2018年と2020年になでしこリーグ1部に上がったC大阪堺ですが、2018年は配信試合も少ない上に、押し込まれがちでコーナーキック攻撃本数も少なく、データー的には乏しい。
なお、2019年は、リーグカップ決勝や皇后杯で3試合だが、データーが残っています。
 
(1)2020年シーズンの全般傾向。
 
リーグ戦でコーナーキックから0得点、4失点。
攻撃での0得点は2018年と同様だったが、内容は向上していたと評価している。
守備では2018年の13失点に比べると大きく改善されたが、まだまだ平均点には及ばなかった。
 
 
レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。
 
① 高さ関係:補強で平均より劣る(C-)
2020年シーズンは、宝田選手(170cm)・松原選手(165)・田畑選手(164)・荻久保選手(161)と言ったところが、コーナーキックの主力。
筒井選手(169)がシーズン終盤まで出場がなく、空中戦では宝田選手にかかる負担は大きかった。
 
② 軸になる攻撃:正面からファー狙い(B+)
メインターゲットの宝田選手がニアヘ先頭で走ったのは、29回中2回のみと、ほぼファーで待っていた。
 
③攻撃の工夫・戦略:クロスを常用していたが、確率が・・・。(B)
 

ファーサイドで走り込む選手の走行線がクロスするようにしていた。

ただ、ピックプレーとして、クロスは相手選手の動きに委ねるところが大きい。

成功率が低く、なかなかフリーになれるモノでもない。

 

④守備力:やや不安なゾーンディフェンス(C)
2018年から見れば失点を大きく減らした。
「絶対やられてはいけないこと」を安易にさせなくなって、1部平均レベルに近付いた。
 
システム的には2018年と同じゾーンディフェンスで、8人でゾーンを組んで、2人を相手エース格にマンマークで付けた。
ただ、マンマークの2人が振り切られることも多く、危うい。
また、中心になっている宝田選手が露骨にブロックされることもあって、攻略されている印象があった試合も有った。
 
(2)データ
 
A.なでしこリーグ・リーグカップ公式記録より
 
 
 
B.独自収集データより
あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。
①集計表とシュート率・被シュート率のグラフ2枚
②左右CKの集積図
 
(ただし2019年は2部リーグカップ決勝と皇后杯2試合分)
 
 
 
(ただし2019年は2部リーグカップ決勝と皇后杯の計3試合分)
 

 

(3)詳細評価

 

以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 
 
A.攻撃詳細
 
2020年リーグ戦で無得点。

 

形がなかなか作れなかった2018年とは違った内容だった。

 

 

a)ニアでの合わせ(D)

 

独自データでは、ニアへ先頭で走り込んだ選手は、以下の通り。
 矢形選手11回、松原選手6回、浜野選手5回、荻久保選手3回などという独自記録。
 
が、そこへボールが来たのは4回で、先着は1回、シュート無し。
 
キッカーが狙わなかったこともあるが、効果的ではなかった。
 
b)正面からファーでの競り(B+)
 
集積図のように、2020年はファーにボールを集めて、良い攻撃が出来ている。
結果を出しそうになっていた。
ファーサイドでゴールに向かう矢印が目立ち、無得点だったのが不思議なくらいだ。
 
①メインターゲットの宝田選手をファーサイドに使い、ボールを集めた。
②走り込む選手の走路をクロスしていた。時々ピックプレーが成立している。
 
ただし、以下のような難点もある。
・クロスのピックプレーは、相手に結果を委ねる要素が大きいので、そもそも高確率では成立しない。ちょっと難しいことをさせすぎたように思う。
・宝田選手は諦めが早く、落下地点に入ろうとしないことが多いし、相手隊形をみて、コボレを狙う「嗅覚」のようなモノもない。
 

c)ショートコーナー・ローボール(B)

 
2020年は、独自記録でショートコーナー6本(14.6%/平均12.7%)、ローボール1本(2.4%/平均4.6%)と平均的。
 
ショートコーナーから3本シュートを打っていて、なかなか優秀。
 
 
d)キッカーと戦術選択(B)
 
2020年は脇坂選手が蹴っていたが、中盤以降は林選手が蹴った。
 
林選手(14/15)、脇坂選手(6/6)。(左/右)
 
林選手は曲げて落とすタイプだが、なかなかのコントロール。2020年1部で最も落下点をコントロール出来たキッカーだと思う。
なので、しっかり仕込んで点を取りに行く試みをして欲しかった。
「空けておくスペース」に、「フリーの選手」を走り込ませれば、ゴールはさらに近付いていたと思う。
 
 
e)ピックプレー(B)
 
前述のように、クロスのピックプレーが何度か成立していたのだが、確実性には欠けていた。
効果があった例を示す。

動画:5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=w8aFyRjfuNs&feature=youtu.be&t=7571

 

基本相手選手にブロックを打つことをしないので、確実性に欠ける。

 

f)ゴール前密集隊形(-)

 
このチームはやらない。

g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(D)
 
GK脇にセットするのは、主に浜野選手。
上手いとは言えない。
 
h)その他
 
特にない。
 

B.守備詳細
 
a)基本守備体系
2018年も2020年も同じシステム。
図はリーグ最終戦のジェフL戦。11宝田選手を中心にしたゾーンで、28浜野選手が14大熊選手、30荻久保選手が9大滝選手をマンマークしている。
 
シュート被弾率が17.3%(全データ平均24.3%)と数字的には良く守れている。
 
①伊賀FCとの比較:システム的には劣る。
この試合ではSBの30荻久保選手がマンマークに付いているので良いのだが、
FW2人でマークが上手くない選手の組み合わせの時だってあった。
相手するのはエース級だから、スカスカと言って良い時さえある。
伊賀FCが、SBの2人(宮迫選手と畑中選手)をマンマークに付ける事と比較すると、
この役割の重要性を低く見ている。
 
結果、11宝田選手の負担が増える。ブロックされるなどして、10林選手と相手エース格との競りになれば、結果は危ういものになる。
 
②2次攻撃を受けやすい。逆襲力がない。
全体的にゴール前に集中した配置なので、クリアボール・ルーズボールを拾われやすい。
 
 
イ)マンツーマンディフェンス(-)
 
2018年は併用していたが、2020年は採用していない。
 
 
ウ)対ショートコーナー(D)
 
ゾーンディフェンスでもあって、あまり積極的に対応しないチームと認識している。
 
なお、ショートコーナーや2次攻撃になると、ゾーンから通常守備に切り替わるのだが、スムーズに行かず、マーク漏れを起こす。
開幕戦の愛媛L戦はそれを見込まれて、やられている。
高い授業料だったようで、以降改善を見せるのだが、まだまだ伊賀FCなどと比較すれば安定性を欠く。
 
 
c)逆襲力(D)

10人守備だし、一番前の13矢形選手だって、PKスポット。
位置が低いので、逆襲能力はほぼ無いに等しい。
 
d)統制(C)
このゾーンディフェンスは、11宝田選手がまとめているのだろうが、負担が大きく、ファーポスト前の2人が如何に全体を見渡せるかが大切だと思う。
が、あまり指示をしている様には見えなかった。
 
 

(4)この約5年間の傾向・推移
 
A.個人の力の増減

a)キッカー
2018年は松原志歩選手が中心で蹴っている。
2020年はリーグ戦序盤を脇坂選手、中盤以降を林選手が蹴っている。
 
b)ヘディング力
2020年まで宝田選手(170cm)、筒井選手(169)、松原優選手(165)、田畑選手(164)が主力。

 

c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー
2020年まで11宝田選手で、正面~ファーでの競りがメインターゲット。
 
d)ピックプレー

2020年ファー側で、走行線をクロスさせる試みを多く見た。

ただ、ブロックは打たなかった。

 

e)守備の統制
~2017年が大橋選手が率いていたと思う。
2018年以降は宮迫選手が引き継いだ。
 
 
(5)2021年シーズンの予想など

 

ごっそり主力が移籍し、残ったのは筒井選手、田畑選手、荻久保選手、小山選手、浜野選手など。

 

全く別のチームになったと言うべき状況で、

また、どう言う布陣になるのかさえ、不勉強な私には予想できません。
 

履歴

 
 2021/03/22 作成
 
以上です。
 

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