No.178 上司とインタビュアーの違いは「教えてもらいたい」という姿勢 | サーバントコーチ 世古詞一オフィシャルブログ -個人と組織の変革のヒント

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株式会社サーバントコーチ代表取締役 世古詞一のブログです。

昨日、1on1の理想形の一つは「インタビュー」だ
というお話を書きました。

上司に必要なのは、優秀なインタビュアーの力で、
相手の言うことに関心をもって、傾聴して
承認して、いろんな切り口の質問を行うことです

、、と。

これらのいわゆる「スキル」を機能させるためには
土台(前提)が必要になります。


この土台(前提)が、往々にしてインタビュアーと
上司とでは全く異なるのです。

これをお話するためにまず、

そもそもの役割を考えてみます。

インタビュア―を辞書で調べると
インタビューをする人。聞き手。

(大辞林 第三版)と出てきます。

一方で、上司は管理職。管理職の責任とは

「管理・監督・指導・育成」を司ることです。

管理者と呼ばれたり、監督者と呼ばれたり

時に、指導者と呼ばれます。

つまり、指導して教えるという役割なので、
どうしても「話し手」
というイメージになります。

そう、根本的に求められる役割が
インタビュア―が「聞き手」に対して
上司は「話し手」なので真逆だったわけです。

上司になった人というのは、それまで結果を

残してきた人でしょうから、自分の仕事のやり方

や考えに自信を持っています。

それを、部下に言って聞かせて同じようにやって

もらいたい。そうすれば成果につながるはず。

と、多くの上司は思ってきました。

ところが、今まで成功したやり方が通用しなくなった

り、自分が思った通りのことを「やらせる」ことが

困難になったり、「話し手」として、一方通行で

指導することが厳しい時代になってきたわけです。


「聴く」ことに重きを置くマネジメントスタイルと

いうのは、10年以上前から言われてはいましたが、


組織のマジョリティにこういう部分を求めるように

なってきたのは、大きく言えば、実は人類史上

初めてではないでしょうか?

大きな流れとしては「上意下達」から「フラット化」

の世界に移行しているということですね。


この辺りは、昨年から「ティール組織」や

「ホラクラシー」など様々に言われています。

つまり、声高に申し上げたいのは、


上司は今までやってこなかった「初めてのこと」

に取り組もうとしていることなのです。

だから、「チャレンジする」感覚で、丁寧に1on1

ミーティングにも臨んで欲しいのです。

「いつもの聴き方」ではない聴き方にしてほしい。

では、どうすればいいのでしょうか?
上司はその能力を持っていないのでしょうか?

いえ、実は持っているし、部下以外に対しては

その能力「傾聴・承認・質問」を活用していること

が多いのです。

例えば、営業の方でお客様との商談の場面を

思い出してみてください。

お客様の話に反応をして相づちを打ち、しっかりと

傾聴します。お客様の持っている考えに対して、


「その考えは素晴らしいですね」と承認し、
「どのようにしてその考えに至ったのですか?」

と、深堀りする質問がなされるわけです。

つまり、できる出来ないで言えば、できる。

しかし、これを「部下バージョン」に変換して
実行していない
、ということです。

ではなぜそれをしていないのでしょうか?

これが、インタビュアーと多くの上司との
土台(前提)の違い
になります。


それは

「教えてもらいたい」という姿勢です。

インタビュアーは、インタビュイーにいろんな情報を

教えて欲しい、できれば読者のためにたくさん

引き出したいと思っています。

売り手は、自分の商材やサービスとお客様のニーズを

マッチさせるために、お客様の考えを教えて欲しい

と思っています。

果たして、上司はどうでしょうか?


もちろん、そういう姿勢を持っている方もいる

でしょう。そして、おそらくそういう人はことさら

「傾聴だ質問だ」と考えなくても、

自然に部下との対話が進んで目的を達している

と思います。

いまいちど、部下に対して「教えてもらいたい」

と思っている自分がいるかどうか?
振り返ってみてください。

★変革のヒント:
「教えてもらいたい」という姿勢(あり方)がコミュニケーションスキルを機能させる。