ん~、3月には間に合わなかったですね。
4月から色々変わるとザワついている気がしますが、良い方向に変わって
ほしいものだと思っています。
かなり前に購入していたジムⅢを、前作のジムⅡに合わせて作りました。
基本的にジムⅡよりもデザインが良いと思うので、簡素に仕上げています。
それでも、最低限レドームだけは無理矢理装備させました。
一応は、基本的なスジ彫りや、メタルパーツの埋込だけはやっています。
いつもの4面図。 右肩のランチャーのパッケージを流用したレドーム装備。
シールドだけはジャンク箱から取り出したジェガンの物を流用し、通常とは
違う雰囲気を目指してみました。
跳躍からの全火力の一斉投射。
ジムだってSEED撃ちしちゃいたいですよね。
コリンズ少尉機のジムⅡと並べて見るとこうなります。
ブリスベーン基地第203MS中隊第2小隊エステル隊、前へ!
UC0086年ロールアウト。
比較的初期に生産されたRGM86Rの中で、既に前線部隊に配備されていた
機体から総稼働時間が長い機体を、重整備のオーバーホールがてら偵察用オプ
ションを適用した機体。
地上から帰って来るクラッター処理も強化されているため、荒廃地の多いオー
ストラリア東部にも適応した性能を発揮したが、機体バランスの劣化による運
動性低下と消費電力の多さから操縦性は悪化しており、現場のパイロットから
の評判は芳しくなかったという。
0096.04.30 1214 エステル中尉機 ============
巨大なアンノウンの機体が身軽な程のドリフトを披露し、エステル中尉のジム
Ⅲに正面を向ける機動と、指揮下のコリンズ少尉のジムⅡを吹き飛ばす機動を
一気に行う。
「エステル中尉、一旦後退しろ!」
後方から中尉の支援と突然現れた敵部隊への反撃の為、急速に接近してきてい
る第一小隊のバレル大尉から通信が入る。 一刻も早く合流したい中隊長の大
尉からすれば第2小隊を機動させる事は有効な選択肢だった。
「大尉、コリンズ少尉が後退できません。 支援が必要です。」
すれ違った09Gは、距離を取るジムキャノン2機に高速で追いすがる。
06FZも一旦は突破を許したものの、機体は戦域外側に向かって距離を取り、
連邦機のライブラリーには存在しないライノサラスⅡに弾き飛ばされ、良く見
積もっても中破しているジムⅡにしつこく再接近をはかる。
0096.04.30 1215 ファーレンホルト中尉 ザクⅡFZ ===
「けっ! しぶとい野郎だ!」
撃破できるタイミングの射撃で仕留め損ねたジムⅡに執心したファーレンホル
ト中尉は敵の前衛小隊が気になったものの、ライノサラスⅡに弾き飛ばされ倒
れた敵を確実に仕留める為、左手にヒートホークを装備しホバー機動のまま接
近を試みる。
「ぶっ潰せる時に、ぶっ潰しとかねぇとなぁ!」
0096.04.30 1212 ヴラス中佐機 ライノサラスⅡ =====
「中尉! そいつは放っておけ! 敵はまだこちらより多い!」
極めて高速で推移する戦域を見渡した限り、ファーレンホルト機が離れすぎる
事は危険が多い。
「了解! すぐ敵主力に向かいますよ!」
しかしファーレンホルト中尉が返信した「了解しすぐに向かう」のはすぐにジ
ムⅡを撃破した後であって、即刻すぐにと言う意図のヴラス中佐の指示を無視
する訳ではないが、意味解釈が両者に齟齬を生じさせた。
中佐のコクピットのメインモニターは、走行機動するレドーム付きのジムⅢが
ライノサラスⅡの側面に回り込む方向に機動している光景が映っている。
「単機とはいえ、主力隊と挟撃する気か。 さてできるかな?」
その時、総電圧を指示する電圧計が急速に上昇し、低下していた電圧が最低限
度の戦闘力を回復するまで上昇した事を示した。
モニターの中で機動しながらビームライフルを発砲するジムⅢを見つめながら
再度、近接兵器の起動を行う。 機体前部左右と、機体後方左右の砲塔のセン
サーが独立して索敵を始める。 真っ先に引っ掛かったのはやはり正面のジム
Ⅲだった。
正面の射界から外れようと機動するジムⅢに、ライノサラスⅡは猛烈な勢いで
突進。 モニターの中のジムⅢが急速に接近する。
更に多くの自動火器が一気に火を噴く。
0096.04.30 1212 エステル中尉機 ============
「まずい!」
一気にメインバーニアを噴射して跳躍する。
接近してくる巨大なMAというだけでもその威圧感は凄まじいが、機体各所の
火器が一斉に火を噴いてくる。
空中で姿勢を制御しながら、エステル中尉はトップアタックの位置から、機体
に装備されている全ての火力を一気に発射する。
右手のビームライフル、左肩の小型マルチプルミサイル、腰部の大型ミサイル、
そしてジェガン型のシールド。 連邦軍の前衛型MSとしては異例な程の爆発
的な火力が一気に解き放たれる。
その瞬間、ライノサラスⅡから放たれた近接火器の火箭のいくつかが機体各所
に大小の衝撃を与える。
0096.04.30 1212 ヴラス中佐機 ライノサラスⅡ =====
ジャンプしたジムⅢの機体から一気に火力が投射される。
実は正面以外はあまり重装甲と言う訳ではないライノサラスⅡ。 特に上面を
狙われるのは本意ではない。 巨大な機体に回避運動をさせながら、大型のミ
サイルだけでも近接兵器が迎撃してくれる事を期待した中佐は、警報音がやけ
に少ない事に違和感を覚えた。
ジムⅢの放った火力は、ライノサラスⅡの上を越え後方へ飛び去る。
「何?!」
後方を確認する中佐の視線が、ヒートホークを構え今まさに中破したジムⅡに、
文字通り飛び掛からんとするザクⅡ改を確認した。
「ファーレンホルト!」
ザクⅡ改にとっては、正面に転がっているジムⅡ。 側面のジムⅢには中佐の
ライノが盾になっており、後方からの敵の主力だけに注意しておけば良い状況
だった。 だから後方からの攻撃はことごとく避けえた。
警報音が響いたであろう瞬間も、ザクⅡ改は後方への回避運動の為か一瞬機体
を左に滑らせた。 そこにジムⅢの放った火力が一気に集中した。
回避しようにも面制圧的な火力の炸裂に巻き込まれたザクⅡ改は、倒れている
ジムⅡと共に、一気に爆炎と爆煙に包まれた。
コンマ何秒の後、爆煙の中でひときわ大きな爆発が天を突く。
0096.04.30 1212 エステル中尉機 ============
空中で軌道を変更しながら、至近距離を通過する巨大なMAの機体を交わすジ
ムⅢだったが、MA機体前方の中口径砲と、後方の小口径砲が直撃、機体右側
面が爆炎に包まれる。 正面からの衝撃に最適化された強度を持つ、左腕に装
備されたジェガンタイプのシールドは、内側から外側への貫通を許す。
特徴的なレドームは細かな電子部品をバラ撒きながら粉々に弾け散る。
最も致命的な一弾は、中口径砲のエアダクトへの直撃だった。 瞬時に空中で
右胸部が爆発。 胸部から猛烈な炎と煙を噴き出しながら一気にバランスを崩
したジムⅢは、秒を待たずに頭部から地面に叩きつけられ、オーストラリアの
大地を揺らす轟音と共に爆発した。
0096.04.30 1213 コリンズ少尉機 ============
エステル機が最後に放った猛烈な火力量の炸裂と、数発の直撃を受けたザクⅡ
改の爆発の衝撃は、地面に倒れていたコリンズ少尉の搭乗する60t近い全備
重量のジムⅡが文字通り地面から飛び跳ねるほどだった。
気絶していたコリンズ少尉はその激しい衝撃を受け、下向きのコクピットの中
、シートベルト等で身体を固定された姿勢で意識を回復した。
リニアシート内の半分以上のモニターがブラックアウトしていたが、いくつか
はノイズを発しながらも、こちらに接近してくる第1小隊へ向かうアンノウン
と、支援小隊を牽制しつつ第1小隊の側面に回り込もうとしているドワッジが
遠くに見える。
0096.04.30 1213 ヴラス中佐機 ライノサラスⅡ =====
接触緒戦で2機を撃破したライノサラスⅡではあったが、ファーレンホルト中
尉のザクⅡ改を失った。 漸減戦になれば絶対に不利である事を理解している
ヴラス中佐はこれ以上の損失を何としても避けたかった。
ベリエフ大尉のドワッジは、この時代でも連邦軍MSに対して優位を持つホバ
ー機動で、比較的陸上での機動性の低いキャノンタイプ2機を抑えつつ、敵の
主力2機小隊に側面から圧力を加えている。
しかし、ドワッジの大火力はひとえにタンデム弾頭のジャイアントバズに依る
所が大きく、弾数は数える程しかない。 時間をかければ肝心のトリントン基
地突入時の火力が激減してしまう。
中佐はどこかに不安を抱えながらも、主砲の大型メガ粒子砲を起動させた。
0096.04.30 1214 コリンズ少尉機 ============
自身へのダメージもあり状況確認が追い付かないコリンズ少尉であったが、あ
の巨大なアンノウンが第1小隊に正面から仕掛けていく光景は確認できた。
第1小隊の放つビームライフルによる攻撃や、09Gに絡む支援小隊からの散
発的な援護射撃がアンノウンの正面装甲に弾かれる。
「・・援護、を・・・。」
唯一残っている武装、バックパック右側に装着していたバズーカが、機体のす
ぐ傍に転がっていた。 どこかにいってしまったビームライフルの代わりに、
這うような横臥状態の機体にバズーカを拾わせる。
ほとんどのモニターにノイズが走り、視力がボヤけ、細かい照準が付けれない。
命中は期待できないが、何もしないよりマシだと納得し、僥倖を期待して弾頭
を撃ちっ放しの赤外線誘導に設定。 射角内に味方もいるが、巨大なアンノウ
ンの方が発熱量も大きいだろうと、下向きのコクピット内でボンヤリ考える。
這うように倒れたままのジムⅡが、バズーカの照準器だけを頼りに、装填され
た5発の380mm弾を連射する。
地面を這うような軌道で、高速の砲弾が高熱源のライノサラスⅡへ向かう。
0096.04.30 1214 ヴラス中佐機 ライノサラスⅡ =====
「電源が死なない事を祈るぞ。」
ライノサラスⅡの機体上面に装着された大型メガ粒子砲が、正面から来るジム
ⅢとジムⅡ、更に遠距離の支援型2機を射角に収め、かつベリエフ大尉のドワ
ッジが射角に入らない位置へ、大きな機体を微妙にスライドさせながら射撃位
置を確保する。
「ベリエフ、右に避退しろ!」
「了解です」
一年戦争時からの旧型のモニターの中で、敵味方を囲むコンテナが中佐にとっ
てベターな位置を形作った。
「いけぇ!」
ライノサラスⅡは改修後初めての試射以来、2度目の大型メガ粒子砲を放った。
荒れ狂う猛獣の咆哮を纏うような光芒がオーストラリアの大地を強烈に照らし、
射線上の地面や瓦礫を膨大なエネルギーで蒸発させながら、連邦軍のMSを飲
み込む。
その時、正面に意識が集中したヴラス中佐の座る旧式コクピットに衝撃が走る。
0096.04.30 1214 オーストラリア暗礁地帯戦域 ======
ライノサラスⅡと正面から撃ち合いながら迫るバレル大尉のジムⅢは、ギリギ
リの所で破壊的な威力のメガ粒子砲の加害域から逃れたが、それでもシールド
は半分以上が蒸発し、残った部分は左腕と融着した。
正面からまともにメガ粒子砲の直撃を受けた2番機のジムⅡは、最期の瞬間に
シールドを構えたが役に立たなかった。 猛烈なエネルギーの奔流で機体の爆
発すらも消し飛ばしたメガ粒子砲が、更に後方の支援隊の1機をも飲み込む。
戦場にいきなり発生した、戦域最大の強烈な赤外線源を捉えたセンサーのデー
タは簡単な処理装置に送られ、その処理に従い微妙に姿勢制御用のガスが噴射
され軌道を制御する。
使用者の指示通りに活性化し、最も大きな熱源の発生した場所に辿り着く迄の
数秒、同じ処理を数千回繰り返す。
必中の軌道に乗った事を確認した処理装置は、弾頭の安全装置を解除した。
同じラインで生まれた5つの弾頭が、オーストラリアの大地で荒れ狂う猛獣の
巨大な牙に次々と突き刺さる。
ライノサラスⅡの大型メガ粒子砲へ吸い込まれるように、コリンズ機の放った
バズーカの弾頭が次々と直撃する。 急に発生したとはいえ、この戦域で最も
大きな熱源を、弾頭のセンサーは間違う事も迷う事もなく捉えた。
ライノサラスⅡの背中で連続した爆発が起き、衝撃が巨大な機体を揺らす。
巨大なメガ粒子砲とはいえその装甲は無いに等しく、連邦軍の新型制式バズー
カの直撃に耐えられるはずもなかった。
メガ粒子砲本体部分への被弾の衝撃で跳ね上がった巨大な砲身が、次の瞬間本
体部分から脱落し、ライノサラスⅡの側面を叩きながら地面に落下する。
0096.04.30 1214 コリンズ少尉機 ============
「当たった、か・・・?」
望遠が機能せず、ノイズが混ざるモニターの中の遠景で、アンノウンのあたり
で何度も爆発の閃光が生じ、巨大な機体は上部から白煙を曳き始めた。
小破で生き残ったジムⅢに対し、残った砲塔から弾幕を張りつつ急速に転回し
遠くに離れていくアンノウンに、ドワッジが後方から追随する。
やがて巨大なアンノウンは地平線を越えた。 その光景を見やりながら、コリ
ンズ少尉は再び意識を失った。
0096.04.30 2330 ブリスベーン基地 ===========
海上から侵入した巨大MAと言うだけでも大騒ぎだった連邦軍オーストラリア
方面軍司令部は、陸上型巨大MAという報告を受けて右往左往していた。
第203MS中隊のその報告に対する、ブリスベーン基地司令部による聴聞会
は3時間にもわたった。
中隊6機の中で無事に帰還したのは支援隊のジムキャノン1機のみ。 大尉の
ジムⅢも小破状態で、コリンズ少尉のジムⅡはその場で放棄された。
短時間の交戦で壊滅状態に陥った中隊の惨状に対し、聴聞会開始直後こそ大尉
の責任を追及する声もあったが、戦闘記録が併記された巨大MAの映像を一目
見るや、参加した将官佐官は息をのんだ。
戦闘の衝撃による脳震盪と複数の内出血を伴う重傷で、ブリスベーン基地内の
軍病院に運び込まれていたコリンズ少尉は、ようやく手術用麻酔から覚めて意
識を取り戻していた。
バレル大尉の元で、再度第203MS中隊を再建する事だけを決定し、10分
程前にようやく解放されたばかりの大尉だったが、軍病院からの連絡を受ける
とすぐにコリンズ少尉の病室を訪れた。
「少尉、無事で何よりだ。」
「ありがとう、ございます。」
「とにかくゆっくり休んで、早く回復してくれ。」
「はい、ご心配をおかけします。」
「夜分に押しかけてすまなかった。 ではな。」
1段落ちた照明に照らされた廊下に出た大尉は、彼の希望で付き添った看護師
と共に静かに歩きながら爾後を託し、エントランスへと階段を下って行った。
明日にはオーストラリア方面軍司令部での聴聞会が待っている。
後編である今回に繋がる、前編のジムⅡの記事です。