お詫び)
文中のリンクは、ほとんどリンク先の動画が削除されています。
投稿当時はスポナビ+に動画があったのですが、2016年末に多くの動画が消去され、
現時点ではほとんど見られません。
 
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 今シーズンのなでしこリーグ・なでしこリーグカップ全試合が終了したので、コーナーキックについてまとめをしたいと思います。
対象は、以下の通り。
・なでしこリーグ   :各チーム18試合
・なでしこリーグカップ:各チーム予選8試合と準決勝2試合、決勝1試合
 
今年は、BSフジやスポナビ+で放送された試合のゴールシーンがYahoo動画に有ります。全試合で48のゴールがコーナーキックから生まれていますが、46のゴールを観ることが出来ますので、勝手にランキングもします
 
1.全般得点状況
 
(1)得点に占める割合とコーナーキック成功率
 
イメージ 1
 
 
 
昨年より、全得点に占める割合(①/②)、コーナーキック本数に対する割合(①/③)ともに増えています。
2015年分(3-A4:リンク参照)と比較ください。
2015年の各リーグ・大会の(①/③)は3%中盤なので、今年はよく決まったと言えます。
ただ、私としてはもっと決まるはずだと感じています。
 
(2)チーム得点状況
 
ベガルタLが攻守とも、1番でした。
浜田・北原・川村・岸川選手と、長身選手を揃えていることもあるのでしょうが、
攻撃に関してはチーム戦略が明確に出来ているからだと思います。
詳細は、後述します。
日テレも良い数字になっています。
 
ただ、このチームは攻撃時、
 ①ゴール前に密集配置する場合と、
 ②ゴールから離れた位置から走り込む場合の
2パターンの戦略を採るのですが、
ゴールシーンを見ていると、走り込んでのゴールが多く、
戦術を見直せば、もっと取れると思います。
 
2.個人得点状況
 
今シーズン、誰が得点していたかと言えば、2人が突出しています。
 
(1)ベガルタL 川村選手 5得点
【なでしこウィークリーハイライト〜第3節 (0:08~)】
 http://sports.yahoo.co.jp/video/player/94602
【5/3 川村が頭で合わせ先制ゴール!! ベガルタ - 浦和】
 http://sports.yahoo.co.jp/video/player/98701
【なでしこウィークリーハイライト〜第10節 (0:17~)】]
 http://sports.yahoo.co.jp/video/player/102829
【7/9 べガルタ・川村がマーク振り切り、先制ゴール!! AC長野 vs. ベガルタ】
 http://sports.yahoo.co.jp/video/player/111959
【なでしこウィークリーハイライト〜第12節(1:33~)】
 
(2)日テレ 阪口選手 4得点
【4/24 阪口、4試合連続ゴールで同点に! 日テレ - 伊賀FC】
  http://sports.yahoo.co.jp/video/player/96921)
【6/25 阪口のヘディングで日テレ追加点! 日テレ vs. ジェフL】
   http://sports.yahoo.co.jp/video/player/109037
【6/25 またも阪口のヘッドで日テレ4点目! 日テレ vs. ジェフL】
   http://sports.yahoo.co.jp/video/player/109041
【7/30 コーナーキックに阪口が頭で合わせ先制ゴール! ジェフL vs. 日テレ】
 
以下2得点に多数いて、
大野選手(I神戸)、深澤選手(ジェフL)、國澤選手(AC長野)、Wilson Kara選手(コノミヤ)、石清水選手(日テレ)。
 
3.勝手に決めるコーナーキック得点シーンランキング
 
完全に私の趣味で決めました。
ゴールそのものが美しいことを第1条件に、ディフェンスの落ち度が少ないこと。さらに、個人の力ではなくチーム力を感じられることを優先して選んでいます。
 
1位:7月9日ベガルタL(vsAC長野38分) 得点:川村、キッカー:中野
 
ゴール正面で北原選手がブロック。川村選手をフリーにしている。ラッシュ&ピックB(2-3:リンク参照)のパターンだが、ブロッカーの動き出しもあって、より守備側が回避不能なものになっている。シュートも見事。
【7/9 べガルタ・川村がマーク振り切り、先制ゴール!! AC長野 vs. ベガルタ】
 
2位:7月24日ジェフL(vsI神戸48分) 得点:深澤選手 キッカー:瀬戸口選手
 
千野選手がラッシュ&ピックA[(3-3:参照)
でニアのゴールエリア角へ。
ヘッドで流し、中央で深澤選手が決める。
既に本ブログでも(2-43:参照)
で記載している。
【7/24 絶妙の位置取り!深澤のゴールでジェフLが先制! I神戸 vs. ジェフL】

3位:6月25日日テレ(vsジェフL93+分) 得点:阪口選手 キッカー:籾木選手
正面で阪口の中距離ヘッド。ランニングジャンプのタイミングが絶妙で競り勝つ。マークのディフェンスと味方の村松選手も吹っ飛ばす。
【6/25 またも阪口のヘッドで日テレ4点目! 日テレ vs. ジェフL】

4位:3月26日I神戸(vsコノミヤ) 得点:大野選手 キッカー:川澄選手
守備選手3人を川澄選手のキックと田中選手のヘッドで欺く。
流れたボールを大野選手が、ゴッツァンヘッド。
【3/26 大野が低空飛行クロスに合わせ3点目 I神戸 - コノミヤ】
 
5位:4月24日日テレ(vs伊賀FC64分) 得点:阪口選手 キッカー:隅田選手
ザ・ヘディング!マークは跳び遅れて競れなかった。
【4/24 阪口、4試合連続ゴールで同点に! 日テレ - 伊賀FC】
 
4.ゴールシーンを振り返ってみて感じたこと
 印象に強く残ったのは次の3点
 ・川村選手(ベガルタL)の北原選手とのピックプレーを使ったチーム戦術
 ・阪口選手(日テレ)の走り込んだヘディング
 ・川澄選手(I神戸)の低く・速く・曲げないキック
 
(1)川村選手(ベガルタL)の得点の特徴
 
5得点しているがチームとしての意図が感じられるプレーが多い。
まず、チームとして1stターゲットになっていて、キッカーもニアに走り込む川村選手を明らかに狙って蹴っている。
さらに北原選手がブロッカーとなって、川村選手をフリーにしていることもあって、効率の高い攻めが出来ている。戦術的にベガルタLは他のチームを圧倒している。
川村選手を止めるためにディフェンスが為すべきことは、ピックプレーされないようにブロックを外すとか、マークマンをチェンジするとかしなければならない。しかし、うまく決まったシーンを見ていると、対応困難。守備側は為す術なくやられているし、仮に対応を練習していても、半分も止められないと思う。
高さや体格のある外国のチームとやっても、北原選手とのプレーは通用すると断言する。
1位にランクしたプレーの詳細を図にした。
【7/9 べガルタ・川村がマーク振り切り、先制ゴール!! AC長野 vs. ベガルタ】
イメージ 2
 
イメージ 3
 
 
(2)阪口選手(日テレ)の得点の特徴
 
川村選手と違って1stターゲットではないのに4点取ったというのは、特筆もの。こちらは個人の能力で取った印象が強い。
特徴的なのは、主にゴール正面からファーサイドに落ちてくるボールを、走り込んでそのまま待たずにランニングジャンプし、ヘッドで叩いていることだ。
他の選手が場所を取ってからスタンディングジャンプでヘッディングしようとしている中、1人溜めてから走り込み、時には味方をも吹き飛ばしながらヘディングを決めている。
おそらく阪口選手の卓越した空間認識力が、成せる技だ。
また、中・長距離でも決めていることが、特徴。その技術も卓越していると言える。
阪口選手を防ぐには、ブロックアウトし、ヘディング目標ポイントに走り込ませないことがベスト。
完全にブロックアウトできなくても、少しでも遅らせれば間に合わなくなるだろうから、阪口選手の出足を押さえれば、なんとかなるように思う。
ただ、残念ながら、高さや体格の優れた欧米チームを相手にしたなら、ここまで容易にはいかないとも思う。特に10cm以上身長が高いチームにゾーンディフェンスで固められると、得点を決めるのは容易ではないと。
 
(3)川澄選手の球質:速く、低く、曲げない。
 
なでしこリーグのゴールシーンを見ていると、曲げて落ちるキックをする選手がほとんど。
そんな中、川澄選手は、蹴り分けている。
その例が4位に上げた
【3/26 大野が低空飛行クロスに合わせ3点目 I神戸 - コノミヤ】
 
また、昨年末あまりにも劇的だった皇后杯決勝での澤さんのゴールもそうだった。速く・低く・曲げない球質は、ディフェンスの目測を惑わす。特に高さを誤認させる。
この2つのプレーの詳細は、(4-18 皇后杯決勝 新潟L 0-1 I神戸:リンク参照)(4-27 なでしこリーグ I神戸 3-1 コノミヤ:リンク参照) で既に記載しているが、いずれも、ディフェンスが誤認している。
Web Sportsnavi 2016.05.10
「37歳・中村俊輔のキック技術を超える選手は、いまだに現れない」
の2ページ目冒頭にも書かれているが、この球質は貴重なようだ。
おそらく、川澄選手はそれに近いものを蹴っているのだと思う。

以上です。
 
 
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ブログ内関連記事

 

2-3 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックB 2015/11/29

 

3-A4 まずは本ブログ開設前の着目点の再確認を統計的視点から。 2015/11/27

 

4-18 皇后杯 新潟L 0-1 I神戸 2015/12/28

4-27 なでしこリーグ I神戸 3-1 コノミヤ 2016/03/27