サーバントコーチ 世古詞一オフィシャルブログ -個人と組織の変革のヒント -4ページ目

サーバントコーチ 世古詞一オフィシャルブログ -個人と組織の変革のヒント

株式会社サーバントコーチ代表取締役 世古詞一のブログです。

以前、著名なカウンセラーの方と対談させていただきました。
物音ひとつしない静かなカウンセリングルームに通され、
一人待っていました。

著名なカウンセラーとはじめての対談ということで、
私は緊張感でいっぱいでした。

すると、ドアの外から「がやがや」と人の声が近づいてきて、
「ガラガラッ」とドアが開きます。

A「どうも、どうもー」というとても朗らかな大きな声と
にこやかな笑みのおじさまと、キリッとした女性がお二人で登場しました。

すると、二人は静かな部屋とは対照的な甲高い声で
B「あれ、イス一個ないですね。」
A「あ、これ使えばいいんじゃないですか?」
B「いや、それじゃなくてあっちの部屋の持ってきた方が・・」

B「あ、世古さんこっち座ってもらった方がいいですかね?
  で、先生そっち座って」
A「いえいえ私はこちらで」

B「いや、そこは私ですから・」
A「・・すいませんねー。私たちほんとにいつもこんななんです」

と、一事が万事のドタバタ劇が繰り広げられていました。

それを見ながら私は笑いがこぼれて、

すっかり緊張がとけていきました。

 

同時に、このカウンセラーお二方に

とても親しみと好感を持ちました。

相手と打ち解けていくには、自然体で、何か隙(すき)があるくらい
がちょうど良いんだな、
と再認識しました。

書籍にも書きましたが、1on1ミーティングを

継続的に進めていくための心構えとして

・5勝5敗で良いと思え
・カッコつけない
・「正しい」ではなく「楽しい」を目指そう


ということを書きました。

上の立場になるとつい持ってしまう

・上司としての価値を発揮したい
・上司としてリスペクトされたい
・上司として何か良いアドバイスをしたい


そんな上司のピュアな「想い」が知らない内に
部下との間に壁を作っていくのかもしれません。

ポイントは、何でも完全にしていこうと思わず、出来ていない
隙(すき)の部分を笑いながら認めていく姿勢だと思います。

そんな風に自分を受け入れられたら、ほどよく力が抜けて
部下のことも受け入れられていくでしょう。


★変革のヒント:自分の隙(すき)を見つけて笑いながら肯定しよう
 例)「私いつも●●(例:一言多くて)ダメなんですよねー(笑」

上司「自分で自由にやっていいよ。」
 
ある部下に同じことを言っているのに
全く違う反応が返ってくることがあります。
 
部下A:
「了解です!うまいことやっておきます」
 
部下B:
「え?せめて選択肢だけでも決めてください」
 
二人の部下にとっては、
上司の言葉がこのように聞こえています。
 
部下A:
「責任は私が取るし、信頼してるよ」
 
部下B:
「僕は忙しいから、構ってられないんだよ」
 
こんな風に、ひとつの事実から人は
「思いこみ」を形成していきます。
 
そして、その「思いこみ」はその人にとって
の真実であり思いこみがすべてです。
 
この思いこみは無くすことはできませんので、
上司としては、どれだけ自分のベクトルと
同じ思いこみを持ってもらうか?
を考えねばなりません。
 
良い思いこみを持ってもらうために
すべきことは一つ。
 
「対話によるすり合わせ」です。
 
極力思いこみの余地が入らないくらいに、
情報や解釈のすり合わせを意識的に行う。
 
そうすることで、考えが「すり合って」きて
話していない空白地帯も上司の思うベクトル
の「思いこみ」になってきます。
 
例えば、新たに決まった施策について
十分な説明がないと、人はその背景や目的を
自分の思いこみで埋めます。ですので、
上司は徹底した情報開示が必要です。
 
さらに気をつけなければならないのは、
他部署など自分と直接関わりが薄いところに
良くない思いこみがはびこりがちです。
 
「今会社全体で予算絞り込んで、
 採用全部ストップしてるのに、なんで
 あの部署だけ続けてるんだろう?」
 
他部署との関係性が良ければ、良い解釈を
行ってくれます。しかし、関係性が
良ければ親しい人がその部署にいて
対話をしたりして、空白が少ないもの。
 
往々にして、
関係性が薄い(ニワトリ)、
情報が降りてこない(卵)の図式の中で
 
部下は上司や会社にとって好ましくない
理由を空白で埋めていくことになります。
 
この空白を埋めて「すり合わせ」て
いくことが1on1ミーティングなのです。
 
 
★変革のヒント:
1on1ミーティングでは、極力思いこみの余地を残さないほど「すり合わせ」を行おう!
 

昨日、1on1の理想形の一つは「インタビュー」だ
というお話を書きました。

上司に必要なのは、優秀なインタビュアーの力で、
相手の言うことに関心をもって、傾聴して
承認して、いろんな切り口の質問を行うことです

、、と。

これらのいわゆる「スキル」を機能させるためには
土台(前提)が必要になります。


この土台(前提)が、往々にしてインタビュアーと
上司とでは全く異なるのです。

これをお話するためにまず、

そもそもの役割を考えてみます。

インタビュア―を辞書で調べると
インタビューをする人。聞き手。

(大辞林 第三版)と出てきます。

一方で、上司は管理職。管理職の責任とは

「管理・監督・指導・育成」を司ることです。

管理者と呼ばれたり、監督者と呼ばれたり

時に、指導者と呼ばれます。

つまり、指導して教えるという役割なので、
どうしても「話し手」
というイメージになります。

そう、根本的に求められる役割が
インタビュア―が「聞き手」に対して
上司は「話し手」なので真逆だったわけです。

上司になった人というのは、それまで結果を

残してきた人でしょうから、自分の仕事のやり方

や考えに自信を持っています。

それを、部下に言って聞かせて同じようにやって

もらいたい。そうすれば成果につながるはず。

と、多くの上司は思ってきました。

ところが、今まで成功したやり方が通用しなくなった

り、自分が思った通りのことを「やらせる」ことが

困難になったり、「話し手」として、一方通行で

指導することが厳しい時代になってきたわけです。


「聴く」ことに重きを置くマネジメントスタイルと

いうのは、10年以上前から言われてはいましたが、


組織のマジョリティにこういう部分を求めるように

なってきたのは、大きく言えば、実は人類史上

初めてではないでしょうか?

大きな流れとしては「上意下達」から「フラット化」

の世界に移行しているということですね。


この辺りは、昨年から「ティール組織」や

「ホラクラシー」など様々に言われています。

つまり、声高に申し上げたいのは、


上司は今までやってこなかった「初めてのこと」

に取り組もうとしていることなのです。

だから、「チャレンジする」感覚で、丁寧に1on1

ミーティングにも臨んで欲しいのです。

「いつもの聴き方」ではない聴き方にしてほしい。

では、どうすればいいのでしょうか?
上司はその能力を持っていないのでしょうか?

いえ、実は持っているし、部下以外に対しては

その能力「傾聴・承認・質問」を活用していること

が多いのです。

例えば、営業の方でお客様との商談の場面を

思い出してみてください。

お客様の話に反応をして相づちを打ち、しっかりと

傾聴します。お客様の持っている考えに対して、


「その考えは素晴らしいですね」と承認し、
「どのようにしてその考えに至ったのですか?」

と、深堀りする質問がなされるわけです。

つまり、できる出来ないで言えば、できる。

しかし、これを「部下バージョン」に変換して
実行していない
、ということです。

ではなぜそれをしていないのでしょうか?

これが、インタビュアーと多くの上司との
土台(前提)の違い
になります。


それは

「教えてもらいたい」という姿勢です。

インタビュアーは、インタビュイーにいろんな情報を

教えて欲しい、できれば読者のためにたくさん

引き出したいと思っています。

売り手は、自分の商材やサービスとお客様のニーズを

マッチさせるために、お客様の考えを教えて欲しい

と思っています。

果たして、上司はどうでしょうか?


もちろん、そういう姿勢を持っている方もいる

でしょう。そして、おそらくそういう人はことさら

「傾聴だ質問だ」と考えなくても、

自然に部下との対話が進んで目的を達している

と思います。

いまいちど、部下に対して「教えてもらいたい」

と思っている自分がいるかどうか?
振り返ってみてください。

★変革のヒント:
「教えてもらいたい」という姿勢(あり方)がコミュニケーションスキルを機能させる。