2日続いての日本武道館
本来はこの日に参加予定だったのが2daysに変化した(cinema staffのZeppワンマンに行く予定がリセール不成立で前日も参加)が、前日のライブで「JUNKO」の元ネタになったじゅんこ先生が本日来場
本人が客席から見ている中、「JUNKO」をやる機会なんてそうないだろうし、リリースペースの速さを踏まえると次いつ聞けるか分からない曲が多いので2days参加、すなわちワンドリンク別は結果的に得している気がする

マカえんのライブは土日開催だと開演時間が早くなる傾向があり、この日は16時と早めの開演時間
開演前の屋外が全く暗くなってことがコントラストになってないがリセールで用意された座席は以前、SUPER BEAVERの武道館で柳澤が

「脚注ではないけど、柱があって見えにくい席」

と言及していた座席に

上手は全く見えないし、前日のライブでモニターはないのを確認している
つまり眺めは全く良くない(この日はU-NEXTで生配信が行われていたようだが、どのような場面が映ったかは全くわからない)

前日と同じく高野(Ba.)が開演前に諸注意を行い、定刻を少し経過した頃にいきなり暗転
お馴染みの「hello bulldog」が流れると共に、1人ずつメンバーが登場し、はっとり(Vo. & Gt.)が最後に現れるのは変わらないし、セットリストも前日とほとんど変化はない

並びに1階と2階では音響に大きな差が生まれてしまう(武道館は本来、音楽で使用することを前提とした会場ではないから仕方がない)が、「OKKAKE」が始まると田辺(Gt.)のギターは2階の後方までしっかり音を届けてくれる
マカえんがロックバンドであることを証明する大きな要因を自分は田辺のギターと考えている

メジャーに移動したらポップになってしまうなんて言われたことあったけど、それはもう昔の話
同じ頃にシーンに浮上した緑黄色社会がメジャーでよりロックになったように、マカえんも更にロックになった
だからこそ、昔からマカえんを聴いている方は今もOKKAKEっているだろう
焼き付いて離れない爆音を今も鳴らし続けているから

早くも投じられる「レモンパイ(なお「OKKAKE」は「レモンパイ」のカップリング)」で長谷川(Key.)がジャズ由来のメロディーを鍵盤で奏で、高野のグルーヴィなベースラインはすでに鷲掴みにされているマカロッカーの心をより踊らせ、最初のサビ前の

「きっと神さまだって」

のあと、

「気づいてないのです」

は大合唱が起こるなど、この日も早々にはっとりは歌わせているが、前日が19時開演で21時終演
マカえんは短時間でたくさんの曲を詰め込むタイプなので、開演時間が16時ということは18時にはライブが終わる
つまりは何も無い夜を4時間近くは過ごすことになるが、ポップな曲であっても鳴り響く田辺のギターはこちらに幸せな残像を残す
予定は何も無くても、幸せな音像がこちらを包んでくれる

はっとりが軽く挨拶した後、

「全力でやるから全力で返して!」

と全力でやる分、客席も求めたら全力で返してくれるように求めた後、

「知らなかったらあなたのせいです(笑)」

とやっぱり鬼畜な発言を客席に浴びせるが、高野のベースソロを経て始まる「チューハイ少女」は最初からはっとりのギターがカラフルに装飾され、飛び交うレーザーと共に視覚面でも楽しませる
装飾された楽器で演奏するのは特別珍しいことではない
しかしはっとりのギターは「チューハイ少女」を演奏している最中、ずっとカラフルに輝いている
この状態でパフォーマンスするとなると、ミスをしたらすぐに目立ってしまうが、歌詞を飛ばすことも演奏ミスすることもない
これぞまさしくロックスター

私立恵比寿中学に楽曲提供した「愛のレンタル」のセルフカバーは客席の随所にセッティングされていたミラーボールが早くも輝き、「前日から演出を少し変えたのかな?」と一瞬思った(あるいは1階にいたから気づかなかったのか)が、高野がサポートのSuzzyと共に構築するグルーヴは身体を揺らしたり手拍子したりと自然に身体を動かしてしまうもの
全員が全員、朗らかな気持ちで武道館に足を運ぶことが出来ているわけではない
中には直前でショッキングな出来事に直面してしまった方もいるだろう

ただ音楽は常に優しく、傷ついたものに対しては特にだ
田辺のカッティングもそうだし、間奏で長谷川が奏でる舞踏会を思わさせるようなメロを聞いて踊りたければ踊ればいいのだ

「踊ればいい」

の大合唱もそれを後押ししているかのよう

前日と同様に今回のワンマンはMCをほとんどせず、アンコールもしない方針をはっとりが説明すると場内からの反応は真っ二つ
特に「えええ!?」の反応をしている方が多く、はっとり達のMCを楽しみにしているマカロッカーが多いように見えたが、はっとりが「Trip Inside」とつけられた今回のタイトルを、

「どんな時でもマカロニえんぴつは隣にいました。昔のことを思い出しながら自分のことを好きになって帰ってください!!」

とマカえんのこれまでを掘り下げつつ、自分を好きになる旅であることを告げたあと、ど真ん中にロックンロールを鳴らす「listen to the radio」は田辺のギターが際立つようなワンシーン
しかし2日続けて聞くと高野の築いているベースラインはTHE BEATLESを意識したようなものにも聞こえてくるし、Suzzyが力強くシンバルを鳴らしている
教科書通りにも見えて、現代流のアレンジも加えられたかのようなロックンロール

「poole」は長谷川の鍵盤がどこか大人びた雰囲気も醸し出しつつ、選手交代するかのようにサビで目立っていた田辺のギターがどんどん存在感をまして、最終的にはギターを掲げながら弾くくらいにサイケデリックなロックに変貌するが、はっとりが弾き語りでもするかのようにはじめる「MUSIC」は夕暮れを彷彿させるようなオレンジの照明と長谷川が織りなしているであろう鍵盤がとても綺麗だ
こんな丁寧なアンサンブルを見せたらマカロックに染まりたくなるし、自信を持ってグッドミュージックと宣言できる
そんな自分はまだ夢を持てているのかもしれない

間髪入れずに刻まれるSuzzyの肉体的なビートを合図とする「メレンゲ」ではMr.Childrenが傑作「重力と呼吸」で示したストリングス(主に長谷川)とアンサンブル(轟音を鳴らす田辺のギターな激しくドラミングするSuzzyが中心)の激突をイメージさせるように爆音が鳴り、そのぶつかり合いは美しくも激しい
これからの季節、「メレンゲ」が似合う季節に少しずつ入っていくが、それは上空から葉っぱが舞い散る演出が隠喩するように、次の春も近づいているということだ
「新年を考えるなんて早すぎない?」と思う方もいらっしゃるだろうが、1日1日の速さを近年特に感じるようになった
少しでもいい春を迎えられるように努めたい所存である

月と思われる星をバックにアンサンブルを柔らかくしたかと思いきや、はっとりが咆哮でもするかのように叫び、田辺のギターを筆頭にアンサンブルがサイケデリック仕様に変化したりと万華鏡のように輝く「月へ行こう」を経て、前日と唯一セトリが変化したのは「two much pain」
少なくとも1階席でなければ見れないような演出もなされていたので、どんな情景が映されていたかは分からないが、

「泣かないで 僕の好きな人」

と弱いマカロッカーに向けて歌ったものだというのはすぐに分かる

はっとりは前日、

マカえんのライブに来ている方は自分の弱さを知っている人たちだから。」

と称していた

「ヤングアダルト」がリリースされた頃に、希望を鳴らすバンドと括られていたのを理解しているから、寄り添うようなロックを鳴らす
それがマカえんに託されたもの

そこから間髪入れずに「なんでもないよ、」に突入し、前日参加してなかったマカロッカーは驚く方が多く、はっとりは非常に緩急をつけて歌っている印象があったが、はっとりに促されて起こる

「会いたいとかね、そばに居たいとかね、守りたいとか
そんなんじゃなくて ただ僕より先に死なないでほしい」

の合唱はまるで自分自身にも向けて歌っているかのようだ

そんな優しい合唱から最終的に壮大な合唱に変わっていく訳だが、この愛の波は苦しんでいる時こそ思い浮かぶ
そんな美しい風景として刻まれるだろう

メンバー紹介を簡単に行いつつ、ロックスターことはっとりは自己紹介をU-NEXTで生配信されていることをいいことにためてためて行うのだが、初恋の下りから「JUNKO」への流れは大半の方が察していた模様
しかし元ネタになったじゅんこ先生が来場しているとは予想もしてなったようで会場はどよめき、夫婦で着ていることが判明すると客席から笑いが起こっていたが、幼稚園時代に個性的なことばかりはっとりが褒めてくれたからか、

「JUNKO先生がいるから今の自分がいる」

とはっとりは感謝を述べ、高野のベースラインや長谷川の鍵盤が往年の歌謡曲をイメージする中、はっとりはサックスソロを始めるも途中から当て振りだとバラす下りでは笑い声やブーイングが
それにはっとりは「ごめんごめん」なんて仕草を見せ、「ズルい大人になってしまったこと」をじゅんこ先生に見せるようでもあったが、

「JUNKO is my first love」

とLEDにも描かれ、LEDに現在のじゅんこ先生とのツーショットが映った際には大きな歓声が起こっていた(ちなみに隣にいた女性ははっとりの幼稚園時代の写真に大興奮)

ステージに幕が貼られる「カーペット夜想曲」は前日に続いてイントロからどよめいたことで人気曲であることが明確となり、長谷川の鍵盤が摩訶不思議な世界にご紹介
田辺のギターも大きく飛躍する辺り、サザンオールスターズの「ミス・ブランニューデー〜」を参考にしているのかなと思ったりもするが、

「どうか会えるうちに会いたい人に!」

にはやっぱり現実を突き付けられる

日に日に生活しづらくなるこの日々
表情で笑っているように見えても、本当は暗い闇を抱えながら生きているのかもしれない
平日はぶっ通しで働いている身だから知人に会うのは難易度が高い
その分、SNSなどでコミュニケーションは少しでも取らないとなあと2日目「カーペット〜」を聞いて思った

ヒップホップのようなリズムを高野とSuzzyが刻む中、長谷川が奏でる鮮やかな音色が会場中を彩る「ブルーベリー・ナイツ」、サビて唐突に挿入されるコミカルなメロディーにsuzzyがシンセパッドを入れて対応しつつも重い死生観を「リンジュー・ラブ」の重厚なロックと共に鳴らす中、会場中が客席中に設置されたミラーボールで照らされる「悲しみはバスに乗って」の風景は壮観
「大人の涙」のリリース当時のインタビューで全てを注いだことを明かした曲だけに、長谷川の鍵盤がしっとりと鳴る場面も、高野によるグルーヴィーなベースラインが躍動する場面も、田辺の歪みまくったギターが解き放たれる場面もある
それくらいに目まぐるしく曲は変わるが、

「ありふれた日、ありあまる日
ありきたりなしあわせ」

の合唱は1つのエンディングを見ているようでもある
どんどん国が戦争に向かっている世の中だから、こうしたありふれた日を過ごせるのが大切
人を殺し合う戦争も、武器もそっちの存在の方がイランイラン

はっとりが煽りに煽りまくって田辺のギターを合図とする「哀しみロック」がSuzzyの高速4つ打ちに乗っていくが、LEDに

「AKETEMO ROCK」
「SOREDEMO ROCK」

の文字が強調されるように、悲しいとき、苦しい時にこそ聞くのがロック

ここで放出された銀テープは後に2階席まで届けられ、運営のサービス精神の高さに驚かされたが、絶対無敵な人間なんていやしない
誰だって沈むときは沈む
泣きたくなる時に泣く
そんな時、大いに頼りになる相棒が音楽でありロック
完全に負の感情を取っ払ってくれる訳ではないけど、少し心は楽にしてくれる
音楽は最強のカンフル剤である

野球アニメの主題歌に合わせるかのようなストレートなギターロック「忘レナ唄」の間奏でSpitzの「トンガリ'95」を彷彿させるフレーズをはっとりと田辺が思い切り鳴らしたあと、「洗濯機と君とラヂオ」はやはりはっとりが歌わせまくり
マカえんが音楽雑誌で大きく取り上げる前から音流でフューチャーされていたのを覚えていたので、テレビで耳にしたときのことも覚えている
だから、

「この恋が この恋が」

の大合唱が起こる風景を目の当たりにするたび、懐かしい気分になる
大きく育っていったなあという感じ

「もう無理しなくていいよ」

とはっとりが声をかけつつも、まだまだ物足りないというマカロッカーの声に応える(この流れも茶番?)ように、「ワンドリンク別」で長谷川がエアベースを行いつつ、はっとりが

「全員優勝!!」

と賛辞を送ってしまう程の大合唱

事前に

ロックは自分の限界を超えるもの!!」

なんて煽っていたが、その限界を遥かに超えていくような大合唱

そんな限界を超えた大合唱を見せてくれた事に敬意を払うかのように、「星が泳ぐ」ではスケールの大きいサウンドスケープが広がり、はっとりが叫んだり、Suzzyも激しくシンバルを叩くなど5人が鳴らすアンサンブルは限界を目指しているようにも
言うまでもなく守らせてくれるような轟音
武道館に注がれるのは美しい星星

田辺が鳴らすギターリフやオレンジ色の照明が学生時代の帰り道を連想させる「青春と一瞬」ははっとり1人にスポットライトを当て、

「僕らの時間は奪えない」

に思わずグッとさせ、風と友に贈る歌とも銘されている曲の使命を果たさせると、アンコールが無い公演なので田辺がポエトリーリーディングを始めた時点で最後だと分かるが、

「マカロニえんぴつというあなたが見つけれてくれた音楽でした」

と挨拶したのち、

「またどこかに出かけて行ってください。きっと気に食わない許せないことが多いでしょう。」

と武道館を出たらまた非情な現実が待っていることにも触れるが、

「そのほうがこのバンドの曲は生かされると思います。」

なんて強気に話すはっとり
苦しい現実に向き合えば向き合うほど、マカえんの曲は効果を発揮するそうとでも言っているようだ

「希望になるんじゃない。あなたが希望にしてください」

とマカえんの曲を希望の薬にするように託すと、この日もラストはVan Helenの「Jump」をオマージュしたかのように、長谷川の鍵盤が壮大に響き高野のベースが牽引する「Hope」
イントロが始まるとともに各方面からまばゆいばかりの光が会場を包み込み、写真撮影が許可されるならば絶対にここを選ぶ
それくらい芸術的な瞬間

武道館を出たらまたネガティブな事が待ち受けている
それは大半の方が理解している
だからこそ、これからもずっと

「手を繋いでいたい 手を繋いでいたいのだ」

マカえんという我々が見つけたロックを

「それでも、それでも
君が好きだ 君が好きだ
さよならばかりの日々の中で」

別ればかりの人生でもあなたを愛する
それは旅立つあなたを見送るようなラストだった

この日はツアーファイナルなので告知も行われるが、気付けばマカえんもデビュー10周年
その10周年を記念する企画の第1弾として発表されたのはなんと横浜スタジアム2days
しかもインディーズ時代とメジャー時代の曲に別れるとのことで両日参加したい所存である

序盤、

「全力でやるから全力で返して!!」

とはっとりがお願いした通り、この日も合唱が起こりまくり

合唱が出来なかった2年前の武道館が嘘みたいにも見てくれるが、はっとりが合唱を促して即座に合唱
それだけマカえんの曲が生活に染み込んでいるし、マカえんに救われているということだ

マカえんと出会った時期によってに、マカえんのイメージは大きく変わるだろうけど、自分の中では希望を鳴らすバンド
そのイメージは不変だと思う
ずっと追いかけて来るであろう闇に立ち向かうために、これからも手を繋いでくれ

セトリ
OKKAKE
レモンパイ
チューハイ少女
愛のレンタル
listen to the radio
poole
MUSiC
メレンゲ
月へ行こう
two much pain
なんでもないよ、
JUNKO
カーペット夜想曲
ブルーベリー・ナイツ
リンジュー・ラブ
悲しみはバスに乗って
哀しみロック
忘レナ唄
洗濯機と君とラヂオ
ワンドリンク別
星が泳ぐ
青春と一瞬

Hope







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