金色夜叉 (新潮文庫)/尾崎 紅葉

¥740
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この本を買ってから読むまでに、4年かかりました。

4年かかった理由としては、やはり難解な文体と字体でした。

でも、辛抱強く読み進めると、意外と文体には慣れるもので、

わからない箇所はありつつも、音読したり読み返せばわかる事がほとんどでした。

なので、困難そうだから、という理由で先延ばしにされている方がいるのであれば、

まずは読みはじめて欲しいです。




読みたいと思ったきっかけは、有名なシーンでもある、貫一がお宮を蹴るに至る理由を

きちんと知りたかったからです。

予想に反して、物語のかなり早い段階で、お宮は蹴られます。

そこからが長い物語になるとは意外でしたが、どんどん引き込まれて、かなり長編であるにもかかわらず、

最後まで一気に読み進めてしまうほど、急進力のある展開でした。

ですので、未完ゆえに、物語が途中で終わってしまう感じがとても残念でなりません。

物語の展開が途中で終わる無念さは残るものの、明治時代当時の世間での考え方や心の機微、

風景描写の細やかさ、 そして、明治文学を代表する文体の美しさに触れる事は、非常に意義のある事です。



外国語訳されているかわかりませんが、日本人でなければ感じる事のできない、

美しい日本語で表現された文学に触れる事をお勧めします
福沢諭吉 国を支えて国を頼らず(上) (講談社文庫)/北 康利

¥520
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わかりやすく福沢諭吉の評伝が書かれているが、いまいちスピード感や著者の熱意が伝わってこない。

かといって、さらっと表面的に福沢諭吉を知りたい人にとっては、上下巻は量的に負担かと思う。

私としては、福沢諭吉の内面に対する洞察が物足りなく、ただ歴史をなぞることにあまり意味を感じなかったので、下巻は読まない事にした。



ただ、諭吉に興味を持つきっかけには非常に良い本だった。実際に、諭吉の考え方に直接触れたくなり、

「学問のすゝめ」を読もうと思うきっかけになった。

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)/服部 正也

¥1,008
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一番感動したのは、旧植民地国家という歴史のため、尊厳が保たれていなかったルワンダ人達に真摯に向き合い、

世界トップクラスの経済大国である日本で培った能力と知識を惜しみなく与えようと、

国家や偏見の枠を超えて献身的に仕事した、元日本銀行勤務の著者の前向きで熱心な思いだった。

そして、銀行業務の立て直しだけでなく、ルワンダ大統領の信任のもと、

政策にも積極的に提言し、逼迫した財務状況のルワンダに安定をもたらした事だった。



当時の背景として、ルワンダだけでなく近隣のアフリカ諸国は旧植民地として搾取される運命から逃れる事ができなかったうえ、

60年代から中国やインドからの商人達がすでに幅を利かせていて、現地のルワンダ人の仕事を奪っていた事も驚きだった。




なにより痛快だったのは、著者が欧米のトップクラスの人々との交渉に、決して譲歩しなかった事だ。

交渉とはこういうものか、と思う反面、屈する事のない意思を培うために、著者がどれだけの努力をしたかを思った。

現地駐留の外国人の意見に染まる事なく、直接マーケットを訪れたり、輸入業者の率直な意見に耳を傾けたりして、

自身の目と足で情報収集し、嗅ぎ取った感覚を大事にした点は、どんな事にも共通する事だろう。




そして当たり前の事ながら、経済とはこんなに日々の生活に関わる事なのか、と改めて感じた。

現在の日本のような状況では、経済施策をなかなか実感しにくいかもしれないが、

ルワンダで総裁が行った施策は、全てリアルな生活に結びついているのが本書を読むとよくわかる。

だからこそ、経済に対してもっと敏感になって、厳しい視点を持つ事はとても大切なのだと思った。




途中、いろいろな統計や財務表などが出てきて、数字に疎い私はページをたびたび飛ばしたが、

きちんと目を通した方が、この本の醍醐味を存分に堪能できると思う。