交渉術/佐藤 優

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元外交官である著者自身がアカデミック志向なため、官僚・外交の嫌らしさと、神学に基づいた信念との対比が不思議で興味深い展開を見せ、ぐいぐい読み進められる。

タイトルで「交渉術」とされているものの、一般的な状況で使えるテクニックではないため、どちらかというと「回想録」として読んだ方が面白いだろう。

そういう意味では、歴代総理やロシア大統領を間近で感じた、マスメディアでは伝えられないリアルさを、本を通じて知る事ができるのが大変興味深い。



佐藤氏自身は後進の指導やノンフィクションの普及、神学や政治に関する勉強会など、著作活動だけでなく多岐にわたり活躍している。

実際に参加した勉強会や講演会では、権威に逆らうかのようなトレーナー姿で登場し、会場が一瞬引く雰囲気になる。

しかし、講演する内容と講演する姿のギャップが親密感を与え、ぐいぐい惹き込まれる。

たとえこれが計算された事だと知っていても、あえて引っかかってもいいと思ってしまう愛嬌のある作家だと、私は思う。
自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)/森 博嗣

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第三章を読み終わるまでは、なんだか丁寧に書かれてるものの退屈だな、と思って読んでいた。

しかし、その章が終わりに近づくあたりから、突然核心に迫ってきて、その後は一気の読み進めてしまった。


「元大学教授という異色な経歴の作家」というレッテルをはり、

流行ものに流されたくなくて敬遠してきたが、そのレッテルを取り除いて読んでみてよかった。

というのも、このレッテルを取り除く行為こそが、まさにこの本のテーマであるからだ。


社会の空気がなんとなく作り出した”常識”や、自分の作り出した”思い込みの支配”から、

いかに自由自在に発想し行動に移すかという本書のテーマを読みながら、

私自身が自分の”思い込みの支配”という殻を破って、本書を読んでいた事に大変意義があった。



ただのノウハウ本や啓発本と括ってしまうにはもったいない。

帯に書かれている「思いどおりの人生の作り方とは?」という、

世間のトレンドに迎合するようなキャッチコピーが、ちょっと損していると思う。

でも、そういう思い込み自体が残念ながら”支配されている状態”であり、

その支配に気付き、未開のものを攻め続けることが、最終的には自由な状態をつくり出すと本書は説いている。
Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)/津田 大介

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冒頭ではtwitterの操作の仕方などが説明されつつも、それほどテクニカルな事にページを割く事なく、

まだtwitterを始めてない人でも興味を持つような身近なニュースを織り交ぜて、一つの社会現象として丁寧に書かれている。

特に第三章は、政治や経済という観点でtwitterが使われている事例を丁寧に取材し、

現存する問題点や今後の取り組み、新旧メディアの役割を、社会的視点でとらえている点が読み応えがあった。

大小さまざまな企業による取り組みなど、多方面からの引用も参考に値する内容だったが、

著者は事例を安易に受け入れず、真摯に取り組み、自力で開拓してtwitterを使いこなす事を推奨している。

この本から、現在のIT業界を取り巻く空気感を想像する事ができる。