2018年からMycujoo配信やなでしこリーグのYouTube配信が始まり、偏りはあるものの、かなり各チーム均等に観戦できるようになりました。
AC長野に関しても、コーナーキック本数で2017年から、攻撃計152本・守備計178年と採取したデータが増えています。
 
以下にAC長野の2022-2023のコーナーキックの状況の概容と、2022-2023の予想を記載していきますが、原則下図のような配置を基に述べていきます。
 
 

  青字:15試合以上先発した選手         青字:新加入選手
  緑字:15試合以上出場した選手         緑字:2種登録 
  橙色:10試合以上出場した選手
  赤字: 5試合以上出場した選手
  黒字: 上記以下の選手
  下線:引退・移籍など
  * :冬期入団選手

 

長期離脱:
FW 9中村2021/10〜2022/10~8ヶ月・MF30國澤2022/03〜・DF2肝付2023/04~2023/06・MF16鈴木2022/04〜2023/03
引退:
DF2肝付2023/06・MF30國澤2023/06
退団:
MF10瀧澤・MF13太田2023/06マイ仙台・FW20村上2022/12伊賀FC・GK21福田ま2023/06・DF25池田2023/01ヴィアマテラス宮崎・DF26國生2022/12ASハリマ・MF27小鍛治2022/12FCふじざくら山梨・MF32榊原2023/06N相模原
(2023/07/10現在)

 

 

 

ゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスを併用しており、それぞれの1例を示します。

 

2022/12/10第6節より
2023/05/21第19節より
 
 
⑴ 2022-2023シーズンの全般傾向。
 
リーグ戦で1得点・1失点と出入りの少ないリーグ戦だった。
 
 
レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。
 
① 高さ関係:標準的(D-)

2022-2023は10人平均で161cm。リーグ最下位争い。

最高身長の5岩下選手(170cm)は互角に戦えるが、7三谷選手(162cm:4番目)以下は苦しい試合が多い。

 
 
② 軸になる攻撃:特にない(D)
年々高さを失ってきているチームで、正面~ファーサイドの競りでは厳しくなっている。
ニアでの合わせを得意とするテクニシャンもいない。
 
 
③攻撃の工夫・戦略:楽しませてもらっていたのだが・・・(B)

2021-2022シーズンから、団体フォーメーション・G前密集陣形などに、ピックプレーを絡めて使ってきていて、見所の多い攻撃をやっていた。

だが、コーナーキック戦略に長けていた水谷GKコーチが、冬期中断中に移籍。

大きな仕込みはやらなくなっている。

それでも、遺産で他チームよりは企画性の有る攻撃を見せるものの、丁寧さを失いつつ有る。

それらも有って、シュート率が9.1%(平均23.8%)と極めて低レベルになってしまっている。

 

 
④守備力:競り負けているが、平均的レベル(C-)
2019年以降マンツーマンと ゾーンを併用し、2022-2023シーズンも使い分けている。
 
シュート被弾率が27.6%(23.8%)と平均より悪い。
高さで分が無いチームなので、フリーで先着を許しくないのだが、17.2%(データ全体平均15.9%)と平面戦でも平均を越えてしまっている。
 
 

(2)データ

 

A.なでしこリーグ・リーグカップ、WEリーグ公式記録より

 

 

B.独自収集データより

あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。

①シュート率・被シュート率の集計表とグラフ各2枚。

②左右CKの集積図

 

 

 

 

 

 

 

(3)詳細評価

 

以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 
A.攻撃詳細
 
2022-2023リーグ戦で33上田選手の1点だけ。

 

フリーでそこそこ到達しているが、(15.2%、全データ平均15.9%)、シュートはほとんど打てていない(9.1%、同23.8%)。

 

昨期は色々工夫して成果を出して(26.7%/24.4%)だったが、警戒されたのと、企画のレベルが低下したのが要因だと思う。

 

 

a)ニアでの合わせ(D)

 

独自データ(20本:ショートコーナーなどを除く)では、ニアへ先頭で走り込んだのは、2肝付選手5回、5岩下選手3回、3岡本選手、14菊池選手2回など分散。ターゲットわずか2回で、先着無し。狙っていないし、触れても居ない。
 
 
b)中央からファーでの競り(D+)
 
身長が有った2016~2019年は、基本的に狙っているのはニアでは無く、こちら。
2019年の私の記録では61.5%(全データ平均41.5%)を集めていたし、先着率37.5%と悪くない。
だが、身長が低くなった2021-2022では、競らないようにしている。
ファーポストよりさらに遠くや、PKスポットより遠い領域を、「ここ一番」で使って攻撃している。
 
キックが蹴られた位置と、先着数の関係性がAC長野は特徴的でした。下表をご覧下さい。
 
 
イメージ 1
全体の71.4%を正面~ファーサイドに蹴っていて、他チームに見ないほど寄せている。
先着も、ファーサイド2回のみ。
狙っているのだが、ヘディングでの競りで、勝てていないと言うこと。
 
ゴールに近い(NearPost~FarPost) X (1~2)の領域で、全く先着出来ていない。
 

 

c)ショートコーナー・ローボール(B+)

 

本田元監督がお嫌いなのだろう。

2016年から2019年のデータ採取20試合で、4本とほとんど確認できなかった。
 
2022-2023で9本確認(2021-2022:5本)している。先着2回とまずまずの結果。

相手の目先を変えるだけの目的では無く、その次どうするかまで考えられたプレーが多く、効果的だった。

 
 
d)キッカーと戦術選択(B)
 
2019年までは横山選手が中心で蹴った。
パンチの効いたボール、曲げて落とす球質を使い分けていた。
 
2022-2023リーグ戦の15奥津選手(15本)だが、大久保選手(6本)、菊池選手(4本)他、4人が蹴っている。作戦によってキッカー(球質)を変えていて、分散している。
ただ、キックミスも多く出していて、7本でワースト。
 
 
 
e)ピックプレー(B)
 
ピックプレーをよく知っている國澤選手・五嶋選手いたが、怪我と移籍でコンビプレ-としては失った。

全体のフォーメーションプレーや、下記のG前密集陣形での工夫として使っている。

 
私が確認したのは9回/35本で、千葉L・マイ仙台に僅かに劣ったが3位。
普通と違ってファーサイドをブロックする形で、ガッツリ引っ掛けることが多い。
 
 
f)ゴール前密集隊形(B)
 
2019年だけでなく、2016年まで遡っても、20試合観戦で記録がない。
本田元監督は、お嫌いだったのだろう。
 
が、2021-2022は7回、2022-2023は3回と継続したが減少している。
内容的にも、2021-2022では、相手GKを包むように5。6選手を投入。
密集から広く開いたスペースに出た選手がシュートや折り返すパターンで攻めていて、
なかなかの企画だった。
だが、2022-2023では、封印。
密集に向けて蹴っているようで、普通であった。
 

g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(C)
 
GK脇にセットしていたのは、10瀧澤莉選手・11川船選手・15奥津選手らで、専門は居ない。

水谷コーチ移籍前は、目的が明確に与えられていたようで、

仕込んだプレーをする時は、複数の人数を掛けて徹底するなど、メリハリをついていた。

だが、移籍後は曖昧になってしまっているように見える。

 
h)その他
 
特記無し。
 

B.守備詳細
 
a)基本守備体系
 
基本マンツーマンで守っていたチーム。
だが、2019年秋以降にマンツーマンとゾーンディフェンスを併用している。
WEリーグ参入後も継続して併用。
 
ア)ゾーンディフェンス
 
第6節:2022/12/10
 
データ採取した被コーナーキック29本中15本がゾーン。
シュート被弾率が26.7%(全ゾーンデータ22.1%)と平均よりやや悪い。
身長の低いメンバーが多いゾーンディフェンスなので、原理的には厳しいハズ。
 
それを補うために、2021-2022までは五嶋選手をリベロ的に使った独特なモノだった。
2022-2023シーズンからは普通のゾーンディフェンスになっているのだが、
ただ、マンマークに入る2肝付選手や22奥川選手は極めて平面戦に強く、それで成立させているのだと思う。
2肝付選手が離脱した後ゾーンディフェンスを見なくなったのは、そういうことだろう。

 

 
イ)マンツーマンディフェンス
第19節2023/05/21
 
シュートの被弾率28.6%(独自集計:マンツーマン全データ平均22.1%)とやや悪い。
 
2021-2022までは、マンツーマンでも、五嶋選手に頼った守備をやっていたが、代わりが出てこない。
5岩下選手に頑張ってもらいつつ、各選手が守備のレベルを上げていかないと、今後も厳しい。22奥川選手は手本とすべきスキルを持っているので、若手選手は学んでもらいたい。
 

 

ウ)対ショートコーナー
あまり積極的に対応しないチームと認識している。
 
 
c)マンツーマンのマークの強さ(C)

独自データの平面戦評価では、チーム平均4.97(全平均5.2)で、そこそこ守れている。

ただ、身長不足の選手が多いので、もっと頑張らないと足りない。

また、他チームのエース格を平面戦・高さ両面でちゃんと押さえられる選手がいない。

 

**採点は、3点完璧なディフェンス勝ち、4点ディフェンス勝ち、5点イーブン、6点オフェンス勝ち、7点オフェンスフリー、8点オフェンス"ど"フリーで評価。

 

 

 
d)逆襲力(D)

10人守備をやっているので、基本逆襲能力は低い。
 
だが、10瀧澤莉選手1人だけでなんとかするのは困難。
2023-2024はその瀧澤選手も居ないので、ますます、期待しにくくなるだろう。
 
 
f)統制(B)
 
22奥川選手がやっている。2022夏移籍直後からすっかり中心で、良くやっていると思う。
 
 

(2)この約5年間の傾向・推移

a)キッカー
2015年~2017年春:横山選手が中心で蹴っている

2017年秋~2018年夏は中野選手が中心で蹴っている。

2018年秋は、横山選手と中野選手で左右使い分け。
2019年横山選手が中心。
2021-2022 大久保選手中心だが、作戦によって八坂選手・五嶋選手・瀧澤千選手・稲村選手・瀧澤莉選手などにも蹴らせている。
2022-2023 奥津選手中心だが、大久保選手・菊池選手らに分散。
 
b)ヘディング力
2019年までは、160cm台後半の選手を主力に5・6人使い続けていて、強いチームだった。
2020年2部に落ちて、2021年WEリーグに上がってきたが、以来リーグ最下位レベルの身長になっている。
 
c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー
2015年1部昇格以降、メインターゲットが居ない。
 
d)ピックプレー

國澤選手はよく理解して使ってる。(2019夏~2021夏イタリア修行)。

五嶋選手が引き継いではいるが、頻度は低下していた。

2021-2022は、G前密集陣形と絡めたりして復活したイメージだったが、2023年初に水谷GKコーチが移籍。頻度・レベル共に低下しつつ有る。

 
e)守備の統制
坂本選手(~2018年)が昇格後もリーダーだった。
2019年は五嶋選手が引き継いでいた。
2022-2023からは奥川選手。
 
 
(3)2022-2023シーズンの予想など

 

田代監督が退任、廣瀬監督が就任。

 

攻撃に関しては、2022-2023は低下傾向に有ったので、ネジを巻き直さないと、「並みのチーム」戻るだろう。身長を考えるとほぼ期待出来ない状況になると思う。

國澤さんが復活すれば、選手主導での向上もあり得たかも知れないが、引退したのでそれも難しい。

 

守備は、2022-2023良くはなかったところから、

國澤さん・肝付さんが引退して、地上戦を頑張れる選手が減った。

相当苦しい戦いになると思う。

また、22奥川選手に掛かる負担がこのままだと大きすぎる。

5岩下選手が一皮剥けてディフェンスリーダーなって欲しい。

 

なお、瀧澤選手が抜けるので、確実に逆襲能力は低下する。

 

 
 

履歴

 2020/01/26 作成(アーカイブ)
 2022/08/28 更新(アーカイブ)
 2023/07/11 更新
 
 
以上です。
 

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