C)
 
2020年は前半は曽根選手・瀬戸口選手が中心に蹴っていたが、後半は鴨川選手にほぼ固定。2021-2022も引き続き鴨川選手が蹴っている。
 
パンチの効いた伸びるボールというより、曲げて落とす球質で蹴る。
正面~ファーサイド狙いだと、「身方にだけ判る球筋」とは言えないが、
受け手が高いことと、前後に揺さぶっていることで、成立しているのだと思う。
(集積図を参照)

 

e)ピックプレー(B+)
 
千野さんはピックプレーをよく知っておられたが、引退。前半は少なかったが、後半になって多用している。
キッチリとブロックするパターンでは無く、走行線を近付けたり、交差させることで、守備選手が絡む可能性を上げている場合が多い。

 

f)ゴール前密集隊形(A)
 
5回確認していて、内シュート3本と、得点は無かったが、
なかなかの企画性で、効果を見せている。
 
下図がその代表例で、決まっていれば、私的にはWEリーグ初年度のNo1ゴールだった。
ボールに向かう選手、GKの動きを抑える選手、一人一人に役割を与えている。


動画:5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=Xe5ngzk6SgEfeature=youtu.be&t=2403
 

g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(C)
 
GK脇にセットするのは、主に大澤選手・大熊選手・安齋選手などと分散した。
 
各選手平均レベルの場所取りはしているが、「うまい」と感じるような動きは、見かけていない。
 
h)その他
 
特にはない。
 

B.守備詳細
 
a)基本守備体系
①ゾーンディフェンス
やらない。
 
②マンツーマンディフェンス
10人守備で4名のゾーン固定配置が主だった。MIXとも言う守備体制。
 
固定配置するのは、主に以下の通り。
ニアポスト脇:鴨川選手が主。
ニアポスト前約5m:市瀬選手。
ゴール正面約5m:岸川選手。
ファーポスト前約5m:田中選手
 
 
③ショートコーナーには、鴨川選手が積極的には対応していた。
 
 
b)各選手の傾向・特徴
 
走り込む相手に対応しているのは、林選手・大熊選手がエース格をマークし、FW千葉選手・2藤代選手・曽根選手らが加わっていた。
基本密着守備をするタイプが多い。
 
チームが若返っていることもあって、ピックプレーにガッツリ引っ掛かる場面も目にする。
 
c)マンツーマンのマークの強さ(C)
 
独自集計データで、2021-2022のシュート被弾率11.3%(データ全体平均:24.2%)、フリーで先着を許したのが、9.4%(同16.7%)。
過去を振り返って最も良い数字。
 
MIXディフェンスの効果なのだが、まだ、リーグとして攻略法の研究が進んでいないのだと思う。
 
・マーク力
 
平面的な動きに関して言うと、マークは普通レベル。
独自採点で5.4点。はっきり言ってよろしくない。
 
**採点は、3点完璧なディフェンス勝ち、4点ディフェンス勝ち、5点イーブン、6点オフェンス勝ち、7点オフェンスフリー、8点オフェンス"ど"フリーで評価。
 
エース格を抑える林選手が5.19、大熊環選手が5.38と平面戦でやや負け。
マークは漏らしているが、ゴール前に並べた3枚が強いので、守備が成立していると言える。
 
 
d)ゾーン配置選手(ストーン)の強さ(A)
何度も書くが、ニアポスト前:市瀬選手、正面:岸川選手、ファーポスト前:田中選手の3枚が強力で、ボールをはね返している。
 
e)逆襲力(D)
成宮選手が居なくなって、ドリブルで複数の守備を相手できそうな選手は居ないし、
MIXディフェンスで、全体的に相手ゴールから遠ざかったので、
逆襲はあまり期待できない。
 
f)統制(C-)
林選手が中心なのだろうが、おそらく自分の仕事でアップアップ。
 
ゾーン固定(ストーン)に入っている市瀬選手や田中選手がリードすべきなのだろうが、
しっかり仕切っているところは見たことが無い。
 
ただ、MIXディフェンスにして、捨てる選手をはっきりさせたようなので、
混乱しても、大事に至る可能性は低下しているのだと思う。
 

(4)過去の傾向・推移
 
a)キッカー
2015年記録を始めて以来、瀬戸口選手が中心で蹴っている
2018・2019年は上野選手が右CKを蹴って、左右使い分け。
2020年は瀬戸口選手が中心だったが、後半になって鴨川選手が蹴っていた。
2021-2022も鴨川選手が蹴っている。
 
b)ヘディング力
菅澤選手(~2016年)、櫻本選手(~2018年)が抜けて力強さは低下したが、
2019年に大滝選手・田中選手を補強、市瀬選手、大熊環選手らの台頭で、
2021-2022シーズンでは浦和に次ぐ強さになっている。
 
c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー
2016年までは、菅澤選手のニアがメインターゲット。
2018年はリーグ・リーグカップ戦で13点取った。櫻本選手はファーサイドで5点取っている。
2019年・2020年は、軸が見当たらなかった。
2021-2022は、岸川選手が軸で、ニアポスト前からゴール正面の競りがメインになっている。
 
d)ピックプレー

2016年までは菅澤選手が、千野選手のブロックを使って、ピックプレーを発動していたが、

その後、あまり見なくなっている。

2021-2022は後半になって、走行線を近づけたり、交差させて、守備選手が接触する可能性を高めた。

 
e)相手ゴールキーパーの自由度制限
深澤選手(~2018)が務めていたが上手かった。
相手GKより先に動いて、ボール落下点に真っ直ぐ入れないようにポジショニングしていた。
その後、この役目をしっかり果たしている選手は居ないが、大澤選手はそこそこやれている。
 
f)守備の統制
 
2018年までは良く統率されていたが、2019年以来少し乱れていると思う。
 
 
 
(5)2022-2023シーズンの予想など

 

猿澤監督が留任。

スタメン・レギュラー選手に異動は無く、コーナーキックの基本路線は継続だろう。

キッカー鴨川選手がニアポスト前から遠いところを狙って、高さ勝負をすると思う。

 

大滝選手(174cm)や城和選手(173cm)の出場機会が増えれば、さらに高さを増すこともあり得そう。

 

履歴

 2020/01/26 作成(アーカイブ)
 2021/03/15 更新(アーカイブ)
 2022/08/21 更新
 
以上です。
 

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