JAPAN JAM4日目
昨年と退場方法が大いに変化したため、帰宅時間が遅くなったこと
それに伴い出発が遅れるなど、もろに退場方法の変化が影響した模様である(なので食料調達も蘇我駅でせざるをえなくなっていた)

この日はSKY STAGEスタートになった関係で正式にこのフェスの総合プロデューサーになった海津亮が開演前に前説で登場
今回でJAPAN JAMが15回目の節目を迎えたこと、富士スピードウェイから幕張メッセ、今はなきSTUDIO COAST、サマーソニックのBEACH STAGEに使用される海岸で開催されていた時期を振り返りつつ、モッシュダイブに限らずサークルモッシュを禁止していることに理解を求めた(昨年のロッキンオンのフェスでサークルモッシュが原因と見られる負傷者を出してしまったらしい)
だからこそあの事件は起こって欲しくなかったが…

・UNISON SQUARE GARDEN[SKY STAGE](11:30〜)
そんな4日目、トップバッターを任されたのは現在20周年イヤー真っ只中のUNISON SQUARE GARDEN
トリとして出演するものだと思っていたが、その逆に該当するポジションでの登場となった

いつものように「絵の具」をSEに、TKO(Dr.)、田淵(Ba.)、斎藤(Vo. & Gt.)が持ち時間の関係上、普段よりも少し早めに登場し、斎藤が客席にお辞儀したあと、軽くセッションを開始
持ち前のグルーヴで客席を魅了した後、

「UNISON SQUARE GARDENです!!」

と斎藤が自己紹介して「世界はファンシー」から始まるが、4日目と最終日はチケットがソールドアウト
参加者が前日よりも明らかに多く、ステージがまともに見えないので何度も移動を繰り返したほど
加えてこの日、明らかにあのバンド目的のファンが多い
故に

「ハッピー」

の場面でピースする者も少なく、「初見多いのかな?」と思ったが、斎藤が

「my fantastic guitar!!」

と叫ぶと、即座に大歓声が

「名前は聞いたことあるけど、ライブは見たことがない」という方々が割といる状況
それでも斎藤のfantastic guitarは参加者を魅了する

「世界はファンシー」の終盤でTKOが装着し、デジタルクワイアのコーラスが響き渡る「カオスが極まる」は様々なジャンルが集う音楽フェスを比喩しているようにも
しかし1日沢山のジャンルを堪能でき、至るところからコーラスが飛び交う状況
これは「楽園は近いぞ」ではなく、もう楽園
カオスも序盤に「カオス〜」をやる時点で十分極まっている

そこから「オリオンをなぞる」へシームレスに繋がるが、JAPAN JAMのそもそもの肝はコラボ
開演前に海津もその点を告げていたが、ユニゾンがJJに初登場したのは2019年であっても、

海津「2011年にBIGMAMAに斎藤宏介参加、2013年は斎藤ホストにTRICERATOPS和田唱が出て。」

と話していたように、斎藤はJJの創世記から携わっている

なのでユニゾン側が応じるかは分からないにしろ、FCツアーだけで見られたイズミカワソラとのコラボを打診して欲しかった
「オリオン〜」は鍵盤が入るのと入らないのであまりに違うから

ユニゾンの主催ライブで幕間は基本的に沈黙
チューニングやエフェクターのスイッチを踏む音が普通に聞こえてくるので、メンバーに呼びかける参加者がいる風景はワンマンでは普段見られないもの
なおかつやっぱりMCをしないので、斎藤がブルージーなギターソロで貫禄を見せながらも、

「あのね歌詞書いているの僕じゃないんで 田淵に言っといて」

で田淵を指す重心低めのロックンロール「蒙昧Termination」に入ったと思いきや、TKOが再びヘッドフォンを装着し派手なホーンも用いた「いけないfool logic」で急にテンポを変えながらも踊らせたかと思いきや、ライブ用にちょっとしたセッションがイントロに追加された「Invisible Sensation」ではTKOの4つ打ちに合わせて踊らせつつ、

「生きて欲しい!!」

と斎藤は叫ぶ
こんなにカッコいいロックンロールを見せたら、何度でも見るために生きる原動力になるはず

そんななか、少し意外だったのは「フレーズボトル・バイバイ」
去年のツアー前半戦では演奏されず、聞けたのはライブハウスツアーとなった後半戦くらい
それもラストではなく、「ここで!?」な位置に配置してくるのが田淵流
思えば先日参加した「Catcher In The Spy」のリバイバルツアー、「カラクリカルレ」が「なんでここ!?」な位置に配置されていたりと、10年前から田淵のセトリスキルは発揮されていた
田淵がユニゾン以外のアーティストのセトリを決めるイベントをやってみて欲しいし、ここまでそこまで動いてなかった田淵もここら辺からようやく活発になったような印象である

そしてTKOのイントロのフィルインが合図となる「フルカラープログラム」の間奏で斎藤と田淵が向かい合わせに演奏し、大きな歓声を浴びた後、数年前のように音をギリギリまで絞ることはないものの

「そうだ
涙キラキラ西の空に光る
モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを」

とロックンロールが無敵あることを宣誓し、

「ふざけろ!「いつか終わる、悲しみは」
どうか忘れないでよ」

の強力なメッセージを歌い上げたあと、TKOがヘッドフォンを着用した上でラストナンバーは今年初めて聞いた「シュガーソングとビターステップ」
ワンマンがFC限定ツアー、リバイバルツアーとコンセプトツアーが続いてるからこういう状態になるのだが、最後だからか田淵は跳ねるどころかステージに寝転がるというあまりにハイテンションなパフォーマンス
しかしここでベースがトラブったのか、途中でベースを交換
何事も無かったかのようにまたベースを弾き始めていた

この日見たアーティストで、最初から最後までMCも無くライブしていたアーティストはユニゾンくらいだった
ワンマンも90分で終わるし、MCすらない
これだけアンサンブルで見せるバンドもいないだろう

武道館3daysが未だに最終日しか取れず、「もうライブビューイングだろうが飛びつく」状態になっているが、この日も無敵で鉄壁なスリーピースぶりを見せてくれた
これからも狂騒をくれよ!

セトリ
世界はファンシー
カオスが極まる
オリオンをなぞる
蒙昧Termination
いけないfool logic
Invisible Sensation
フレーズボトル•バイバイ
フルカラープログラム
シュガーソングとビターステップ

・Maki[WING STAGE](12:20〜)
2年連続出演のMaki
今年はBUZZ STAGEからWING STAGEに昇格して出演である

Monkey Majikの「Around the world」をSEに、最初に登場した山本(Vo. & Ba.)が軽く挨拶して、佳大(Gt.)、まっち(Dr.)が続いて登場すると昨年リリースされた「Toy box」よりこれぞメロコアな「風」から
Makiは一時メジャーに在籍し、インディーズに戻るdustbox(dustboxは一時EMIに所属していた事がある)のような歩みを辿っているが、昨年Talking ROCK!!が主催したイベントでは「Toy box」の曲はツアーでしかやらないような発言をしていた
ただこの「風」に関してはどうやら例外だったようで、ロケットスタートを決めたあとは、

「朝一番だし声聞かせてくれ!!」

と「ストレンジ」でかの有名な

「何気ない言葉が 君を殺してしまったんだ」

を合唱

佳大のギターと共にエモーショナルな景色を築き上げていく

普段ならMakiのライブはモッシュダイブが起こる典型的なパンクバンドのライブをするが、

「今日はライブハウスじゃなくて、JAPAN JAMのルールに合わせてやります!!WANIMAみたいに早い曲もやりますから」

とこの日はJJのルールに則って
このJJのルールがいかに大切かということを痛感する出来事が後に起こってしまうのだが、Makiのファンは山本の主旨をしっかり理解したのか、普通ならサークルモッシュが起こってもおかしくないショートチューンの「斜陽(この日は連続でやることはなし)」でも暴れることは一切しない
それは、郷に入っては郷に従えの通り「ここにはここのルールがある」と理解しているから
きちんとファンが会場における線引き出来ているということでもある

それにモッシュダイブが出来なくとも、参加者には合唱できる権利が有る
なので「虎」で、虎の咆哮のようにまっちのツービートに合わせるように合唱するのは変わらない
ピースフルな現場を見せれば、「ワンマンか主催ライブに行ってみたい」と考える参加者も生まれるし

「春というより夏だよね?」

という山本の一言に参加者が同意した後、会場を涼しくしようとしたのか、まだ先の秋の歌こと「秋、香る」を行うと、

「私の素晴らしい才能によって、どんな季節にも適応できる(笑)」

と自画自賛を始める山本(笑)

「何言うてんねん」とすかさず心でツッコミを入れるも、適応できるのは季節だけでなく、シンプルな新曲「Record Dogs」も全体で手が挙がるなどして、受け入れられている印象
歌謡曲とパンクを上手く重ねる山本の才能は流石である
 
「酒のつまみみたいに楽しんでくれたらいいよ。なんなら自由に肩を組んでくれてもいい」

と先ほど一転、「酒の肴でも構わない」いうような謙虚な姿勢を山本が見せたあとは、「Lucky」で恒例の肩組み
上司を殴ったら首になってしまうのでそんなバイオレンスな行動は取れないけど、見知らぬ人と肩を組むことはできる
そうした微笑ましい光景は人数が多ければ多いほどいい
沢山の参加者が「Lucky」と感じられているだろうから

「俺達モッシュダイブ大歓迎だから。ライブハウスでも会いましょう。」

とこの日出来なかった行為は、ライブハウスでするように促し、ラストは「憧憬へ」
ライブハウスだけでなく、今年の夏も来年も蘇我で待ってる

セトリ

ストレンジ
射陽

秋、香る
Record Dogs
Lucky
憧憬へ

・HEY-SMITH[SKY STAGE](13:00〜)
昨年の後半にはメジャーレーベルに移動、CDJではGALAXYのトリを務めたHEY-SMITH
ロッキンでは何故かサブステージだったが、JJは流石にメインステージ
それも裏に一切の被りがない時間帯への出演

おなじみのオープニングムービーを合図に猪狩達6人が一斉に登場し、「Living In My Skin」が始まると、瞬く間に周囲でスカダンスが繰り広げられていく
前日は一切見られなかった風景
満やイイカワケン、かなすが吹くサックスがSKY STAGEをライブハウスに変えていったことを表す瞬間

すると早くも「Say My Name」
「東京リベンジャーズ」の主題歌としてヘイスミの名前を広げた代表曲をこの序盤でやる
フェスはとにかく移動が激しい
前日に出演した羊文学も「more than words」が終わった瞬間に一気に客が移動した
故にセトリを組むのは慎重な判断が求められるけど、被りが何も無い時間ならなんの躊躇も必要ないということだろうか

ハードロックテイストの強い「Be The One」に、Yuji(Vo. & Ba.)の歌声に合わせて拳を挙げる「2nd Youth」とキラーチューンをガンガン続けていくが、つかの間のブレイクを挟み、

「君たちの目の前にいる俺達が本物のロックバンドだ!!」

と猪狩が高らかに宣言すると、メンバーのソロ回しも含んだ「Into The Soul」でダンスフロアへ
こうしたインストナンバーをフェスで出来るのはHEY-SMITH以外なら東京スカパラダイスオーケストラくらい
かつてはSPECIAL OTHERSもロッキンオンのフェスにでて、踊らせていたが近年はほとんど呼ばれないし、スカパラも毎回出るとは限らない
今やヘイスミがロッキンオンのフェスで毎回スカで踊らせる貴重な存在になっている

しかもこの日は快晴
絶好のフェス日和ということはスカには最高のロケーションであるのだが、「Endless Sorrow」の間奏で

「No More War!!」

の合唱が起こると、一気に身が引き締まる

今の政府は憲法を改正して戦争する気満々
なのにマスコミは憲法改正の危うさを伝えないし、なんなら新宿で起こっていたらしい反戦デモもSNSを開かなければ知ることはできない
いつ戦争が始まってもおかしくないが、どんなときだと惑わされない心を持ち続ける
そして戦争を認めないマインドを持ち続けないと

そんなシリアスな雰囲気を打ち消すように、友情ソングである「Don't Worry My Friend」と続き、昨年リリースされた「Rest In Punk」より猪狩のギターテクも冴えわたる「Be My Reason」と新風も加わるが、

「どうせみんな返りにバスの中でプレイリストとか作って帰るんやろ!!(作りません(笑))。その時に1番印象に残っている曲」

と猪狩が繋いだのはYujiの声が爽やかに響き渡る「Summer Breeze」
酷暑まではいかないけど、水分補給をガンガン行わないとやってられない日
そんなに吹く心地よい風は印象に残るだろう
暑さを涼しさに変えてくれる涼しい風として

そのうえで猪狩が参加者を全力で肯定する「You Are The Best」からTask-n(Dr.)の華麗なドラミングを合図とする「We sing our song」で合唱を起こし、情熱的なまでにホーンが響く「Dandadan」と来て、最後は「Comeback my dog」だが、ここで事件が起こる
本来サークルモッシュ禁止のこのフェスで巨大サークルが現れたのである
誤解を招かないように言うと、猪狩は

「好きなようにやれ!やりたいことをやれ!!」

と煽ったものの、これは決してサークルモッシュを煽ったものではない

それ以上に問題なのは、このサークルモッシュに子供が巻き込まれてしまったこと
一部の参加者の身勝手な行動がこの悲劇を招いてしまった

Makiの山本がJJのルールに合わせてライブした直後の事件
今回は出演してないけど、毎年ロッキンオンのフェスに名を連ねるcoldrainのMasatoはサークルやモッシュ行為について、

「そういうのはやるべき場所でやれ。俺はこのフェスのルールを尊重している」

と注意喚起すると共に、ロッキンオンへの敬意を評していた

ライブは良かっただけに後味残るものとなってしまったし、HEY-SMITHもまた名を汚されてしまった

セトリ
Living In My Skin
Say My Name
Be The One
2nd Youth
Into The Soul
Endless Sorrow
Don't Worry My Friend
Be My Reason
Summer Breeze
You Are The Best
We sing our song
Dandadan
Comeback my dog

・PEOPLE 1[SUNSET STAGE](13:45〜)
初出演した2022年はフェス未出演にも関わらず、トップバッターに抜擢されたPEOPLE 1
昨年2023年はBUZZ STAGEに出演していたが、今年はメインステージに戻ってきた

ステージにバンドロゴがデカデカと設置され、先にドラムのTakeuchiが登場した後、サポート1人に加えDeu(Vo. & Gt. & Ba.)とIto(Vo. & Gt.)の2人が登場して、アルバムのラストだった「鈴々」から始まるとサビの合いの手に合わせて跳ねる方が続出
2年前、自分はバンド名も知らなかったし、とてつもなく集客したらしい昨年のBUZZ STAGEでのライブも見たことがない
でも去年のCDJで初めて見た際、EARTHはものの見事に埋まっていた
年明けにはぴあアリーナでワンマンしたバンド
このような風景になるのは至極当然とも言える

サポートメンバーがもう1人合流し、「チェンソーマン」の闇と光を1曲で忠実にまとめ上げた「DOGLAND」、ストレートなギターロックで「銃の部品」と序盤はDeuがハンドマイクである場面が多く、Deuは花道をふんだんに使う
去年のCDJでもEARTHに進出していたけど、こうして花道を使うなら広いステージでのPEOPLE 1をより見たくなる

Deuが発した「ドキドキしてきた!!」の一言以上に、Takeuchiの手数多いビートやユニークな鍵盤リフに心踊らされる「ドキドキする」を終えると、軽く自己紹介した後、再びメインステージに帰ってきたことを告げるが、

「初めて出演した際、渋谷(陽一)さんから「大丈夫か…」なんて心配されたけどもう自分たちはあの時と違う!!」

と告げるIto

実際「星巡り、君に金星」のリリースインタビュー時、Takeuchiは当時を振り返って相当緊張していたことやItoも人前でパフォーマンスするのが苦手であると話していた
JJ2022の出演者発表時にPEOPLE 1の名前がアナウンスされると、Twitterが騒然としていたのも覚えている(当時のPEOPLE 1はライブ本数が少なく、大抜擢だったから)
でも今のPEOPLE 1がメインステージに立つことに異論を申し上げるものはいない
着々とライブ経験を重ねてスキルアップし、なおかつ大衆に親しまれる存在になったからである

「DOGLAND」と共にPEOPLE 1の知名度を高めた「GOLD」は、タイアップとなった「王様ランキング」の世界を意識したような合唱が起こるが、「エッジワース・カイパーベルト」では至る所でタオル回しが起こる
一見タオル回しは普通に起こるように見えるが、この一体感はアーティストを愛する人が集まって起こるものの

「好きなものが多いほどこの世は
ずっと楽しいってことを」

とはいうが、PEOPLE 1も参加者の多くの好きなものになっている
初出演した2年前よりもきっと倍以上に

そんなアッパーな構成から一転、メロディーがただただ美しい「常夜燈」に、ヒップポップ調な「113号室」と続くが、「113号室」はDeuの内心が濃く出た曲でもある
しかもDeuは「星巡り〜」のインタビューで、

「これは失敗作。まだ上手く出来たはず。」

と非常に客観的に見ていた

それは「113号室」がリリースされた頃とマインドは変化してないということだ
ぶっちゃけ「星巡り〜」は傑作だ
でもDeuから見たら満足はしていない
Deuが満足するアルバムはどのようなアルバムなのだろう

そしてラストは「ハートブレイク・ダンスミュージック」で自由に踊らせてるが、

「時間が余ったので!イマジネーションが湧いてきた!!」

と「イマジネーションは尽きない」をねじ込み、曲を終えるとDeuは

「撤収!!」

とステージを去った
PEOPLE 1のイマジネーションはまだまだ尽きない

セトリ
鈴々
DOGLAND
銃の部品
ドキドキする
GOLD
エッジワース・カイパーベルト
常夜燈
113号室
ハートブレイク・ダンスミュージック
イマジネーションは尽きない

・キタニタツヤ[SKY STAGE](14:30〜)
本来はチョーキューメイを見る予定だったものの、次のSUNSET STAGEのアーティストがのっけから見たいバンドだったので、急遽キタニタツヤに変更
昨年はBUZZ STAGEだったが、大バスしたのもあって、一気にSKY STAGEまでジャンプ

スキマスイッチやウルフルズのサポートでもおなじみ浦を含むバックバンドが登場しただけで大歓声になるということは、キタニタツヤが登場しただけで更に歓声が
ここまでSKYで見たユニゾンやヘイスミ以上に人がいるのは間違いないし、キタニのアーティストロゴが背に映しながら、「聖者の行進」を冒頭に持ってくるのは始まりの合図
破壊力抜群のドラムと共に、ここからキタニのパブリックイメージであるダークな世界観が広がるとなると、一気に気持ちが高揚する

そんな高揚した心を読むかのように、早くも新曲「次回予告」を投下
「五等分の花嫁(原作は終われどまだメディアミックスは続くらしい。まさか新作ノベライズをするとは思ってもなかった。なお自分は四葉推し。)」の春場ねぎが手掛けた「戦隊大失格」の主題歌として、新しい代表曲になっているとはいえ、

「いけ、たたかえ、まけないで!」
「せいぎはかつ、まけたらわるもの?」

の大合唱が早くも成立してしまうのが驚き
それだけキタニに音楽リスナーの注目が行ってるということ
しかも昨年、紅白に導くヒットソングが生まれたにも関わらず、ブラックミュージックを基調とする音楽性がブレてないのが凄い

ラテンの雰囲気とハードロックを融合させた「Rapport」を経て、

「去年はバズってないのにBUZZ STAGEに出させてもらったけど(観客爆笑)、1年経過すると「こんなに変わるのか」と思った」

と去年の春から今年にかけてを振り返るキタニ

「スカー」をリリースした辺りから、キタニを取り巻く環境が変化している感じはしていた
Saucy Dogやマルシィ、Chilli Beans.と共演した2022年のTalking ROCK!! Fes.は浮いていたが、CDJ22/23のCOSMO STAGEは凄まじい数の人が集うようになったから
去年、BUZZ STAGEへの出演が発表になった際は「Zeppクラスでライブしているんですが」とズコーになった
でもそこから紅白に出場するようになるなんて、キタニも思いもしなかったはず

だがそれ以上に今年初めにリリースされた「ROUNDABOUT」、キタニがギターを使用する機会が明らかに増えたので、ロックに傾倒すると思ったら全くそうではなく、音楽性はそのまま
「キュートアグレッション」のようにあくまでベースはブラックミュージックに寄ったままなのだ
タイアップによってはロックに転じ、それ以外はダークな方向性を追求しているのかもしれない

King Gnuのようにブラックミュージックをロックに転じさせた、キタニ節な「タナトフォビア」で踊らせた後は、「これをフェスでやるのか!?」な「私が明日死ぬなら」もやってしまうが、これは参加者との繋がりを残す曲
ネガティブな曲ではないのだ
なので終わり際にはキタニがここに集った方々とまた会えるように指切りをかわす
一部の方はすぐに武道館でまた会えるはず

そしてキタニがここでギターを背負い、遂に「青のすみか」が鳴らされる
キタニを国民的アーティスト、並びに紅白へ連れて行った曲
それも青空の下の「青のすみか」は、より過去のことを思い出しそうだ
原作は今まさにクライマックス
伏線が次々に回収されに行っているが、ダークでもありコミカルな場面もある「死滅回遊」の主題歌をキタニが担当するなら、どんな曲になるのだろう
バッドエンドで終わりだけは勘弁してもらいたい

この「青のすみか」を終えると、周囲にいた方々が次々に去り、「おい」とツッコミを入れたくなったが、すかさず鳴らすはキタニ流のギターロックである「スカー」
そこでキタニは、

「お前だけの痛みだ!!」

と力強く叫んだ

春になったことで新生活を送る人が多いが、最初から上手くはいかない
絶対に誰かとぶつかってしまう
そうして傷を負ってしまう方もいるだろうが、その傷さえ自分しか得られない財産
それを活かせるか、活かせないか
それは参加者次第である

そんなキタニのライブのラストは、大合唱になることが約束された「悪魔の踊り方」
この数週間後には武道館ワンマン
キタニは武道館でどのようなライブをするのだろう
武道館で再会する約束だよ

セトリ
聖者の行進
次回予告
Rapport
キュートアグレッション
タナトフォビア
私が明日死ぬなら
青のすみか
スカー
悪魔の踊り方

・結束バンド[SUNSET STAGE](15:15〜)
この日の出演者で1番の衝撃だろう
一昨年にアニメが放送され、じわりじわりと人気が高まった「ほっち・ざ・ろっく!!」から結束バンドがまさかの野外フェス出演を果たしたからである(ちなみにこの裏はTele、タイムテーブルを見た瞬間に大いに発狂した(笑))

Aimerのバックバンドでリードギターを弾く三井(from LOST IN TIME)を中心としたバンド(去年のワンマンライブと同じならもう1人のギターは比田井、ベースは三井と共にAimerバンドに所属する高間、ドラムはakkinが先に登場し、爆音セッションを繰り広げたあと、劇中では喜多ちゃんを演じている長谷川(知らない人のために解説すると、主人公の後藤ひとりことぼっちちゃんはリードギター)が登場し、

「結束バンドです」

と長谷川が告げると、アニメのOPでもあり音羽-otoha-が手掛けた「青春コンプレックス」から始まるが、長谷川の歌声はあまりにも上手い
今日の声優は演技と同時に歌唱力も強く求められる傾向がある
なので「声優=歌が上手くて当たり前(ちなみに上手い声優ランキングで何故か坂本真綾や花澤香菜、早見沙織はランク外。あくまでキャラソンに焦点を置いているのか?)」のような感じになっているが、長谷川の歌声はバンドマンそのもの
「こんな上手いの!?」と衝撃が走るレベル、だからこそ結束バンドのボーカルに抜擢されたのだろう

ZAQが作詞を手掛け、作中でも重要な場面に流れた「ギターと孤独と蒼い惑星」は長谷川が花道を歩きながら歌唱していくが、ぼっちちゃんが鳴らすリードギターを現実で鳴らすのは三井
Aimerのライブでもリードギターを主に担うのは三井(逆にリズムギターはずっと真夜中でいいのに。もサポートしている佐々木"コジロー"貫之が主に担ってる)だし、なんなら「残響散歌」のギターソロを弾いてるのもこの方
「けいおん!!」のようにキャストが自ら楽器を弾くわけではないが、目の前で結束バンドがバンドをしている
テレビを飛び出して現実で
フィクションとリアルが交錯する夢のような瞬間を見ている目撃者になれているのがとても嬉しい

ベースがゴリッゴリに、ビートもよりパワフルになる「あのバンド」でバンドのハードな部分を提示すると、長谷川がバンドを代表して挨拶するが、

「下北沢スターリー…」

と自己紹介は劇中の設定そのまま
スターリーのモデルになったSHELTERは何故か聖地になっているらしいが、長谷川がこう話すに、やっぱり結束バンドが現実に現れたという感覚で間違えてない模様
どうせならぼっちちゃん役の青山吉能とかも来てほしかったが

初めて見る方も多いことを確認した長谷川が、初見さんに優しくするように呼びかけ、「星になれたら」で長谷川はゆっくり花道を歩いていくが、自分が「星になれたら」を聞いて真っ先に浮かんだのはthe band apartの「夜の向こうへ」
ぼざろの音楽のルーツはおもに00年代後半から10年代のギターロック
バンアパもその対象に入ってるかもしれない
既に結束バンドは閃光ライオットのオープニングアクトで野音に立っている
でも野音は改修工事が延期になった
流石に2度目の延期はないだろうし、フェスでトリも難しい
だったら野音で単独ワンマンをやって、夜空に「星座になれたら」を聞きたい
これ以上無い絶好のシチュエーションだろう

そこから大きく雰囲気を変えるのは三井が奏でる美しいメロディーがSUNSET STAGEの後方まで届いていく「フラッシュバッカー」
あまりにスケールの大きいサウンドスケープは、ライブハウス以上にこうした野外空間があまりにも相応しいし、音の反響がなかなか上手くない野外のステージでもしっかりと音が伸びるのは三井を中心とした凄腕バンドのお陰
作中の設定上、どちらかと言えばライブハウスの方が結束バンドのイメージに合うかもしれないが、そのうちアリーナでワンマンにするようになるのだろう
「けいおん!!」も武道館でワンマンしていたし

長谷川が「重要な曲」と評した通り、作中での分岐点となったエピソード(忙してくて途中までしか見れてないが、恐らく4人で江ノ島に行く回?)を浮かべる「小さな海」を終えると、結束バンドがZeppでツアーをやることを発表
「キャパ狭すぎない!?」と思う方もいるだろうが、ライブハウスで経験をつんでようやくホールやアリーナに足を踏み入れる事が出来る
だから次第にホールやアリーナでもライブを見る事が出来るようになるはず
まだまだムーブメントを起こしそうだし

そして劇中でもクライマックスのシーンに使用され、ギターとベースがバッチバチに絡まることで痛烈に残像を残していくような「忘れてやらない」を経て、最後は昨年SAKANAMONがセルフカバーした「光の中へ」の結束バンドver.
SAKANAMONver.はライブハウスを何年も歩んできた藤森たちとの泥臭さを感じたが、こちらは長谷川の歌声によって煌めきを感じる世界観に
同じ曲でも描く世界は真っ二つ
参加者を光に誘っていくように、結束バンドの初野外フェスは終えた

ロッキンオンもそうだけど、VIVA LA ROCKを主催するMUSICAもぼざろを見事にスルー
触れたのは音楽と人ぐらいだ
一昨年のCDJ以降、ロッキンオンのフェスでもぼざろに出演者(ハンブレッダーズはもろに)は言及しても、本誌はあまり触れてなかった
それだけにぼざろのムーブメントに、ロッキンオンが無視出来なくなるほど存在が大きくなったと言ってもいいだろう
かつてCUTでけいおん!の特集も組んだし、この前日にはバンドリ関係のアーティストも出演していた(なんなら特集もロッキンオンwebでやっていた)
ぼざろに触れず、何がロックだろう
ロックとはマイノリティのものでもあるから

今、春アニメでは「ガールズバンドクライ」という新しいバンドアニメをやってる
ここに上げた3つのバンドアニメとは方向性が全く違う
あまりにも明るくなく見ててキツくなるかもしれないが、リアルなバンドマンが描かれているし、曲の完成度もとてつもなく高く、人気に火がつき始めてきた

来年、もしかしたら3つのバンドアニメの劇中バンドがJJのステージにラインナップされる日も来るかもしれない
まさしくエポックメイキングなアクトだった

セトリ
青春コンプレックス
ギターと孤独と蒼い惑星
あのバンド
星座になれたら
フラッシュバッカー
小さな海
忘れてやらない
光の中へ

・マキシマム ザ ホルモン[SKY STAGE](16:00〜)
メインステージはPEOPLE 1以降、フレッシュなアーティストが続いていたが、ここで雰囲気は一変
今なおシーンの顔であるマキシマム ザ ホルモンが君臨するからである(なおこの裏はChevon。ガラガラは阻止したものの、今回のタイムテーブルで1番キレた箇所)

お馴染みのSEと共に現れ、怒号のような歓声と共に迎えられるとダイスケはん(Vo.」が客席を思い切り煽るが、「What's up, people?!」で始まるのは久々
ホルモンがフェスに出演する際、オープニングは「恋のメガラバ」かこの「What's up, people?!」だったりするのだが、「絶望ビリー」と共にDEATH NOTEの世界観を亮君なりに忠実に再現したのがこれ
未だに夜神月がゆっくり階段を登っていくあのシーンを思い出すし、錯乱したかのように音がぶつかり合うラストも快感
よく考えたらモッシュダイブありのホルモンを見たことないが、「What's up, people?!」のラストは凄まじいモッシュダイブになるのだろうか?

そのまま「月の爆撃機〜」のカバーを含まず、「鬱くしき人々のうた」が始まるのは少し意外な気もするけど、両君の鬱体験を赤裸々にしつつ、美しいメロディーに昇華する
新曲のリリース方法があまりにぶっ飛びすぎて、「アルバムリリースされることあるのだろうか」と思うこともあるけど、これだけラウドなのにキャッチーに出来るのがホルモン
そのホルモンのスタンスは明らかにシーンに影響を与えたし、今もこうして第一線に立ち続けている

ナヲ(Dr.)が新生活を迎えた人に配慮しつつ、この日くらいは1回忘れて楽しむように促すと、ちょうど昨年のロッキンの去り際にタイトルが明かされた「恋のアメリカ」が蘇我に帰還
各メンバーにボーカルパートがあるので一瞬も見逃せないし、腕を交互に素振りするようなダイスケはんの仕草も面白かったりする
去年なんでハンバーグ師匠がホルモンのプロモーションをしたのかは謎だけど

すかさず「my girl」では例のように、膣ジャンプを行い、初めて見る参加者を困惑させていくが、一時期このジャンプは他のアーティストのライブにも逆輸入されたりしていた(東京カランコロンとか)
昨今振付を入れるバンドはとても増えたけど、これほど刺激的な振付をやるバンドはホルモン以外いないだろう

ダイスケはんがJJの参加者の歓声が昨年よりパワーアップしていることから、

「声でかすぎて洋服の青山や山岡家がビビるんちゃうか!?」

とかつてフレデリックの三原けんじにも弄られた洋服の青山がカメラに映り、終演後にはJJ参加者が列を作る山岡家もホルモンの弄りのターゲットがなされるのだが、「しか」というキーワードが亮君の耳に入ると、亮君の暴走モードに
そうなった経緯は、モニターにガチンコ・ザ・ホルモン最終回の動画をダイジェストで流し、亮君がDANGER × DANGERを食べた事で2号店も回収したことが説明されるが、亮君がDANGER × DANGERを取り込んだ姿が本人も恥ずかしがるレベルだったため、宿主を上ちゃんに変更
あまりにも気持ち悪い映像にダイスケはんやナヲもツッコミを入れていたが、その結果上ちゃんがDANGER × DANGERを吸収し、「チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラプリンプリン ボロンヌルル レロレロ」はエレクトロが非常に強くなった2号店仕様
2号店でなされたアレンジを本店か吸収するのはあまりに反則だが、この説明は毎回なされるのだろうか(ビハラでもやったらしい)

上ちゃんがスイートな太もとい、ただの太に戻ったことでナヲの甘い歌声から亮君の太い歌声が一気に襲いかかる「恋のスィート糞メリケン」に繋ぐが、いつもの恋のおまじないは時間があるので念入りに
ナヲが、

「ぼっちにならないためのおまじない!!」

と叫んだように、明らかに結束バンド目的のファンに配慮したのだろうが、最後の「恋のメガラバ」で「ハレ晴レユカイ」を踊る「涼宮ハルヒの憂鬱」、「サマーウォーズ」や「君の名は。」の映像が次々に流れたりすると、案の定周囲から爆笑が起こっていた
そのうち結束バンドも映像に取り込まれるのか(むしろ「魔法少女に憧れて」の方が優先されそう)

この日は前説で海津も話していたけど、絶好のフェス日和だった
それをナヲは、

「こんなに快晴なのは日頃の我々の行いが良いからです!!」

と自分達の手柄にし、「タイムテーブル遅延の常習犯が何を言ってるんだ(笑)」とツッコミを入れてしまったが、この日も素晴らしいライブをしてくれて「#ホルモンありがとう」

セトリ
What's up, people?!
鬱くしき人々のうた
恋のアメリカ
my girl
チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラプリンプリン ボロンヌルル レロレロ
恋のスィート糞メリケン
恋のメガラバ

・DISH//[SUNSET STAGE](16:45〜)
キャリア自体は長いものの、ロッキンオンのフェスに呼ばれるようになったのは、コロナ禍になってから
なのでDISH//もフレッシュな存在だし、3年連続出演とロッキンオンのフェス名物になりつつある

サポートギターやサポートベースを招いた6人編成で登場するも、昨年と違って黄色い声援が起こらないのは男性ファンが増えたか、アイドル視されなくなったからだろう
それだけロッキンオンのフェス名物になったということだが、マカロニえんぴつのはっとりと匠海(Vo. & Gt.)が共作した「沈丁花」で始まるのはあまり無かったパターン
それは日々支えてくれるスラッシャーも、DISH//の作品を日頃から愛してくれるリスナーへ「忘れずに感謝を伝えなくちゃ」と手紙を当てているようなものでもあったが、すぐにこれまで切り込み隊長の役割を果していた「No.1」で泉(Dr.)はパンキッシュなビートを刻み、客席からは沢山「No.1」を掲げるポーズが上がっていく
単に最初の曲を変えただけ、そんな反応を抱く方もいるだろうが、この細かな変化が大いに驚く結末の伏線になる
この時は誰も思っていなかっただろう

北村がエレキギターを背負い、自身が作詞作曲し橘(Key. & DJ. &
MC.)が浮遊感あるメロディーを鍵盤で鳴らす「万々歳」で踊らせた後、匠海は軽く挨拶と感謝を口にすると、昨年と同じく今年も「揺れていく」で合唱を起こす
自発的なだけでなく、身体も風に揺らされてい野外に相応しい1曲
野外のDISH//といえばこの曲なのだろうか

矢部(Gt.)がブルージーにギターを鳴らす「真っ白」から、橘はスクラッチも行い、DJがいるロックバンドならではの強みもみせるが、「Vamping」では鍵盤に加えてラップもこなし、匠海共に2MCの陣営もみせる
ドラマはほとんど見ない人間故、匠海達がどんな演技をやっているかは分からないが、バンドはどんどん幅が広がっているし、泉のドラムは去年見た時より更に研ぎ澄まされた
叙情的にビートするドラマーにより進化したような感じである

そして「JUMPer」は優先エリアにいるスラッシャーが振付を行いつつ、匠海や橘に加え矢部もマイクリレーに加勢、文字通り跳ねさせていくが、DISH//がロッキンオンのフェスに定着した今、「JUMPer」もロッキンオンのフェスの風物詩である
ロッキンオンをはじめ、色んなフェスに出演することで「JUMPer」は沢山の人に認知されていった
なんならこの「JUMPer」を楽しみにしている方もいるはず
フェスに出るとは、色んな音楽リスナーにコアの部分を知ってもらう行為でもある

ラストはDISH//なりに生きる意味を肯定する「HAPPY」で泉は再び気迫籠もったドラムを見せたが、セトリにはあの「猫」がなかった
DISH//を導く鍵となった「猫」をやらないのは思い切った判断だが、これは全くネガティブな事ではない
アンサンブルの進化により、DISH//は「猫」に頼らなくともDISH//は戦える力を得たということ
バンドとして大いに成長したのである

むしろ自分は4人が今後、どういう曲を我々に示してくれるかを楽しみにしている
DISH//にしか出来ない曲が生まれているからこそ
DISH//の曲を聞き続けるためにも生きろ!!

セトリ
沈丁花
No.1
万々歳
揺れていく
真っ白
Vamping
JUMPer
HAPPY

・10-FEET[SKY STAGE](17:30〜)
数年前にホールツアーをやった際には大いに驚いたけど、「第ゼロ感」の大ヒットに伴いアリーナツアーまで実施するようになった10-FEET
マキシマム ザ ホルモンの後の登場と、ラウド・パンクの大御所が立て続けに登場している

いつものように「そして伝説へ」のSEが流れ、バンドのロゴを掲げる参加者が続出する中、持ち時間が40分しか無いのでTAKUMA(Vo. & Gt.)がNAOKI(Ba.)やKOUICHI(Dr.)と拳を交わしSEも途中で中断
時間が許す限りやり続けることをTAKUMAが宣誓し、「VIBES BY VIBES」を始めるとサビで客席からはとにかく手が上がりまくり
一時は10-FEETのライブでさえ、モッシュダイブが消える信じられない光景が広がっており、だからこそ今までやらなかったホールツアーに挑んだりしたが、「VIBES〜」特有のサビで腕を上げまくる動作は消えないまま
10-FEETの曲で1番手を動かす事が多い曲
いくら座れる箇所もあるとはいえ、原則オールスタンディングのフェスで初手にこれは疲労が凄まじい

デジタルミクスチャーを主流とする10-FEETの現在の音楽性の出発地点、「ハローフィクサー」で同期もアンサンブルも爆音で鳴らした後、

「最後のライブのつもりでやります。ビバラには出るけど(笑)」

とライブの主旨を伝えるTAKUMA
決して解散するわけではない
されど、明日も無事に生きていれられるかなんて分からない
去年からミュージシャンの訃報が相次いでいるから尚更
だから10-FEETは1つ1つのライブを大切に全うしようとしているのだろう
偉大な大先輩が昨年亡くなったから

そんなシリアスな話をした後、TAKUMAの笑い声を合図とする「Shoes」ではNAOKIの歌うベースラインと共に踊らせたり、現時点での最新シングル「Re方程式」はシリアスなフレーズを羅列しつつも、

「もう1回 もう1回」

に合わせて、腕をあげさせる
何度も何度も立ち直させるように

そのうえでかつてロッキンオンのフェスでも巨大なサークルが生まれていた「1sec.」で急加速やブレイクダウンを繰り返し、KOUICHIがリズムを何度も変えながら上手に飛び出していたNAOKIが加速と同時に回転していくと、

「お前を悲しませるやつは3人でぶっ飛ばす」

と頼もしい一言を告げるTAKUMA
しかしそのままぶっ飛ばす→殴るだからか、

「今すぐ 今すぐ〜」

とCHAGE and ASKAを歌い出すTAKUMA(笑)

確かに歌う曲としてテーマは間違ってないが、これはフリだったのか直後にTAKUMAは「その向こうへ」を気迫込めて歌い、NAOKIは思い切り足を上げる
我々を泣かせる奴らをふっとばすかのように

そのうえで「第ゼロ感」はやはり大歓声
昨年のJJかロッキンで見た際には、SLAM DUNKの潮北高校のユニフォームを着用していた方まで現れて、「なぜそのユニフォームで会場にいる」とツッコミを入れたくなってしまったが、NAOKIはお馴染みの開脚奏法をするし、合唱だけでなく視覚面も楽しませる
なので熱狂と共に笑顔を届けてくれるのだが、やっぱり移動する参加者には、

「映画の曲聞いて移動する人は、爆発するシステムになってます(笑)」

と移動組を口撃(笑)
もう「第ゼロ感」警察でも設けて検閲をしたほうがいい(笑)

そしてTAKUMAがギターをかき鳴らしながら叫ぶ「ヒトリセカイ」を終わっても、時間があまり最後はイントロを一部省略して「back to the sunset」を高速で
ステージを去る際には、

「あとはWANIMAに託すわ!!」

とバトンを渡していった

横浜アリーナでワンマンを行う日は刻々と近づいてきた
アリーナでワンマンをするイメージが無かっただけに正攻法で行くのか、それとも何か仕掛けがあるのか
全てはその向こうで分かる

セトリ
VIBES BY VIBES
ハローフィクサー
Shoes
Re方程式
1sec.
その向こうへ
第ゼロ感
ヒトリセカイ
back to the sunset

・ASIAN KUNG-FU GENERATION[SUNSET STAGE](18:15〜)
この日のSUNSET STAGEのトリはアジカン
結束バンドのメンバーの元ネタであるのは有名な話だが、結束バンドとアジカンが同じステージで立っているのがあまりにもエモい

サポートのatsukoやGeorgeを加えた6人編成でSEもなく登場し、ちょっとしたセッションを皮切りに始まるのはフェスではお馴染みの「Re:Re」
去年のツアーはサポート無しの4人で回っていたからGeorgeやatsukoがいるアジカンは久々
atsukoのコーラスが彩りを加え、Georgeの鍵盤は曲を2024年仕様にアップデートしてくれるが、結束バンド目当ての参加者は結束バンドがどんなバンドか、きっと待ったはず
だから正しく

「君を待った」

な状態

山田(Ba.)がベースをなぞりだした途端から高揚しただろうし、建さん(Gt.)があのリフを鳴らした瞬間に声を上げてしまったのではないか

自分が初めてアジカンを見たのは2013年のロッキン
その時は完全に「ランドマーク」のモードだから7人編成という大所帯モード
なので少し違った初体験をしているが、目の前にアジカンが現れて「あのアジカンが現れた!!」となった時の興奮はおぼえているし、ツアーに行くようになった今ではゴッチ(Vo. & Gt.)の声を聞くたびに

「君じゃないとさ!!」

になる
ライブに行く前からアジカンとの縁は深かったから

その縁をもたらすきっかけになったのが、小学校の校内放送で頻繁に流れていた「リライト」
ワンマンでは毎回やるわけではないものの、イベントやフェスでは必ずやる
きっとゴッチなりの優しさなんだろうが、最終日アクトではないからだろうかリライト警察は出勤せず、メンバー紹介にとどめる
どうせならリライト警察を説明して欲しかったが、それこそくだらない超幻想か

去年のツアーではほとんど演奏されなかったものの、前日に出演していたWurtSがアジカンのツアーに呼ばれた際カバーしていたらしい「Easter」で爆音を鳴らしたあと、軽い挨拶をするとともに「自由に楽しむ」ことを促すゴッチ
今やアジカンはシーンの大御所として紹介されることは多いけど、「○○な感じ」、「こういうふうに」といった感じはアジカンに無い
何度もアジカンのライブに参加している方は分かるけど、確実に初見が多いこの日
ゴッチの一言に安心した方は多いハズ

そのうえで名曲を惜しみなく投入するのがアジカンであり、「ソラニン」のイントロが奏でられると大いに沸く場内
ちょうどこの時期、軽音サークルに入部した新入生が最初の演奏会に向けて準備しだす頃
アジカンで初心者向けの曲と紹介されやすいのが「ソラニン」だけど、潔(Dr.)の細かなビートを見るたび、「また多くの初心者が挫折するのかな」と思ってしまいがち
どういう基準で初心者向けを判断しているのかが気になってならないが、この「ソラニン」がリリースされた2010年、あまり間髪開けずにリリースされ最初困惑したのがあの「マジックディスク」だったりする
未だに収録曲をライブで聞けてない気がするが、8月に横浜BUNTAIで行われる感謝祭ではようやく聞けるのだろうか(落選続出で驚いているけど)

イントロのセッションを皮切りに潔の手数多いビートが滑らかに刻まれる「ブルートレイン」、建さんのギターが広大に、サビではゴッチだけでなく建さん、atsukoのコーラスも響き渡る「サイレン」と去年のツアーではやらず、Georgeの手腕で2024仕様にバージョンアップされた名曲が続く一方、「出町柳パラレルユニバース」は今回のアジカンで最も新しい曲

去年自分は「出町柳〜」をはじめ「サーフ ブンガク カマクラ」の曲を江ノ島電鉄終点の鎌倉駅から駅が2つ離れた大船駅を最寄りとする鎌倉芸術館ホールで聞けた
初めてアジカンのワンマンに参加した場所だし、大学の帰りによく足を運んだ大船付近にあるホール
自分としては過去1番に思い出深いワンマンとなったが、夏には潔加入25周年を祝うアニバーサリーライブがある
その先にも新曲を用意して暮れているだろう
「宿縁」を収録するであろうアルバムも気になるし、その先のアルバム、
アルバムリリースツアーは6人だろうから、過去の曲がどんな風にアレンジされるかも気になる
つまりまだまだ終わりじゃないってことだ

そして結束バンド目的のファンが1番楽しみにしていたであろう「転がる岩〜」でゴッチが時に叫ぶように歌うと

「結束バンド出てこなくてごめんね(笑)。でも結束バンドには感謝してるよ。」

と長谷川が参加しない事を謝りつつ、結束バンドへリスペクトを送ると、

「これは自分たちが厳しい現実を生き抜くために作った曲。中国のフェスで初めてやって、四国のフェスでやろうとしたら銀杏BOYZの峯田が草刈りしていってその時、1番良いメロディの曲としてこれをやった。」

と完成した直後のことを話すゴッチ
なんとなく峯田がやりそうな事は想像つくけど、「転がる〜」がそんなに大切な曲だったとは…
ワンマンでやることはあれど、フェスではそこまで積極的にやることが無かった曲
結束バンドのカバーによって、再評価されるようになったわけで、

「20年も経過してないけど、みんなの心に届いているなら嬉しいです。」

と話すゴッチ
より多くの人に届く契機が生まれて良かった

そして

「俺たち南米に行きます。俺たちを世界に連れて行ってくれた曲!!」

と最後は山田がバッキバキのベースを皮切りとする「遥か彼方」
アジカンの原点であり、世間に最初にアジカンの名前を広げた曲
「転がる〜」よりも「リライト」も歴史は古いけど今もドキドキする
だから、

「生き急いで搾り取って
縺れる足だけど前より
ずっとそう、遠くへ」

の部分で大合唱が起こるのだ

それにとどまらず2番は途中から建さんが歌うという新しい形へ
現在進行形の進化を見せて、ゆっくりステージを去った

ぼざろのお陰で、00年代後半から10年代前半に活躍したギターロックバンドは再評価されだした
SAKANAMONはO-WESTをソールドさせて動員が戻っているし、KANA-BOONやtricotとぼざろに楽曲提供したアーティストは再び注目されるようになった

でも1番恩恵を授かったのはアジカンだ
フォロワーさんとも話していたが、自分達を育ててくれたロックバンド
その筆頭であるアジカンが再評価するのは自分のように嬉しい

8月の感謝祭ライブはセトリを両日変えると聞いている
これを逃したら当面聞けない曲もあるだろうから、両日参加したい
これからも遥か彼方

セトリ
Re:Re
リライト
Easter
ソラニン
ブルートレイン
サイレン
出町柳パラレルユニバース
転がる岩、君に朝が降る
遥か彼方

・WANIMA[SKY STAGE](19:10〜)
SKY STAGEのトリは意外にもJJにはこれが2回目の出演(前回はJAPAN JAM BEACH時代だった2015!?)となるWANIMA
久々に見る予定だったロッキンは台風で飛んでいき、昨年のロッキンは自身のコロナ感染で欠席…
待ちに待ったWANIMAとの再会である

入場SEである「JUICE UP!!のテーマ」を皮切りに登場するとKENTA(Vo. & Ba.)は最初から花道を走りまくり
前回見たのはコロナ禍前のぴあフェスだと思うのだが、その時と今のWANIMAは大きく異なる
KENTAは帽子を着用してないし、なんなら昔みたいに

「開催します!!」

と叫ぶことも無い

大袈裟に言えば別バンドに生まれ変わったかのようだが、南米の雰囲気を濃く感じる「ララバイ」が始まるとKENTAは客席の1人1人に目を向けるように何度も目線を歌っている
しかも声量もずば抜けており、「KENTAってこんなに声量あったの!?」と今更ながらビビってしまう
一応デビュー直後のツアーには参加していたのだが

続けて「花火」と夏を思わせる曲が続くのだが、KO-SHIN(Gt.)が鳴らすメロディーが夏を浮かばせるだけでなく、LEDにも花火が打ち上げられているような演出がなされる
今回のJJはSKY STAGEのトリが終わると花火が上がるが、WANIMAの「花火」も含めれば2回花火が打ち上げられたことに

一方で「最近のWANIMA」を現す曲こと、「眩光」はただひたすらにストレートなパンクサウンド
しかしこの「眩光」を聞いたとき、自分は「これは!?」となった
一応WANIMAの音源は目を通し続けていたけど、いつからか熱心に聞かなくなった
でも「眩光」を聞いたとき、自分の中でもう1度衝撃が走った
もちろん「Can Not Behaved!!」をリリースした頃とは全然違う
ただ「これがWANIMA!?」と生まれ変わった感じを受けた
「catch up」がリリースされる際、色んな音楽メディアが「第2のデビューアルバム」と伝えていたけど、本当にその通り
遥かに進化して驚いたし、KENTAも昔より色んな表情を出すようになったり気がする

そのうえで

「みんなで歌おう!!」

とKENTAが叫ぶのはONE PIECEの映画主題歌にもなった「GONG」
自分は熱心にONE PIECEを読み込んでいるわけではないので、映画やアニメも見てないが、FUJI(Dr.)のビートを中心とするアンサンブルは海上で激しい戦闘が行われているシーンを思い浮かべる事が出来る
この時間の頃、天候はむしろ冷え込んでおり、「春フェスの時間やんけ」と思っていたが会場の熱気は夏フェス模様である

その熱気をより高めんとラテンにレゲエや手拍子と様々な盛り込んだミクスチャーチックな「リベンジ」、令和の「BIG UP」とも言うべき「Oh!? lie! wrong!!」とミクスチャーテイストな曲を続け、

KENTA「今日はどんな夜にしたい?」

の誘い文句からFUJIがホイッスルを鳴らしながらビートを刻むダンサブルな「オドルヨル」に繋ぐが、途中でKENTAがハンドマイクになると奇妙な振り付けが始まり、

「なんだコレ」

とKENTAもつぶやく程(笑)

いつの間にかカーニバルが形成されていた

そして夏のセンチメンタルな空気や熱さを充満させている「夏暁」を終えると、

「辛い時や悲しい時は一人で抱え込むなよ!いろんなアーティストやWANIMAがいるから会いに来いよ!」

とKENTAが思い切り叫び、紅白でも歌唱された「ともに」へ
ライブに行かずとも、「ともに」をテレビ越しで聞く日はあった
何故なら福岡ソフトバンクホークスのギータこと、柳田悠岐の登場曲として起用されているから
ギータはある年からずっとWANIMAの曲を使っているし、なにせ「catch up」に収録された「遠くまで」はギータのために書き下ろされた曲だ
自分はギータが初めてサヨナラホームランを打った試合を現地で見ており、今でもギータの虜
故に「ともに」を久々に生で聞けて感無量だったが、時間が余っているということで「Hey Lady」も追加していった

前述の通り、今と昔でWANIMAは違う
indigo la Endなどで活動する川谷絵音も話していたし、インタビューでもKENTA自身も話していたけど本当のKENTAは明るくない
だから今みたいに常に笑顔ではないKENTAが素の自分なのだろうし、何度ステージを走り抜けても全然声量が落ちない

「いろんなアーティストから、10-FEETから受け取ったバトン!」

の通り、色んなアーティストから託される存在になるのも当然だ

去年コロナになって以降、参加予定日に見る予定だったアーティストを見るリベンジを密かに行っていたが、ようやくWANIMAを見れてよかった
これからもともに

セトリ
SE.JUICE UP!!のテーマ
ララバイ
花火
眩光
GONG
リベンジ
Oh!? lie! wrong!!
オドルヨル
夏暁
ともに
Hey Lady

・神はサイコロを振らない[WING STAGE](20:05〜)
この日のクロージングアクトは神はサイコロを振らない
前からずっと見ようと思っていながら、ようやくタイミングがあったバンドである

SE(ひょっとして「心海」に収録されている「Into the deep」?)と共に柳田(Vo. & Gt.)達がステージに現れ、同期の電子音が夜空によく似合う「What's a pop?」からスタート
正直に言えばアンサンブルは派手ではないが、そのかわりに為されているのは繊密なアンサンブル
細かい演奏をするにはテクニカルが求められ、黒川(Dr.)や桐木(Ba.)が織りなすグルーヴは丁寧なもの
神サイにしか描けない世界へ誘われているかのようだ

浮遊する電子音が星星として具現化し、吉田(Gt.)の歪んだギターが鳴りまくる「キラキラ」でアッパーに持っていくと、

「夕方にアジカンを見てもう思い残すことはないと思いました。」

とアジカンに魅力されたことを話す柳田
今のシーンで活躍するバンドは影響を公言しなくとも、アジカンは間違いなく通っている
柳田もアジカンに影響を受けているだろうから、感激だったのだろうが、

「…なーんて、ぶっ壊すぞ!!」

と豹変した柳田がギターを背負う「修羅の港」で一気にどんよりした空間へ
なにかのドラマのために描き下ろしたのは覚えているが、明るさなんてあまりにひりついた音像
それを野外でやるなんて一気に引き込まれてしまう

柳田がハンドマイクに持ち替え、ミドルテンポながら熱さが宿っている「タイムファクター(「ワールドトリガー」のOP、緻密な頭脳戦なだけにハードな曲よりはこうした抑えめの曲の方がいい)」をクールに鳴らしたあと、新曲の「May」で柳田は再びギターを背負うが、アッパーな曲をガンガンやるのではなく、アンサンブルで巧みにアプローチをかける
この日の出演者では珍しい戦い方をしているし、アンサンブルに自信がなければ出来ない戦略でもある
シーンにとっての特異点
裏を返せば独自な立ち位置にいるバンドだと感じてならない

「今日結局そこまで暑くなかったよね?夏フェスのつもりでやるぞ!!」

と柳田が叫んだ後にはさらなる新曲
現在行われているツアーで披露されている楽曲だと思うが、

「ムービースター」

といった単語が使われていたのを覚えている
恐らくツアーで磨かれた後、音源となるのだろうが完成形はどのようになるのだろう

そしてこの日のラストナンバーは遠くまで飛べるような力を最後にもたらしてくれる「巡る巡る」
知的なイメージでは間違えてなかったが、その奥底にある熱量に揺さぶられていた


セトリ
What's a pop?
キラキラ
修羅の港
タイムファクター
May
新曲
巡る巡る

前日のことがあったので、この日は真っ先に千葉寺駅のバスへ
前日よりも早く帰宅できたものの、「DJ終わる前に出たら蘇我駅まで歩いていけた」と聞いて、「交通費増えただけやん」と心でそっと思っていた




※JAPAN JAM3日目のレポ