4月下旬と言えば春フェスが本格的に始まる時期
ARABAKI ROCK Fes.やビバラロックと並ぶ春フェスの代表格、JAPAN JAMが今年も5日日程で開催である

昨年はBUZZ STAGEが追加され3ステージ制に戻ったが、今年は新たにWING STAGEが増設
コロナ前も含めて過去最多の4ステージ制である

・アルステイク[BUZZ STAGE](11:30〜)
メインステージであるSKY STAGEがモーニング娘であるためか、バンド目的の参加者はBUZZ STAGEに集中
若手が中心にラインナップされたBUZZのトップバッターはアルステイク
今年に入ってからTwitterで名前を聞く機会が増え、ツタロックフェスでもクロージングアクトに抜擢されていたが、ライブを見るのはこれが初

自分が会場入りした1030頃に既にリハは行われていたが、BUZZ STAGEは前説が無いこともあり、定刻数分前になると3人が登場し、開演のジングルが終わると同時に「嘘つきは勝手」から

PVは何本か見たことあるものの、メンバーの姿を実際に見るのは初めて
なのでひだか(Vo. & Gt.)は割りと長身だし、紅一点ののん(Ba. & Cho.)はよく飛び跳ねている印象
ドラムのあむ(Dr. & Cho.)は曲終わりごとに立ち上がったりするなどして、掴み取った大舞台の風景を忘れないように客席をよく見ている

自分は詳細をあまり存じないのだが、フォロワーさんのブログを読んだところ、SNSで炎上したらしく、「令和にデビューしたバンドは燃える宿命でもあるの?」と思ったりするのだが、音楽性は正統派のギターロック
「他人事」のメロディーは素晴らしいし、フィルターを貼らずに聞けばロック好きはきっと受けいられるようなバンドだ
歌詞を見ると「ん?」って思ってしまうことはあるが、それなら下ネタを用いるバンドはすぐ燃える(その点から考慮すると、下ネタを直喩せずに書く忘れらんねえよの柴田はもっと評価されるべき)
MCの言動はノリで話していい内容とそうでない内容があるという、ある意味反面教師の事例にされているということだろうか

可愛らしいタイトルのように、リズムにもわんぱくさが現れている「わんちゃん」で目を覚まさせたあと、

「岡山から来ました、アルステイクです。」

とひだかが自己紹介し、「岡山出身のミュージシャンってそんないないな」と振り返るが、直後に名曲「ワガママ」
本当にひだかのセンスは凄い
こうも簡単に名曲を生み出してしまうのだから

「今裏ではモーニング娘さんが出ていますね?モーニング娘みたいに俺たちは踊ることは出来ません(笑)。」

とモーニング娘を絡めながら自己分析するひだか

「踊れるバンドマンの方が珍しいでしょ」なんて思った方もいるだろうが、

「でも心を踊らせることは出来ます」

とロックの本質にたどり着き、「未完成のまま」でのんはステージの前に座り込んでベースラインを奏でるが、

「ハルカミライやSUPER BEAVERを聞いてきた」

とアピールするひだか
いずれも10年代終盤に浮上したバンド
渋谷や橋本達の魂は早くも次世代に受け継がれようとしている
近年は新星が現れては、あっという間にメインステージに到達するパターンが多い
アルステイクも気がついたら、ハルカミライやSUPER BEAVERと同じメインステージに立っていたりするのだろうか

「声を出したら外でもライブハウス!!」

の名言の元、普段ならサークルモッシュを誘発させるイメージが強い「走れ」、文字通り踊らせるための曲こと「踊れ」とショートチューンを連発
BUZZ STAGEをライブハウスに変えていくと、ひだかは

「GWってみんな買い物いったりするじゃん。だけどみんなわざわざライブを見に来ている。みんなのほうがカッコいいよ。」

と早い時間からBUZZ STAGEに集まった参加者を讃え、「チェリーメリー」はのんと対面しながら歌うような場面もあったが、

「俺が1番カッコいいけどね(笑)」

なんてさらって言ってしまっても、憎めないのは計算済だろうか

夜空を見上げて聞きたくなる「今日は」を終えたあと、

「真面目に頑張っている人ほど損しやすい世界じゃん。帰りのバスの中で日響きますように。」

と正直者ほど損してしまいしがちなこの世の不条理に触れ、帰路の中でも響くように、「心」をより心を込めて歌ったあと、最後は1日を駆け抜けてゆくエネルギーをあたえるように再び「走れ」を行った

今日SNSではネガティブな情報はどんどん拡散され、拡散範囲は多方面に渡る
とはいえミュージシャンの本質はライブであり、選択肢的に見ざるを得ない中で見たアルステイクは紛れもなく素晴らしいバンドである
音楽に嘘をつくことは出来ないから

来年は1つ上のステージか
あるいはBUZZのトリを担う存在になるのか
心は走っている

セトリ
嘘つきは勝手
他人事
わんちゃん
ワガママ
未完成のまま
走れ
踊れ
チェリーメリー
今日は

走れ

・シャイトープ[WING STAGE](12:20〜)
今年から新設されたWING STAGEはSKY STAGEのほぼ真後ろに設置
休憩スペースのすぐ近くに設置されたようで、「これ夏のロッキンは設置厳しいかな…(ロッキンで設立されるPARKとHILLSIDEのもろ近くなので、音被りの問題が発生する)」と思ったが、3日目のトップバッターはこちらもアルステイクと同じくスリーピースのシャイトープ
どういう因果か、こちらも見るのは初めてだったりする

壮大なSEに招かれるように3人が登場し、しがらみが生まれ来にくいフェス空間を指すように同期も用いた「tengoku」で始まるが、アルステイクと比較するとこちらはロックとポップスの中間のような感じ
同期は使えど同日に出演しているThis is LASTのように派手な飛び道具はなく、シンプルやギターロック
けれども佐々木(Vo. & Gt.)の声は、芸術品のように美しい
この佐々木の歌声かシャイトープの特徴の1つ

佐々木が挨拶すると、今年はじめにリリースされた「オードブル」からオープニングの「None」でアッパーに持っていくが、ふくなが(Ba.)によるグルーヴィなベースラインは自然に会場を掌握するし、コーラスも兼ねているドラムのタカトマンは後半で一気に一打を強める
迫力があるわけではないが、アンサンブルで丁寧に見せる
それがシャイトープの武器である

「よくこんなタイトルつけたな…」と思うくらいバイオレンスなタイトルながら、実際はシンプルなギターロックな「誘拐」を終えると、佐々木はコールアンドレスポンスを促すが、シャイトープの出演時間は12時代
しかもWING STAGE付近にはフードコートもあり、この時間に「curry & rice」をやるのは打首獄門同好会と並ぶ飯テロ行為
おまけに何度も合唱させるので空腹を誘発させるようなもの
今後シャイトープは飯時に出演させられる運命を背負うかもしれない

しかも「マーガリン(しかもおやつ代わりに持ち込んだパンはマーガリン入りと偶然にも程がある)」とまたも食べ物タイトルが続き、「ひょっとして趣味はグルメ巡り?」なんて妄想してしまうが、

「ロックンロール 信じていいのかい」

に対しては、「信じていい」と迷わず返す
ギミックも無い、王道のギターロックをやるバンドなんて久しぶりだから

ただその直後のMC、自分が見ていた位置が失敗したのか、まともに聞き取ることが出来ず
でもそれを特にきにしなかったのは、Uruもカバーしていた「ランデヴー」を青空の下で聞くのがあまりにも気持ちよかったから

恐らくロッキンオンのフェスではなくとも、青空の下で「ランデヴー」を聞く機会は何度も訪れすだろう
しかも佐々木は、インタビューで

「これはあくまで前菜であって、僕たちの音楽は更に進化する」

と自信を持って話していた

情報過多な曲が増えた今のシーンに於いては異質な存在
トレンドに沿わないようなバンドになる可能性もある
そんなシャイトープのロックンロールを、自分は信じようと思っている
甘くても、甘くなくても

セトリ
tengoku
None
誘拐
curry & rice
マーガリン
ランデヴー

・ヤングスキニー[SKY STAGE](13:00〜)
今回のJJでは初のメインステージ
WING STAGEの裏にあるSKY STAGEに登場するのは、ロッキンオンのフェスでは初めてメインステージに出演するヤングスキニー
昨年のBUZZ STAGEから一気に駆け上ってきた

SEもなく先にゴンザレス(Gt.)を含む3人が歓声を浴びながら登場し、特にかやゆー(Vo. & Gt.)が登場すると一際歓声は大きくなるが、自分達のことを曲にしたような「らしく」は、

「JAPAN JAMのメインステージに立っているぞ!!」

とテンションを上げながら叫ぶ
去年話題になった際から好き嫌いがはっきり別れていたし、なんならこっちも炎上したことがある(こんな頻繁にバンドが炎上する時代になったから、THE BACK HORNが台頭した頃にSNSがなくて良かった)
けれども、

「誰もが目標とするバンドになってやる」

の通り、今やシーンを代表する存在
歌詞は依然好き嫌いが別れてしまうだろうが、曲中に叫びまくるしおん(Dr.)のビートはパンクだし、ゴンザレスのギターに憧れを抱くギタリストもいるだろう
歌詞に目を潰れば普通にカッコいいバンドである

とはいえ「ヒモと愛」の歌詞を共感するような人間にはなりたくないし、

「今日はなんの日でしょうか?ゴミの日です(いや憲法記念日だろう。憲法改正し、緊急事態条項導入は断じて許さない。)。俺の日です(笑)」

なんて言って、「ゴミ人間、俺」をやってしまうメンタルにはツッコミを入れたくなるが、りょうとのベースがゴリッゴリに響く「愛の乾燥機」とやっぱり外面は普通に素晴らしいロックだ
裏を返せばかやゆーのようなロックミュージシャンは今まで出てこなかった
だから急に出てきたかやゆーの存在を簡単に認めたくないのかもしれない

音源では戦慄かなのをゲストに招いた「ベランダ」を同期を用いながらじっくり聞かせたあと、

「みんな聞きたい曲やります。」

と代表曲の「本当はね、」を行い、「なんでTOKYO CALLINGはやんなかったの?」と昨年9月に見たときのことを思い出しつつ、リリースされたばかりのショートチューン「プレイボーイシンドローム(これも歌詞は好き嫌い別れる)」をパンクに鳴らすが、

かやゆー「ヤングスキニーのロックは激しいだけじゃない!芯を貫く事がロック!!」

と叫んで始まる「精神ロック」が今のヤングスキニーの核だろう
そこに綴られたのはかやゆーのロックへの思い
恐らくこれでヤングスキニーのイメージが変わった方は多かったはず
ロックへの愛情がここに詰まっているから
ヤングスキニーのアンチは多いだろうが、アンチは関心があるからこそなるのであり、裏を返せばファンに変えることも出来る
「精神ロック」はアンチをファンに引き入れる程の力をもっていると思っている

そして

「誰かを救うために歌ってるわけじゃないけど、自分を救うために歌っている曲が誰かの希望になれたら!!」

とこの日のある出演者に近いスタンスをかやゆーが説明し、最後は「憂鬱とバイト」をやろうとするも、かやゆーが歌詞を飛ばしてしまう事態に
思わずかやゆーは客席に合唱を委ねたが、すると客席が大合唱して歌を返していた
ヤングスキニーの歌が誰かの希望になっていることを示唆するドラマチックな結末になった

セトリ
らしく
ヒモと愛
ゴミ人間、俺
愛の乾燥機
ベランダ
本当はね、
プレイボーイシンドローム
精神ロック
憂鬱とバイト

・帝国喫茶[BUZZ STAGE](13:40〜)
ヤングスキニーを最後まで見ていたこともあって、SKY STAGEからBUZZ STAGEへ急いで移動(SKYとWINGはBUZZまでの移動時間がかなりかかる)
するとお目当てだった帝国喫茶がちょうど始まるところ
個人的に1度見てみたいと思っていたバンドである

なので到着した瞬間に「貴方日和」が始まるが、70年代や80年代を連想させるフォークソングはバンド名にも入っている喫茶店を連想させるもの
ブレイクタイムを設けるように入店し、コーヒーを一杯飲んでいるような気分である

しかし「and i」は歌謡曲に見えた前半から、アクリ(Gt.)のギターが爆音になったことがトリガーとなって、倍速化すると共に杉崎(Dr.)の手数が急激に増加
その変貌ぶりは一筋縄ではいかない人生を曲に具現化させたよう

かと思いきや「君が月」になると、杉浦(Vo. & Gt.)のボーカルは広々と伸びいてき、ソリッドなギターロック「じゃなくて」はアクリがギターを鳴らしまくって、「燦然と輝くとは」では陽気な合唱とともに疋田(Ba.)のグルーヴィなベースが魅せりと、多彩なメニューが用意されている喫茶店である
ドトールコーヒーもタリーズコーヒーもコーヒーだけでなく、紅茶など今やメニューは多岐多様
音楽シーンにおける喫茶店は帝国喫茶になるかもしれない

そのうえで初期衝動をむき出しにしたような「春風往来」で杉浦はハンドマイクになり、ステージを動きまくり
この変貌ぶりに自分は驚いてしまったが、30分でこれだけ多様な曲を展示していると、「我々はこんなジャンルを持ってますがいかがですか?」とアピールしているようなもの
色んな角度からリスナーを引っ張れるから口コミを通して広がり、Zeppでワンマン出来るようになったのだと思う

そして最後は疋田の歌うようなベースと共にカントリーテイストな「夜に叶えて」
正直なところ、自分は「帝国喫茶Ⅱ 季節と君のレコード」の曲を聞きたかった
「みんなへ」が非常に気に入っていたからだ
もう1本ライブを見て、ワンマンに行くか判断しそうだが、自分が普段からドトールコーヒーを好んでいるように、この喫茶店も好むことになりそうだ

セトリ
貴方日和
and i
君が月
じゃなくて
燦然と輝くとは
春風往来
夜に叶えて

・Novelbright[SKY STAGE](14:30〜)
令和に浮上したバンドはやたら炎上する
それはここまで出演したアーティストのレポでも書いた通りだが、このNovelbrightもここのところ炎上が多いバンド
路上から駆け上がってきたのに悪い意味で話題になっている

定刻になって専用のSEで出てくると、ドラムのねぎ以外は案の定刺青を丸出しにしているが、予想の範疇を超えているのは山田海斗(Gt.)
「その衣装のコンセプトは何やねん」とツッコミを入れたくなってしまうが、1番日差しが当たる時間に演奏される「Sunny Drop」はあまりに気持ちがいい
活発に動くもう1人のギター、沖聡次郎も派手ではあるが、山田が目立ちすぎてこっちはそこまで衣装が気にならない現象が起こっていたりする

続いて壮大なストリングスを同期に活用した「seeker」で圭吾(Ba.)がうねりまくるベースラインと共にねぎと強いアンサンブルを形成
Novelbrightが王道を貫きながらも、芯はロックバンドであることを示すがNovelbrightの武器は竹中雄大(Vo.)の歌声
終盤の伸びまくる歌声には客席から大きく歓声が起こっていた

NovelbrightはJAPAN JAMには5回目の出演であるものの、1回はコロナ禍で中止になった2020、もう1回はエントリーしていたものの、強風でSUNSET STAGEが解体されキャンセルとなった2023年の最終日
つまり2年ぶり、発声が解禁されてからはこれが初の出演である

「2年ぶりの思いをセトリに込めたいと思っています」

と竹中が告げたようにリベンジに燃えているわけだが、圭吾がシンセベースを使用する「愛とか恋とか」は竹中がサビで合唱を煽るとたちまち大合唱に
ロッキンやCDJでは見られていたけど、CDJではようやく見れた景色
これを持って、初めて真のJJに立てたと言えるはず

その「愛とか恋とか」以降もバラードが続くが「CIRCUS」を先日リリースしたこともあって、エレクトロR&B風の「Sensation」、冬をイメージする映像やサウンドスケープで季節を逆戻りさせる「雪の音」と「CIRCUS」のモードにシフトした模様
メンバーがそれぞれ炎上している最中(といっても、マスコミで騒がれるまでには至ってない)のリリースになったため、正当な評価が得られそうにないのが心苦しいけど、「CIRCUS」はNovelbrightのこれまでのアルバムで1番だと思っている
だから「青のオーケストラ」主題歌になっていた「Cantabile」を野外でやって欲しい
オーケストラの音が重なって放たれるように、野外でやるには最適なバラードと思っているから

「雪の音」をやったことに竹中が少し言及した後、竹中は客席をより煽っていくが、スパートを掛ける曲も「CIRCUS」のモード
ダンサブルでアッパーな「Awesome Life」で突き上げる反面、ダークな「Empire」はNovelCoreのパートも竹中はこなしているが、SNSをこの状況で皮肉って歌にしてしまうメンタルは強い
思えばNovelbrightが話題になってきた頃、シーン全体が猛プッシュを始めたものの、自分は「そんなに変わった特徴あるかな?」と思い、ありきたりな音楽に見えていた
それをライブを積み重ねていくことで、ライブバンドへ進化
王道を超えた超王道としての位置を確立したのだった
Novelbrightの岩盤はちょっとやそっと揺るがない

そしてラストはNovelbrightの代名詞である「Walking with you」
セットリストからは「ツキミソウ」も「開幕宣言」も消えた
Novelbrightが新しいフェイズに移行したということだろう

この日竹中は口にしなかったけど、やっぱりCDやサブスクで聞く音楽よりも生で聞く音楽が1番
例えSNSで燃やされようとも

セトリ
SC①Too Late
SC②Morning Light
Sunny Drop
seeker
愛とか恋とか
Sensation
雪の音
Awesome Light
Empire
Walking with you

・TETORA[WING STAGE](15:20〜)
BUZZ→SKY→WINGと凄まじいタイムテーブルになっているが、次にWINGで見るのは蘇我のロッキン最終日である8/12に武道館ワンマンが決まっている
名前は知っているが、タイミングが合わずにようやく見る機会が訪れた

SEがなって、アルステイクを見ている際に目の前を普通に通った刺青を入れたドラマーのミユキ、ベースのいのり、ボーカル・上野の順にステージに登場して「覚悟のありか」で始めるが、ここまで見てきたアルステイクやシャイトープと同じスリーピースであっても、スケールは大いに異なる
ライブハウスだけでなくアリーナでも通用しそうな広大なスケールである

「JAPAN JAM!今年からステージが増えました。ステージが増えてカッコいいバンドが増えた中で、本物を見つけて帰ってください!!」

と上野がまるで主催者のように参加者に呼びかけ、アニメーションのような可愛らしいPVが既に公開されている「
7月」が勢いよく駆け抜けて行くが、そのまま間髪挟まず演奏されたのは新曲の「6月」
既にライブでは披露されているようだが、「カブト虫」が歌詞に出てきたり、フラストレーションを爆発させるような場面も出てきたりと、どのような歌詞が気になってならない
「ハーゲンダッツ」が曲中に出てくるくらいだし

ミユキが性急かつパワフルにビートを刻む「嘘ばっかり」、スピーディーかつ上野がギターを鳴らしまくる「言葉のレントゲン」と途中言葉も加えながら、1曲1曲短いのでどんどん曲を続けていくが、TETORAはコロナ禍初期、メディアに悪者扱いされたライブハウスを援護するように「正直者だな心拍数」という曲を発表している
同じレーベルに在籍するアルステイクのようにパンクではないけど、スタンスはきっとパンクに近いはず

いのりがゴリッゴリにベースを鳴らす中で思い切り上野が声を出す「素直」、代表曲にして「これは共感したくなるわ…」と思ってしまうほど、歌詞が強烈な「ずるい人」と続けたあと、

「みんな今日のために仕事とか学校とか頑張って来たんでしょ!この時間で全部使って返すから!!」

とフェスに参加するために、日常を費やしてきた参加者を全肯定する上野
ライブで費やす時間よりも勉強や仕事に費やす時間の方が多い
自分だってその時間を音楽を聞いたり、アニメを見たり、漫画を読むことに使用したい
でもそうやって費やした時間は、楽しむことへの先行投資となる
その投資分をTETORAは全て返す
まさに本物のバンドである

そしてラストは憂鬱を取っ払うフェスの1日を指すような「今日くらいは」
序盤で上野は、

「心斎橋BRONZEからJAPAN JAMをやりに来ました!!」

と話していた

サブスク主流となった今日、アルステイクやTETORAはCDを貫いている
一見、「自ら聞かれに行く可能性を狭めているのでは?」と思われてしまいがちだが、サブスクが普及する前はそれが普通だった(SIX LOUNGEもそんな感じで出会ったし。)
あえてCDで聞く楽しみを未だに提供してくれるのだ

これまで見る機会が無かったけど、最初の邂逅で一気にぶち抜かれた

セトリ
覚悟のありか
7月
6月※新曲
嘘ばっかり
言葉のレントゲン
素直
ずるい人
今日くらいは

・indigo la End[SKY STAGE](16:00〜)
再びSKY STAGEに戻ると、「夜汽車は走る」をリハで演奏中だったindigo la End
今年のJJ初の優先エリアでツアーからほとんど間髪を開けずに見ることに

ツアーでも使用されていたSEでえつこ(Cho. & Key.)やささみお(Cho.)も含めた6人で登場するが、栄太郎(Dr.)はサングラスを着用し、後鳥もいつもより濃い眼鏡を着用するなど熱さ対策をしており、下手の絵音(Vo. & Gt.)やティス(Gt.)は素顔を晒しているのだが、

「indigo la Endです、よろしくお願いします。」

と絵音が挨拶し、フェスらしくアッパーな「夜明けの街にサヨナラを」でスタート
ティスはサビになると、前方に出てギターを弾いていき、ささみおやえつこのコーラスをインターリュードに「瞳に映らない」とこれもアッパーな曲が連発
ワンマンにも足を運ぶファンからすれば別に珍しい訳ではないが、去年の12月から先月まで年をまたいで行われたツアーでこれらはほとんど演奏されてない
それは「哀愁演劇」のリリースツアーはがっつりコンセプトが固まっており、オープニングからエンディングまでこれまでのツアーと全くの別物だったのが影響してる(ティスが座りながらギターを弾いたり、絵音が椅子に座りながらステージを見下ろして歌う場面もあった)
なのでいわゆる定番曲も久々に聞いた感触に陥るのである
「藍衆」のツアーがあまりに濃かったということだ

後鳥のベースが普段より太く感じる中、決めが非常に多い「想いきり」の間奏でタイトルの如く、思い切り音と音をぶつけ合うが、インディゴの中でも特に激しい「実験前」になると、普段よりは尺が短いもののティスが轟音ギターをぶちまけるに止まらず、絵音も荒ぶるようにギターソロを決めていく
そのまま後鳥のベースソロに流れるのは名物
されど、ワンマンに参加しない方からすればインディゴがシューゲイザーの影響を受けることはそんなに浸透してない
インディゴはロックバンドと証明する現場になっている

そうして動の部分を見せたあとは、ティスが得意とするメロディアスな音色を奏でる「通り恋」で栄太郎は世間が思い描くバラードよりも多めにビートを刻み、リズムはR&Bながらメロディアスというインディゴのスタンダードな新曲「心変わり」で絵音はハンドマイクで
この新曲がインディゴの次なるアルバムへの布石であり、インディゴの新作はゲスの極み乙女がまもなくリリースする「ディスコの卵」の先にあるもの
ここ近年はオルタナ寄りの作品が続いていたから、「濡れゆく私小説」の路線に戻ってくるのだろうか
インディゴとゲスの音楽は繋がっている
だからどちらのアルバムも目を離すことが出来ない

そのうえで、

「今年も最年長かと思ったら、SUPER BEAVERがいました(笑)」

とメインステージに到達するまで時間を要したバンドだから、また最年長扱いされかけたことを話す絵音
「そういえばビーバーは来年で20年目か」とこのとき思い出したりしたが、

「少し早いですが、夏の曲をやってもいいですか?」

と絵音が話す「夏夜のマジック」で季節は一瞬夏へ
今年も野外で「夏夜のマジック」を拝める季節がやってきたが、絵音は今年のワンマンで「夏にトリを務めるフェスがあるかも」と話していた
ロッキンと断定出来る訳ではない
でもロッキンならクロージングアクトの枠がある
持ち時間は短くなるけど、夏の野外で聞ける「夏夜のマジック」ほどシチュエーションが合うものはない
トリかクロージングアクト、どちらか検討していただけないだろうか

そして最後は栄太郎のビートが合図となり、後鳥がワンマンと同じく手拍子を叩いて煽る「名前は片想い」
12月にはバンド史上最大キャパとなる横浜アリーナワンマンを控えている
都市をまたいだツアーはのべ4万人を動員したようだが、2022年の武道館ワンマンは即日ソールドはしていない
今からどれだけアピール出来るかがかなり重要になるだろう
横アリワンマンの前にワンマンがあるかもきになるがロッキンオン、夏はお願いします

セトリ
SC.夜汽車は走る
夜明けの街にサヨナラを
瞳に映らない
想いきり
実験前
通り恋
心変わり
夏夜のマジック
名前は片想い

・羊文学[SUNSET STAGE](16:45〜)
ロッキンやCDJは出演したことがあるものの、何気にJJは初出演となる羊文学
しかし最大キャパとなった横アリワンマンの後、ドラムのフクダヒロアが療養期間へ
手負いの状態で春フェスに臨むことになった

定刻になってSEも無く塩塚(Vo. & Gt.)と河西(Ba. & Cho.)が登場し、サポートドラムもすぐにスタンバイするが「永遠のブルー」が始まった直後、「やっぱりこれだよなあ」のJ-POPとシューゲイザーが合わさったサウンドが炸裂していることから分かるように、影響は最小限で済んでいる模様
サポートを招いた編成になることが告知されたのは公演数日前
「急すぎない?」と困惑したが、横アリが終わった後から最悪のケースは想定していたのだろう
だからグルーヴが乱れず、アンサンブルも安定しているのである

同時にセットリストも昨年の暮れにリリースされた「12 hugs(like butterflies)」のモードにシフトしており、CDJでは演奏されてない「honesty」も演奏されるのだが、収録曲の中でも一際目立っていた「GO!!」はサビの直前にベースから謎のコールアンドレスポンスが発動
事前に練習させてから本番に突入する「そんなギミックあるんかい」な流れに
まだブレイクする前、今回のJJで導入されたWING STAGEの元とも言えるJAPAN'S NEXTに出演したとき、塩塚の声は音圧に負けていたし、なんなら淡々と演奏していた時期
UNISON SQUARE GARDENみたくMCが減るなら分かるが、こちらはストレイテナーのように軟化していたタイプのようだ

そのベースの煽りを塩塚が弄り、この日のサポートドラムを紹介していくが、cinema staffが主催するフェスのタイトルにもなっている「OOPARTS」では間奏で塩塚とベースがそれぞれ花道に進み、合図と共に両者接近して音をぶつけるのは例えるなら、ピーターパンとフック船長が激突しているかのよう
CDJのGALAXY STAGEならこの演出は出来ないが、花道が用意されたであろう横アリなら十分この演出が出来ただろう
芸術的な爆音だけでなく、視覚面でも楽しさを見せてくれる

そのうえで原作が佳境に入りつつある「呪術廻戦」の主題歌になっていた「more than words」は、ベースがスラップベースを入れながら日常が戦場に変わるようにJ-POPからシューゲイザーに化けるサウンドスケープで魅了し、ドリーム・ポップの世界に浸らせながら「光るとき」でこの世界の美しさを魅せると、最後はちょっと早いクリスマスの歌である「1999」
ダメージは最小限に食い止めたが、これ以降もがっつり羊文学は春フェスに出演する
7月はアジアツアー、8月からは最大規模の全国ツアーが続く
それまでにフクダヒロアは復帰できるのだろうか

客席後方まで行き渡るシューゲイザーサウンドは圧巻だったけど、やっぱり3人の羊文学を見たい

セトリ
永遠のブルー
honesty
GO!!
OOPARTS
more than words
光るとき
1999

・ハルカミライ[SKY STAGE](17:30〜)
羊文学が終わったのを確かめるように、SKY STAGEではすぐさまサウンドチェックが始まる
まだそこまでバンドが知れ渡ってない頃、現在休養中の渋谷陽一がCDJに強引にねじ込んだハルカミライがトリ前に登場
この日1番の暴れん坊の登場でもある

時間ギリギリまでサウンドチェックし、本番になった途端に橋本学(Vo.)が登場して挨拶したあと、いつものように「君にしか」で始まり関大地(Gt.)は下手に飛び出していくものの、途中で須藤俊(Ba.)が演奏を始めると早くも「ファイト!!」
「君にしか」から「カントリーロード」で攻めるのが必勝パターンと思っているだけに、この初期衝動ぶりは予想できないものだが、「カントリーロード」で大きな合唱を起こした後にはまた「ファイト!!」(笑)
ハルカミライのライブは初期衝動で動く
だからどんなライブになるかは橋本達でさえ分からないだろう
脚本のないドラマを行っているようなものだから

最初こそ上着を着ていた橋本はやっぱり上半身裸になり、「俺達が呼んでいる」で気が付くと関はドラムセットにまたがって(というよりドラマセットに壊さない範囲でダイブしていた?)ギターを弾いており、その状態でも平常心を保てる小松(Dr.)が凄いと思うのだが、ここらへんで橋本のマイクと須藤のベースが絡まったので、それを取り除くことに
そうして体制が整ったら、すぐに再開する柔軟性も見事である

「フルアイビール」、「春のテーマ」とハルカミライの必勝リレーを続けたあと、橋本が改めて自己紹介し、

「良い休日の楽しみ方を教えてやるよ。それはあっという間に終わらせること」

と良い休日の楽しみ方を説明する橋本
つまりあっという間に1日が過ぎていくのがいいのだと避難しているのだが、春というより夏の気候に近いからか、

「夏みたいな1日にしようぜ!!」

と夏の熱狂を呼び寄せるような「夏のまほろ」へ
ロッキンだと頻繁にやっているイメージがあるので春の野外には意外だけど、JJ後半3日は夏の天気になることが予想されていた
だからこそ「夏のまほろ」であり、自身の母校が今年こそ甲子園に行けるかも気になる(神奈川なので某高校ばかり行くのはもう飽食状態)

全員で合唱するイントロで小松が椅子を持ち上げていた「PEAK'D YELLOW」で、やはり

「へいへいほー」

と脱力感のあるようで、束になると手強い合唱を起こした後、

「今更言う必要ないかもしれないけど、フェス開催おめでとう!!」

ともう自然災害が起こらない限りはフェスは出来るけど、「当たり前でない」ことを忘れないようにフェスが開催できることを祝福するが、何故か上半身裸の小松は前に出てきており、須藤とライブが終わった後、モンハンをやることを約束するものの、一時期シーンで大流行したくるりですらはまったモンハンを橋本はやったことが無いらしい
かくいう自分もスロット(去年登場したアイスボーン。ワールドや黄金狩猟には絶対触れてはならない)で触れたくらいなので、そんなに知識はなかったりする

そうして前に出過ぎた小松をドラムセットに返させて「世界を終わらせて(福岡ソフトバンクホークスの長谷川威展の登場曲、なお長谷川威は「異世界航行曲」も登場曲にしており、相当なハルカミライのファンと思われる)」を行ったあと、ステージには橋本用のアコギが用意されていたのだが、

「ごめん、曲変える。」

と告げ、「アストロビスタ」を歌いながら

「音楽やライブハウスは閉鎖的空間だけど、フェスは俺達を解放的な場所へ連れ出してくれる。フェスに感謝してます!!」

と全てのフェスに敬意を払う橋本

自宅にいても音楽を聞くのはイヤホン越しで、ライブハウスも地上とは隔離された閉鎖的環境
音に没入できるので、それはそれでいい
でも爆音を野外で浴びれるのはフェスくらい
それは参加者だけでなく、アーティストも解放してくれる
フェスはこうした面でアーティストも支えているのである

そして残す歌こと「Tough to be a Hugh」からショートチューンの「エース」と繋いだあと、

「まだ40秒あるから「ファイト!!」行ける。お前ら走って移動しろ」

と須藤が命令すると、リハを含め本日5度目の「ファイト!!」で参加者は次々にSUNSET STAGEへ走り出す事態に(笑)
ほんとハルカミライは毎回、とんでもない瞬間を作り出す(笑)

セトリ
SC①ファイト!!
SC②ファイト!!
SC③フュージョン
君にしか
ファイト!!
カントリーロード
ファイト!!
俺達が呼んでいる
フルアイビール
春のテーマ
夏のまほろ
PEEK'D YELLOW
世界を終わらせて
アストロビスタ
Tough to be a Hugh
エース
ファイト!!

・SUPER BEAVER[SUNSET STAGE](18:15〜)
メインステージが2つあるということは、メインステージのトリも2組いるのがJJの特徴
まずSUNSET STAGEのトリで登場するのはSUPER BEAVER
ちなみにSKY STAGEのトリはマカロニえんぴつと、eggmanに所属するアーティストがトリを担っている

いつものSEで先に柳沢(Gt.)達が登場し、遅れて登場した渋谷(Vo.)が、

「レペゼンジャパニーズポップミュージック from 東京!SUPER BEAVER始めさせていただきます!!」

と挨拶するが、「音楽」のオープニングである「切望」から始まる辺り、ビーバーもまた新しいモードに入った
武道館で見た際、ド派手なヘアーで驚いてしまった上杉はそこまで目立たない髪型に変わり、ゴリゴリのベースで牽引するが見渡す限り客席はたくさんの笑顔
あなたがビーバーの登場を待ちわびていたのであり、ビーバーとあなたが気持ちの往来をすることでより笑顔の輪は広がっているのである
祝福空間を出てきただけで高める
今のビーバーは大いなる存在感なのだ

武道館3daysでは何故か1日も選ばれなかったらしい「突破口」は、藤原のパンキッシュなビートが立ちはだかる壁を取っ払うが、今日に至る前までビーバーは次々に新たな前例を作り上げてきた
メジャーを首になったバンドが武道館ワンマンしたり、メジャー再契約したのちアリーナツアーを行って富士急ハイランドでワンマンをしたり…

でも

「証明するよ もう前例になるよ」

のフレーズを聞くと、更なる前例を打ち立てる予感しかしないのである
今年は武道館で5回ワンマンする予定だし、更に将来東京ドームでワンマンする信じられない未曾有な出来事さえ起こす予感がするのだ

ワンマンでいつもやっているように1度自己紹介して歓声を聞いたあと、渋谷があなたを煽ってもう1回歓声を聞くやり取りを行うが、

「ここまで30分とか40分とか色んなライブを受けて来ているわけでしょ?こんだけの音楽バカとやれるなんて興奮するに決まっているじゃないですか!?」

と渋谷は興奮気味
なにせ1日自宅に籠もってもいいのに、わざわざ外出して音を浴びに来ているのである
ミュージシャンからすれば最高の状況である

渋谷が今日この場でしか作れない音楽を作ることに協力するようにあなたに促し、「決意」から渋谷はあなたを煽りつつ、花道を歩いていくのだが、

「自己紹介が遅れました。昨今、最も踊れないロックバンドです」

という前説を渋谷が置くのはフェスでは珍しい気がする「irony」
よりあなたを踊らせるべく、柳沢にギターソロを促したあとは上杉と2人でお立ち台を共有したりしているが、このロカビリーで踊れないわけがない
普通に身体は動いていく

そのうえで渋谷は武道館でも話していた一体感についての話(昔一体感を煽っていたことは、ここでは置いておく)をするが、

「あなたたちには興味が無い。偶然重ねって起こる一体感が見たい。」 

と誘導して起こされる一体感よりもたまたま起こった一体感を求めている
「気がついたら起こっていた」的な一体感を

そうして渋谷なりの価値観を話したあと、「幸せのために生きているだけさ」は歌詞を画面に映しながら演奏されるが、自分から不幸になりたい人間はいない
むしろ幸せを人間は第1に求めるのだ
だからこそ分断が拡大してしまった今の時代に変化が欲しい
コロナの件で思いやりが欠けてきたように見えるから

「夢だの希望だの理想を語っていいのがミュージシャン。だから俺も恥ずかしがらずに歌います。」

と自らの理想を大勢のあなたの前で曝す事ができるのがミュージシャンの特権であることを明かし、直後に来る「アイラヴユー」はまずビーバーがあなたへの愛を伝え、後半になると客席のあなたが逆にビーバーへ愛を伝える
これもまた気持ちの往来であり、美しい日
何度も見たい瞬間である

「なりたい自分に会えるのはあなただけだからね!」

といういつもの導入を経て、藤原が巧みなビートテクを魅せる中で柳沢が未来に向けて明るい兆しを描くメロを奏でる「予感」を終えると、あっという間にラスト

「あなたは凄い存在だから自信持て!!」

と日々を生き抜ける音楽の仕上げとして、最後に鳴らせるはスタジアム級のロックンロールである「小さな革命」

この50分はただの50ではなく、革命の50
現実と向き合い、なりたい自分に会いに行くためのあまりに濃厚すぎる50分である
野外ツアーもホールツアーも取れず、お手上げ状態になっているが、なおもビーバーの音楽が求められている
現実と戦うための音楽が
小さな革命が静かに起こっていることは幸せでしかない

セトリ
切望
突破口
決心
irony
幸せのために生きているだけさ
アイラヴユー
予感
小さな革命

・ブランデー戦記[BUZZ STAGE](19:10〜)
SUPER BEAVERからマカロニえんぴつに繋がるあまりに強固な流れ
その裏は動員力が無いとあまりにきついが、去年彗星のごとくシーンに現れたブランデー戦記は初出演でいきなりBUZZ STAGE
「MUSICA」が公開された時にYoutubeのおすすめ動画で流れてきた時から気になっていたものの、ようやく見る機会が訪れた

夜故に金髪がより目立つボリ(Dr.)、みのり(Ba. & Cho.)とリズム隊が1人ずつ登場したのち、蓮月(Vo. & Gt.)が登場したあと、

「ブランデー戦記です。」

と軽く挨拶して、「黒い椅子」から始まるが去年初めて全国流通音源を出したと思えないような貫禄
ロッキンオンのインタビューで蓮月がずっとバンドしたくても始動に時間を要したこと、まだ良いときと悪い時のムラがあることを話していたが、これはどう考えても良い日だろう
何故なら噛み合ってなければ、グルーヴはぐにゃぐにゃになるから
良い状態で初めてのJJに立てている

続いて現時点での最新シングル「ストックホルムの箱」が演奏されるが、みのりとボリが産むグルーヴはあまりに骨太
インタビュー時に洋楽を好むことを蓮月が話していたけど、日本のバンドで例えるならB'z
それもスリーピースでB'zのような風格漂うアンサンブルを作っている
凄いなんてレベルじゃない
スーパールーキーが蘇我の地を踏み入れてる

そんなブランデー戦記、野外フェスでトリを務めるのは初めてらしいが、演奏に緊張はほとんど見られないし、むしろ往年のベテランがトリをやっているような感じだ(直近だと2022のロッキンでストレイテナーがサブステージのトリをやった時)

だからメロウとハードロックが調和されている「Kids」、PVが公開されると凄まじい勢いでバズった「MUSICA」と何をしても最初から成熟されているのだ
自分の好きな福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐も最初から覚醒していたわけではない
段階を踏んで今のような立ち位置にいるのだが、5年以内にはメインステージにたどり着きトリをする
これすら容易にできる気がする
Zeppもソールド出来そうな気がしてならない

ためてためてから一気に解き放つ「僕のスウィーティー」でボリが手数多めにドラミングし、みのりのベースソロを経てあっという間にラストはサブスク未解禁音源、照明が青く染まる「水鏡」
まもなく2nd epがリリースされるとのことだが、「水鏡」もそうだし「coming of the age」など既にライブでやっている曲も収録されるのだろうか
この新人はすぐにでもシーンを制圧する予感を漂わせている

セトリ
黒い椅子
ストックホルムの箱
Kids
MUSICA
僕のスウィーティー
水鏡

その後WING STAGEに移動中、SKY STAGEのトリ、マカロニえんぴつが「星が泳ぐ」をやっており、絶好のシチュエーションだと思ったが、レア曲だらけのツアーセトリとは全く別物のフェス仕様になっていた
東京はNHKホール2daysが控えているが、これから参加する方はあのセトリを体感して驚くと思っている

・Tani Yuuki[WING STAGE](20:05〜)
今年からロッキンだけでなくJJも混雑緩和の一環でクロージングアクトが導入
初日と2日目にはそれぞれシンガーズハイとConton Candyが登場したが、3日目はTani Yuuki
名前は聞いてたけど、クロージングアクトでの出演が発表されるまで音源は聞いてなかったシンガーソングライターである

先にサポートメンバーが登場して大いに歓声が湧き、ジングルが鳴ると同時にTaniが登場
ヒット曲の「もう一度」から始まるが、夜の雰囲気にメロウな楽曲は相性抜群
R&Bタイプのシンガーだけど、メロディーも良いので初めて見る方も「いいな、この方」と好感触を与えられていそうな気がする

並びに生のバンドが入っていることでしんみりとした「Myra」のセンチメンタル度数も増している印象
タイプ的にはimaseに近いと思うけど、こちらはメロディーもしっかり構築されている感じ
そりゃ100万再生の曲を何度も出すし、曲をやる度に完成が起こるわけである

Taniのライブが始まる前、会場では花火が打ち上がっていたのだが、それに対して

「花火綺麗でしたね!!でも俺もいますよ!!」

と自己アピールするTani
「分かっとるがな(笑)」と思わずなりつつ、

「みんなSKY STAGEから歩いて向かってきたんでしょ?俺が来年SKY STAGEへ出ればみんな歩かなくて済むよね?」

と労うがそこには野心も
夜の野外でライブを出来るのはそうない
でもライブするならトリがいい
クロージングアクトとトリでは20分も待ち時間が違うし

「すぐに売れたイメージあるかもしれないけど、こっちも路上ライブとか演者以外がいないライブを経験しているんです。苦労話をしたいわけじゃない。でもこうしてたくさんの人が待ってくれているのを見ると、間違ってなかったと思います!!」

と自身の背景を話したあと、

「俺の全部をこの曲に込める!」

とメガヒットしている「W / X / Y」に繋げる

怒涛のヒット曲ラッシュ
令和のポップスターのようなものだから、ここまで起こっていた合唱はより大きくなる
思えば自分が学生の頃、「青春アミーゴ」や「恋のマイアヒ」を口ずさむ光景をよく見ていた
今の学生にはTaniがそのようなポジションなのだろう
これだけ合唱が起こるのも納得である

Taniがアコギを背負い「愛言葉」を夜空の下の元、じっくり歌い上げると「Life is beautiful」は一転エレクトロ全開
ここまでがメロウな曲続きだったため、照明が派手にかつアップテンポな曲にシフトするモードチェンジぶりは大いに驚くが、Taniのアルバムはツーバスを用いているような曲もあればロックな曲もある
30分では世界観を示すにはあまりに足りなすぎるのだ
なので来年も出演するならSKY STAGEに行っていただきたい
40分でTani Yuukiというシンガーを解剖するのは困難だから

そしてラスト、

「いつまでもJAPAN JAMが存在しますように!!俺も良い曲たくさん作りますんで!!

とJJが残り続けることを祈ってラストは「おかえり」
来年はせめてメイン、出来るならSKYのトリでも良いと思っている

セトリ
もう一度
Myra
W / X / Y
愛言葉
Life is beautiful
おかえり

終演後、去年までなら蘇我駅へ迂回ルートを使用していたが、今年から廃止
そのため千葉駅へのバスを使用しようとしたものの進みそうになく、 結局千葉寺駅へ
なので帰宅に例年以上に帰宅に時間を要することになった