ここ最近は使用してないものの、一時期自分はSpotifyで若手アーティストを探していた時期がある
今年に入ってからはYou Tubeで再生回数が少ないアーティストをピックアップする機会が増えたが、昨年の年間ベストソングで早い時期から注目していたのがTeleだった
そんなTeleのワンマンに満を持して、足を運ぶことに
このワンマンの前に武道館ワンマンが発表され、大いに震えたが

武道館公演のチケットが既に落選続出していることからも想像できるようにZepp DiverCityは当然ソールドアウト
何度もダイバーシティに来ているが、開演前に会場に流れているのはTeleの
「生活の折に」を用いたオルゴール
BGMはしんみりだけど、場内は非常にノイジー

場内には幕が貼られ、定刻を少し過ぎた辺りで暗転するが、普段のZeppよりも人が多い
そんな人口密度感

暗転すると貼られていた幕にショートムービーが流れる
そのようにして始まるのはindigo la Endのライブに近いものがあるが、Teleこと谷口のナレーションで繰り返し連呼されるのは、

「さよならを!さよならを!」

と決別を示す言葉の数々
それも呪いだけならともかく、祝福すら手放そうとしており、「独特の人生観を持っているんだな」と感じさせるが、導入となるムービーを終え、事前に準備していただろうバックバンドが演奏を開始
谷口と思われるギターを背負った人物のシルエットが幕に浮かび、アイリッシュ要素も孕んだような「ことほぎ」が始まることで、幕が取れるが、客席後方にいながら周囲に背の高い人が多かったり、スモークがステージに充満して、バックバンドの演奏が見えないので、見る場所を速攻で変えることに
なおJAPAN JAMと見た時とサポートメンバーは一部変わり、

ギター︰馬場庫太郎(from NENGU)
ベース︰森夏彦(from THE 2)
ドラム︰森瑞希(RADWIMPSのサポート)
鍵盤︰奥野大樹(BRADIOのサポート)

といった布陣になったのは、ギターの力毅がCody・Lee(李)のツアー中ゆえかもしれない

並びにTeleの音源はポップに振り切ったようなイメージ
なのでロックスターというより、ポップスターの印象を抱いていたが、アウトロになると馬場がガンガンギターを弾きまくり、ポップどころか思い切りノイジーに
ライブ納めが近づく関係で、ライブがかなり多く、爆音に触れる機会も増えているが山内総一郎1人のみで爆音を鳴らすフジファブリックよりも、トリプルギターを擁立するGalileo Galileiよりも音圧は凄まじい
これはどう見てもロックスター
ポップにカテゴライズしたことを猛烈に反省しなければならない

それは「夜行バス」に置いてもそう
音源で際立ったのは瑞希のドラムと、

「この国に最早幸せはない。」

と身も蓋もない直接的なフレーズだったが、谷川と馬場のツインギターが影響してこちらも轟音
「音源とあまりに差が生まれてないか?」とギャップが驚く水準にまで達している
ただ、谷口の声は万全とは言えず少し裏返っている場面もあった
大掛かりなツアーはこれが初
前日見たKANA-BOONのように、急に規模がデカくなりすぎて、身体がまだついていけてないのかもしれない(プロ野球で例えるなら、高卒新人は体力作りに専念するがTeleはそれが完了する前にブレイクしてしまったため、体力作りの真っ最中ということ、ちなみにKANA-BOONのボーカルも谷口鮪、2日続けて谷口がボーカルのアーティストを見てる)

しかしモータウンビートをリズム隊の森コンビが刻んで、ハンドマイクになった谷口がステージを動き回る「ロックスター」
歌詞にあわせ変化もつけながら、情緒をつけてややキツそうな場面もあったけど、

「あぁ、ロックスター。君が嘘をつき続ければ、
大体退屈な彼女は息を続けるだろう。
あぁ、ロックスター、いつまでも嘘のまま唄って。
結局さ、君だけが僕に愛を突きつけていたんだ。」
「あぁ、ロックスター。君が嘘をつき続ければ、
大体退屈な彼女はずっと生きてゆける。
だからお願いだ、ロックスター。いつまでも嘘のまま唄って。」

と歌う場面は谷川が見てきたロックスターへの思い、並びに自分に課せられた使命を自分に問いかけるように歌っていた
これはもう奇跡じゃない
本物だ

客席には制服を着たままライブハウスを訪れた高校生(流石に中学生はライブハウスに通うのは難しいか?)、学校帰りの大学生が多く、転換中はやたら谷川に話しかける客が多い
それくらい客層は若く感じるが、

「最悪な日々、最低な日常過ごして来たんでしょ?今日で終わり。「最悪な日」の葬式にしましょう!」

と憂鬱な日々を送っている客に告げる谷口
客席からは大きく歓声が起こり、谷口は客席をより煽りまくり
このライブ、嫌な自分におさらばし、翌日から新しい自分に生まれ変わる、いわば新生するためのライブ

このようにライブのコンセプトを説明し音源通り、奥野の鍵盤が爽やかに通り過ぎながらもビートはやっぱりパンク
アウトロでは馬場がギターを案の定弾きまくる「私小説」、曲が始まる前から谷口がリズムを口ずさみ自分がTeleを認識するきっかけになった「Véranda」は早々に投下
谷川が甘い声をみせつつ、夏彦のグルーヴィなベースにリズムをつい取りたくなるが、

「愛はもうそこにあんぜ!」

がいきなり大合唱になるほど、「Véranda」は既にたくさんの人の血液
時代を代表する曲となった

和の要素を感じさせるビートがアーバンなリズムに変わりツアーファイナルの地、東京で鳴らされることに大いに意味がある「東京宣言」は「Véranda」と共に、昨年の年間ベストソング100でピックアップしていた曲
選出した翌年、現場で聞けることはとても感慨深いこと
けれどもこれも間奏では一気にサイケデリック
FIVE NEW OLD並にアレンジが違いすぎて、ライブ音源を聞かせたらかなりの方が驚いてしまうのでは?
これが自分の見解である

するとここで聞いたことがない曲を歌い始める
それはまだ音源になってないものの、今年になってからワンマンで度々演奏されているらしい「花箋」で聞かせるタイプの曲
谷口が綴る歌詞はひねくれた歌詞もあれば、一直線に向かうような歌詞もある
歌詞が分からない以上、どちらかはわからないが、

「僕が呪いになる前に」

なんて、呪術廻戦の乙骨憂太を思わず想像してしまう
フィジカルになってない音源があまりに多いので、いずれリリースされるミニアルバムかフルアルバムには収録されるだろう(谷口は音源化をしてないことを謝っていた)
にしても自分を呪いに例えるなんて、凡人には浮かばない発想である

また弾き語りの「new born ghost」もサブスクリプションでは配信されてない楽曲
恐らくフィジカルのボーナストラックで収録されているんだろうが、タイトルトラックだから「ghost」以上にデビューアルバムの世界観の中心になっている気もする
それを配信しないのはマーケティング戦略の観点ではクレバーでもある

そうして聞かせる曲を続けたことで、谷口が静かに歌う「鯨の子」が似合う雰囲気に
JJではここで転倒しかけて、あわや大惨事となりかけたのを痛烈に覚えている
流石にそのような事態は起こりもしなかったけど、客席の合唱が入ることでまるでゴスペルのような世界が
ホールやアリーナのような広大空間は合唱する曲がとても似合う
より広い会場でやる際は「鯨の子」のスケールは巨大鯨のように大きくなりそうだ

逆に谷口がイントロでブリッジミュートをエレキでかき鳴らす「金星」は、下手上手の順に金色に近い黄色でステージを照らし、最終的には客席全体を照らすが、輝いたのは照明だけでない
谷口や馬場の鳴らすギターの音と瑞希のドラムが繰り出すビートが合わさったように、会場全体を輝かせるような爆音がなった
ワンマンなので、チケットを購入してないもの以外はこの日耳にしないが、フェスならあまりのデカさに「ナニコレ!?」となる
谷口を大きく輝かせる役割を「金星」は担う

EDM的アプローチをロックに消化した「ホムンクルス」はステージを真っ二つに分けるように、照明も真っ二つ
その景色はとてもインパクトあるし、サビへの高揚を音で現す手腕も見事
EDMからロックへのインポートは何度も見た
けどこれは鳥肌が立ってしまうくらい逸脱
今後のシーンに大きく影響を与える教科書になりそうな気もしている

初めて行った大々的な全国ツアーのファイナルを東京で開催できることを感謝する谷口
ただ、

「顔や目だけでなく、声も聞きたいんだよ!」

と谷口は煽りまくって「花瓶」を始める前から合唱を煽りまくり
その合唱は90秒近くにも及んでいたが、その合唱は至福であり、Teleと出会ったことが

「全部いやんなった?」

になるわけがないと応答するくらいの合唱
来年の武道館ワンマンは既に取りにくくなり、首都圏はZeppで見ることも困難になりつつある
だからZeppで合唱できたことは貴重な経験になる可能性もある
武道館のチケットが取りにくい=ホール、アリーナへ移行する段階になりつつあるんだから

「楽しみましょう!最後は死ぬんだから!!」

と谷口は更に煽り、疾走感ある「Comedy」は更に大合唱

「立ち止まって祈るだけで、
いつの日か救われるわけないだろ。」

とシリアスなフレーズも出てきて、それはその通り
でもネガティブな事があるから、こうした喜劇にである
仕方なく生きたからTeleに出会えたのだ

そして「「最悪な日」の葬式」であるこのライブ、

「明日からは新しいバースデー!!」

に導かれた「バースデイ」は我々を新しい自分に生まれ変わらせる最終過程のようなもの
この日何度も浴びた爆音は更にソリッドに
最悪な日常を歩んできた我々は、ここで完全に変化したといっていい
その粉砕劇、

「僕らに明日はないんだぜ。
今すぐ何かを変えようぜ。
いつまでたってもこのままで、
いられても困るだろう」

の如く、木っ端微塵にされたが、

「気づけば僕らは死んでいて、
離れ離れになるのかな。
もういちど会えたら嬉しいな。
それじゃまた明日。」

と密かに終わりを匂わせていたことに気付いた方は間違いなくごく少数

そうして葬式の最後、

「今日はありがとうございました」

と谷口が告げて、最後に演奏されたのはデビューアルバムのラストでもあった「ghost」だが、

「代わりたいまま 変われないまま」

のように、自分は変わりたくても変われないでいる 
仕事しながらライブに行くのは否定しなくていい
けど、自宅には処分するべき週刊少年ジャンプやジャンプスクエアなどどんどん荷物は増え、ライトノベルもまともに読めてない
収入もヤバい域にきつつあるから、断捨離も秒読み状態
私生活はどうしても変えないといけないだろう
 残り1ヶ月、Teleのこの歌詞はあまりに重く響くいた方だらけだろうが、

「ここにいるよ、すべて許して。
すり抜け落ちたあなたの涙が
今、ぼくを僕に変えて
頬を朝日が照らすだろう。
あなたの下へ僕が花を咲かそう。
僕が花を咲かそう。」

と谷口は優しく寄り添い、決して離れない証かのように、シューゲイザーが炸裂
音源にもシューゲイザーパートはあるが、その範疇には収まらない耳から抜け落ちないであろうもの
新しいロックスターは自分に激震を走らせるアンサンブルを最後まで見せていった

長い時間をあけて、アンコールで戻ってくると、客席からはあるものが投げられた
それは谷口のために作られたであろう横断幕
それはとても素晴らしいもので、谷口も感動していたが、見せ方に困っていた
というか、横断幕を投げ込む場面なんて初めて見た

どんな層がライブを見に来たか、簡単にアンケートを行い、学生があまりに多いことを見せられたあと、

「これからの事も、誰かと会う人も楽しみましょう!!初恋のように!!」

とリリースされたばかりの「初恋」を惜しみ無く
一見、歌謡曲のようにドラマチックに見えるけど、当たり前のように予想外な展開を見せるのが谷口流
こんな斬新な「初恋」ソング、いつかは更新されるが、年間ベストソングの選考締め切りにとっておきの爆弾が投下されてしまった

そして最後の曲の前、谷口が告知したのは武道館ワンマンを皮切りとする全国ツアー
会場にはお馴染み新潟LOTSや広島クラブクアトロもあったが、福岡はDRUM LogosどころかZepp Fukuoka

「これ埋まんの!?」

と谷口は嘆いていたが、多分埋まる
それよりも関東圏で追加公演してくれ

千葉でもライブして欲しいと話した客に答えるように、いつか幕張メッセでワンマンしてみたいとも謙遜ながら話したあと、ラストは千葉にいた頃作られた(そう言えばJJで千葉出身と話していた)「生活の折に」
アマチュア時代のCDに収録された曲で、初めて聞く人だらけだっただろうが、

「さらば全ては君の自由だ。
だから、いつか子供の頃に戻ってみようか。
さらば時間は戻らない。
だけど、あの日の手紙は変わらない」

を置き手紙のように残すと、エンドロールが流れる中でまたもシューゲイザー襲来
持ち曲の関係で2時間もいかなかったが、あまりに濃密な2時間だった

去年、自分は年間ベストソングを執筆している際にTeleを「歌謡曲好きは惹かれる」と書いた
音源を聞く限りではポップス
ロックバンド好きより、歌謡ポップスが好きな人が好みそうなイメージである

しかしライブになるとバリッバリのオルタナロック
ポップスターではない
新しいロックスターだった

「最悪な日の葬式にしよう」と宣言した通り、日々の鬱憤は合唱と爆音で全部消滅
いつか死ぬと分かっても最悪は今日で終わり 明日から新しい自分が始まる、そんな夜になっただろう

今、シーンはVaundyが席巻しているけど、来年の今頃はTeleもシーンを大きく賑わしているだろう
でもTeleはVaundyのように、シーンを大きく開拓するんじゃない
マカロニえんぴつのように多くの人々の希望を背負う存在になると自分は確信している

また絶望したなら、負を全て生産するべく、Teleのライブに行こう
そこで死んで生まれ変わろう
自分、いや我々にとっての奇跡
やっぱり愛はここにあんぜ


セトリ
ことほぎ
夜行バス
ロックスター
私小説
Véranda
東京宣言
花箋※未発表楽曲
new born ghost
鯨の子
金星
ホムンクルス
花瓶
Comedy
バースデイ
Ghost
(Encore)
初恋
生活の折に※未発表楽曲