今年6月から始まった忘れらんねえよ主催のツレ伝新シリーズ
6月はPK shampooと回っていたが、7月の「夏の死闘編」
共に回るのは「ライブにストイックなバンド」と称されたMaki
先日行われたMURO FESTIVALの初日に両者出演していたりする

クアトロ場内は一部ゾーンが封鎖
見やすいスペースであるPA付近も封鎖という寂しい感じであるが、定刻を少し過ぎた頃には大方埋まっており、忘れらんねえよのライブが始まる頃にはしっかり動員できていた

忘れの主催ライブといえば、P青木が出てくることが多いが、青木が多忙なのか女性スタッフが代理で登場
代理とはいえ完璧にこなしており、「この方に任せてもいいのでは?」と青木に失礼だが思ってしまった

・Maki
というわけでゲストアーティストのMaki
5月のJAPAN JAM でも見たし、コンスタントにライブを見ているバンドである

いつものようにMonkey Majikの「Around The World」をSEに山本(Vo. & Ba.)が軽く挨拶して登場した後、佳大(Gt.)とまっち(Dr.)がステージに姿を現し、早速「こころ」で3人のハーモニーや芸術的なアンサンブルを届けるが、改めて自己紹介を行うと一気にダイバーが続出し始める
開演前にモッシュダイブを禁止しないことはアナウンスされているので、「やっぱりな!!」という感じだが、これがライブハウス仕様のMaki
それ以外は運営のルールに則ってライブしている
なのでロッキンオンのフェスのように、ダイブ禁止のフェスでMakiを見たことある方は驚いたかもしれない

このイントロダクションでライブハウスのMakiを示したあと、「ストレンジ」は

「何気ない言葉が
君を殺してしまったんだ」

の合唱をこの日も巻き起こしてダイバー続出

忘れ主催のライブながら大合唱を起こすことがいかに「ストレンジ」が名曲であるかを知らしめているけど、まっちのドラムは一打一打がデカい
RPGで例えるなら一撃で広範囲にダメージを与えるような大きさ
去年Atomic Skipperのライブにゲストで招かれた際もQUATROでライブしていたが、その時よりも一打一打はデカくなっている気がする

昨年リリースした「Toy Box」の冒頭に収録されている「風」でも、まっちは迫りくるような迫力あるビートを刻んでいるが、同時に佳大の鳴らすギターメロは儚げ
メロディアスでかつパンク
Makiはパンクの王道を貫いているなあと思う

「ツアーファイナル!…なんで何も帰ってこないの(笑)?忘れとは40本くらいツアー回りたいのに(笑)」

と叫んだは良いものの、びっくりするくらいにレスポンスがなく驚く山本
忘れの客層はそこまで大人しくないし、かといって好き嫌いが多いような客層ではない
単純に急に投げられて「え?」と反応するに困ったのだと思われる

そうして客席の反応がないことに戸惑いつつも、

「終わった頃には、40本ツアー回りたい!!と思われるように!!」

と山本は意気込み、「虎」では雄叫びを挙げさせるかのように随所で合唱を煽る
少しでもMakiと忘れのツーマンが実現するように
なおかつMakのライブの良さを知ってもらえるように

「前の方の人たち大丈夫?うちのファンが迷惑かけてしまうかも…でもお互いに助け合って!うちのファンは俺に思い切り迷惑かけていいから!!」

と山本が前方にいる方々に声をかけるのは「斜陽」をやるからであり、いつものようにダイバーが雪崩こんでいくのだが、6月に忘れがF.A.D. YokohamaでPK Shampooとツーマンした際、痴漢が発生してしまったこと(公演終了して数日後に出て、柴田もこの件に現給している)と関連させたのだろうか?、

山本「言い方間違えた、迷惑かけるやつはいないから!!」

と参加者を信じることを口にし、再び「斜陽」を行い、アンサンブルも明らかに先程より強くなり、ダイバーの数も増大
この流れはMakiのライブではよく見慣れたものだろう

ただここで佳大に何かあったのだろうか、何かをアピールしたことでセットリストを変更して「銀河鉄道」に
1日の終わり、眠れない夜のことが綺麗に真空パックされており、エモーショナルかつセンチメンタル

ただこれ、山本は佳大がもっと声が聞きたいからだと思っていたものの、実際はそうではなかったらしい
これに山本はがっかりするが、その時の言動は大阪弁のようになっていたようで、まっちにはツッコミを入れられていた模様

初見の方でも思わず拳を挙げたくなるような最新楽曲「Record Dogs」で山本がグルーヴィなベースラインを奏でながら、拳を上げさせていき、

「待ち合わせ場所はライブハウス!!」

と山本が叫んでから演奏される「Landmark」は佳大が繊細なギターを鳴らしているが、スリーピースの美学が疾走感と共に鳴らされる「boys & girls」は柴田が1番気に入っている曲らしい
王道かつ、駆け抜けるセンチメンタルなアンサンブル
ロックが好きな方ほど、ハマるような完璧な曲だろう
「ストレンジ」のイメージが強すぎて、あまり取り上げられないが間違いなくこれも名曲

すると、

「バンドマンたるもの、一気できないと駄目でしよ!!」

と山本は、柴田のようにイッキ飲みを行うがあまり慣れていないのだろう
山本はキツそうな印象だった
ここはそんなに無理しなくても良かったかもしれない(なお自分はそもそもビールを飲めない)が、そんなキツい状態で忘れへの愛を示すように行ったのが「この高鳴りをなんと呼ぶ」のカバー
元々柴田はキーが高いので、

「柴田さん、キー高すぎ!!」

と嘆いてしまうくらい、これも山本にはキツかったようだが、ギターにスイッチすることなく、ベースボーカルで「この高鳴り〜」をカバー出来る山本の技術…
個人的にここはもっと評価されるべきだろう

そのうえで山本は、

「憧れのバンドと同じステージに立てて嬉しい!!」

と叫んでた

かつて忘れらんねえよは自らを「ゴミバンド」なんて自虐していた頃がある

初期の音源は今振り返って見ても、良くも悪くもインパクトがあるもの
聞く人を選ぶようなバンドだったが、目線は一貫して弱者からの視点
マイノリティのために歌う姿勢はどんどん支持を伸ばしていき、山本の耳にも届いたのだろう
次第に憧れを抱くようになり、ステージで共演できた今、再び共演できるように「憧憬へ(ここから再びダイバー続出)」を歌い、再会を願う「シモツキ」で、

「ある春の日に聞いたバンドと同じステージに!!」
「憧れは超えていくもの‼」

と熱く叫ぶほど、山本は忘れとの共演を喜んでいた

だが時間が余ってしまい、「Lucky」で肩を組ませながら終わろうとしたところ、明らかにチューニングが狂っており、「Lucky」は途中で断念
結果、スピーディーな「五月雨」をピンチヒッターとして投入し憧れのバンド、忘れらんねえよへバトンを託した

セトリ
こころ
ストレンジ

斜陽
斜陽
銀河鉄道
Record Dogs
Landmark
boys & girls
この高鳴りを何と呼ぶ(忘れらんねえよのカバー)
憧憬へ
シモツキ
Lucky(途中で中断)
五月雨

・忘れらんねえよ
ムロフェスで数日前にライブを見たばかりの忘れらんねえよ
今年は比較的ライブを見ている方であるが、こんな短いスパンで見たことはないはず
この日のSEはB'zの「ultra soul」
サポートのイガラシ(Ba. from ヒトリエ)、タイチ(Dr. ex.爆弾ジョニー)、からなるリズム隊は今回グッズで販売されている野球風のユニフォームに身を包んでおり、もはやスティーブ・ジョブズそのものな安田(Gt. ex.爆弾ジョニー)に対して、柴田は普段着で客席を煽っているものの、突然SEが止まり、

「急にSE止まったんだけど。これどうすればいいの?」

と困惑する柴田(笑)

これにイガラシやタイチは「と言われましても…」と苦笑いするしかない感じだったが、

「忘れらんねえよは、弱かったり傷ついたりしている人のために歌います」

と柴田が宣誓し、「いいひとどまり」で始まるのは意外なオープニング

ソロプロジェクトになる前の最後の作品、「僕にできることはないかな」が賛否両論だったのは理解している
忘れのキャリアの中でも特にJ-POPに寄ったりと反応は別れてしまうのは必然だ

ぇもタイトルに着目すれば、キャリアでマイノリティに最も寄り添っている作品だし、忘れの音楽の核はここにあると思う
だから自分は「僕に〜」は傑作と今でも思っている

「何にもない夜を超えて
少しだけ強くなろう」

と奮い立たしてくれるようなアルバム

そのまま「いいひとどまり」と共にA面を飾った「スマートなんかになりたくない」が続くのは、梅津がまだ在籍していた2017年の忘れを思い出すが、

「迎合されてたまるか」

よろしく、シーンのトレンドに合わせて4つ打ちを入れたことはあったけど、それ以降は柴田がやりたい音楽を貫き通しているし、ヒトリエでもそこまで表情を出さないイガラシが序盤から柴田と向かい合いながらジャンプしているのを見ると、この4人の和はとても雰囲気が良いんだろうなと思うし、

「服はダサくていい
息もくさくていい
馬鹿にされてもいい
僕らしくいればいい」

のラスト4行は参加者に勇気を与えてくれる
流石に息臭いのは駄目だと思うが

忘れの主催ライブだから幕間でステージに声をかけるのは、忘れのライブ中の方が多い
そこに何故か柴田を親交の深い菅田将暉の名前で呼び、その菅田がかつて忘れとツーマンしたこともあるgo! go! vanillasから楽曲提供を受けたことに嫉妬するフリをする茶番も見せたりするのだが、

「今日ここに来る奴は無職。嘘(笑)自分でお金を稼いで、自分で時間を作ってここに来る本物!!」

と平日の夜、それも週の半分にも満たない火曜日に来てくれることに敬意を払っているのを見ると、嫉妬した振りをするのもサービスなのかもしれなあ
「こういうアクションを取るのが見たいんだろ?」と参加者の心理を読んでいるかのように

とはいえ参加者全員が普段から明るいとは限らず、もしかしたら忘れのライブのために頑張って踏ん張った方もいる
そうした陽キャやパリピになれない方を笑顔にするべく、イガラシがうねるようなベースを弾く「踊れひきこもり」で柴田はハンドマイクに持ち替え、ステージから客席に振りまきながら、サビではQUATROを思い切り揺らすが、最近活動再開した西野カナのようなパートでは、

「今日は西野カナのようなパートをやりません!俺の好きな曲をやります!!」

と先程Makiがやった「boys & girls」をすぐにカバー
1月のZepp Shinjukuワンマンではとうとう一時SEで使用していた[Alexandros]の「ワタリドリ」を(勝手に?)歌い出し、その際は

「って俺の曲じゃねえ!!」

とセルフツッコミをしていたが、この日はそのようなやり取り一切無し
本当にMakiが好きで好きでたまらないのだろう

そうやって参加してくれたMakiにカバーすることでリスペクトを示すと、

「夏だし花火打ち上げたくなりました!!」

と一時はやってなかった「花火」を華麗に打ち上げる
これこそが柴田の原点であり、アンサンブルが素晴らしいからこそ、やってくれるのがとても嬉しいが、よく見たら「花火」を象徴するリフは柴田が鳴らすようになった
今でもサポートしてくれるタナカのギターが凄すぎた分、安田のギターだと物足りなさを感じる場面があったが、柴田に切り替わったことで音圧的な問題は解消された印象

Makiがカバーした「この高鳴り〜」は、

「さっきカバーしてくれてありがとう。お返し。」

とお礼を伝えるようにはじめ、

「明日には名曲が…Makiに生まれんだ」

と輝かしい未来を願うようにして始まったが、Makiの山本が苦労していたように柴田は歌がかなり上手い
一見普通に見えて簡単には歌えないのだ
今はどうなっているか分からないが、一時期ハイトーンボイスばかりになっていたシーン
ボーカルの上手さは自分が歌ってみないと分からなかったりする
「そんなうまくない」と思うボーカルほど上手い、これは世の理のようなもの

そのうえで久々に聞く「なつみ」は、記憶が正しければ柴田が昔付き合っていた彼女の名前から取られた曲だったはず(しれっとイガラシはライトハンド奏法をしてたりする)
しかしその中身は、

「今日電車に 年老いた親子が飛び込んだ」
「今日少女が 屋外から飛び降りた」

など忘れの中で1番シリアスな曲
ありがちな曲に受け入れたくないであろう真実をこれでもかと入れているのだ
「週刊青春」はリリース直後にコロナ禍に入ってしまったので、リリースツアーもだいぶ遅れての開催となった
PVには盟友の菅田将暉が登場するくらい、気合を入れたものだったのでタイミングが…と思わずにいられない

安田の鳴らすメロディーも、柴田の歌声も優しさで溢れている「うつくしいひと」を終えると、

①メロディーがいい
②がっと心を掴むような歌詞
③少年ジャンプみたいな感じ。

とMakiの良さを柴田は3つ紹介し、いかに柴田がMakiを好きであるかが伝わるが、

「大阪の時、翌日もライブ控えていて俺喉弱いから、飲むのは控えていたんだけど、(山本)響くんは打ち上げの際、ニコニコで好きな音楽について話すし、ムロフェスでは同じ日に出演していたんだけど、すれ違った際に敬愛するNIRVANAの服を来ていた。自分の好きなものを隠さずに出すのは簡単じゃない!!」

と山本への称賛は止まらない

こうやって柴田が山本を称えまくると、なんでMakiが色んなライブに誘われる気が分かる
山本が好きを堂々と出す純粋な少年だからだろう
具体的には話してないものの、佳大やまっちのこともきっと気に入っているはず

そうしてMakiへの愛を伝えたあと、「アイラブ言う」の範囲は、

「Makiだけじゃなく、ここに来た本物のみんなに言う。」

と会場全域に拡大

平日かつ、ただでさえ時間が限られているのにわざわざQUATROに駆けつけ、忘れやMakiを見に来てくれた
本物である参加者は言わずもがな、全員愛さないと

カップリング曲でありながらも演奏頻度が高い気がする「中年かまってちゃん」イガラシのうねりまくるベースで踊らせつつ、安田のギターソロでより引き立てると、お馴染みの「俺よ届け」に繋がるが。この「俺よ届」は同名アルバムに収録されていたオリジナルver.の方
「新・俺よ届け」が誕生してからはキーが変更されたリアレンジver.で演奏されることか多かったが、この日はオリジナルが演奏されるなんて何年振りだろう

明らかに気持ち良さそうな柴田は、

「音楽が好きでバンドが好きでライブが好き。ライブしている時が1番楽しい!」

と音楽やバンドが好きであり、ライブしているときが人生1番の楽しみであることを伝えるが、

「好きなものを否定されるとムットするよな。俺も同じだから」

と参加者に寄り添うのは学生時代のことがあるからだろうか(柴田が学生時代にスクールカーストの底辺にいたのは有名な話)、柴田が参加者と変わらない人間であることを伝えたあと、鳴らすのはもがくバンドマンの姿を描いた「バンドワゴン」だが、

「僕らの音楽はヨゴされても死なない」

の通り、1行目で答えが出ている
どんなことがあっても忘れの音楽は死なない
忘れ以外のミュージシャンが生み出した音楽もまた、1度生まれたら死なないのだ
並びに、

「僕らは音楽をやめない」

の通り、柴田は死ぬまで音楽をやり続けるだろう
レコーディング専用のアコースティックギターを生涯ローンで購入した程だし、自分も余程のことがなければ忘れの音楽を聞き続ける
それくらい忘れを愛してる

そのうえで「ばかばっか」になると、お約束のように柴田は客席へ
QUATROはバーカウンターにたどり着くまで段差があるので、参加者も丁寧に誘導した後、中央付近で立ち上がるがF.A.D.の時と同じようにゲストアーティストからも1人参加することになっており、Makiから山本も参加しイッキへ
山本は1日に2回イッキしたけど大丈夫なのだろうか?

そうやってMakiとより親睦を深め、最後は「この街には君がいない」でタイチが性急にビートを決めて終了
陽キャやパリピ以外は歩くのがキツい渋谷にこれほど向いた曲もないなとも思った

すぐにアンコールで戻ってくると、発表があることを伝えつつ、

「カッコよさは年齢や性別に比例しない」

と非常に頼もしい言葉を伝え、若者だけでなく全参加者を肯定する「これだから〜」を行うも、珍しく柴田の声は少しキツそうだった
「俺よ届け」を原曲キーで歌った影響が、多少出てしまったのかもしれない

それでも柴田の声は枯れることなく、最後の「CからはじまるABC」でロッキンに触れつつ、

「CLUB QUATTROで飲みました」

も歌詞を変えた後、最後は客席に向かってギターを下ろした柴田はフロアダイブ
柴田は終始楽しそうだっしイガラシも笑顔
過去1番に幸せな忘れらんねえよだった

記念撮影では一部公演でサポートしたLEGO BIG MORLのタナカヒロキも参加
その後告知として、

次回でツレ伝100回目
新曲9/27解禁
11/4ワンマン

を発表

この情報は7/28まで閉口令が出され、29になると新曲「そっか、自由か。」が「ベイビーわるきゅーれ ナイトデイズ」の挿入歌になることが発表

これからも期待できることばかり
どんどん柴田隆浩はカッコよくなっていくだろう

要約すると、忘れもMakiも最高なんだ!!

セトリ
いいひとどまり
スマートになんかなりたくない
踊れ引きこもり〜boys & girls(Makiのカバー)
花火
この高鳴りを何と呼ぶ
なつみ
うつくしいひと
アイラブ言う
中年かまってちゃん
俺よ届け
バンドワゴン
ばかばっか
この街には君がいない
(Encore)
これだから最近の若者は最高なんだ

Cから始まるABC






※忘れ×PK shampooのレポ


※前回見たMakiのライブレポが載ってる記事


※前回見た忘れのライブレポが載ってる記事