先月に続いて、今月もユニゾンとVINTAGE ROCKが共に立ち上げた企画に参加
今月のゲストアーティストは、ユニゾンと6年ぶりの共演となるGRAPEVINE
並びに「なんで!?」が強いThis is LAST
先月までと異なり、今回はチケットがソールドしてない
GRAPEVINEはフェスに出演してもアウェイになりやすいし、This is LASTは前回のLucky Kilimanjaroのように「ファン層被るの?」なブッキング
だからか、スタンディングゾーン後方は普通に余裕がある
ユニゾンのライブでこの光景はとても珍しい

・This is LAST
この日のトップバッターは前日行われたツタロックフェスにも出演し、JAPAN JAM出演が決まっているThis is LAST
配信ライブは見たことがあるものの、現場でライブを見るのはこれが初めて

ほぼ定刻にゆっくり暗転するとSEとして流れるのは、バンドの音楽性からは想像しにくいラウド調のインスト
そのインストと共に鹿又(Dr.)と菊地竜静(Ba.)が現れ、菊地陽報(Vo. & Gt.)が最後に現れると3人は円陣を組む
その光景はSaucy DogやBase Ball Bearを連想させる部分がある
なお名字で察するように、陽報と竜静は兄弟

そうして円陣を終えて

「千葉県柏から来ました、This is LASTです!!」

と陽報が自己紹介し、

「待って、黙って君を愛し抜けるから」

と最初から感情一杯に歌い上げる「愛憎」からも把握できるように、このバンドはback numberやreGretGirlに続くような失恋ロックバンド
最近注目されているマルシィとも方向性は近いが、このバンドの出発点はメタルバンド
だから鹿又のビートは一打一打が力強く、時折叫ぶような表情を見せる
曲と自身をシンクロしているかのように

メタルが始まりということはグルーヴも必然的に筋肉質となり、「恋愛凡人は踊らない」は竜静のゴリゴリとしたベースが引っ張っているがあいみょんの「貴方解剖純愛歌~」のように軽快な曲調から突然

「無様に死ね」

とゾッとするフレーズが現れるのは配信ライブで見たときと変わらない
突然ハードロック由来のフレーズが鳴らされることも変わらない

しかし配信ライブで見た際と変化したのは、同期もふんだんに活用する点

「勇気が出る曲」

と陽報が称した「カスミソウ」は、陽気なホーンを活用
back numberはオルタナロックからドームでワンマンするバンドまで巨大化し、reGretGirlはリズム隊が刻むグルーヴの強さや歌唱力でVGがこの日開催されているEX THEATER ROPPONGIでのワンマンを控えてる
ではThis is LASTはというと、スリーピースの枠組みに囚われない選択をした
バンド以外の音も積極的に取り入れることで、バンドを聞かないような層にも音楽を届けようとしている

「憧れの大先輩に呼んでいただいて、光栄です!!」

とユニゾンが企画したイベントに呼んでもらったことを光栄に思いつつも、持ち時間が相当短いのだろう

陽報「沢山曲やるので、MCはこれくらいにします!!」

と宣言し、最新シングルにしてストリングスを活用した「#情とは」はカノン進行に沿っていて、ロックというよりは、J-POPにも聞こえる
だが逆に考えればこの選択は「ロックと認識されなくても構わない」という意思表示を出しているようにも取れる
いずれはレミオロメンのように、ストリングスや鍵盤も普通に活用しているのが当たり前になるかもしれない
その際は小林武史や島田昌典もタッグと組むのだろうか

「六法全書に浮気するなと 書き足し、罪も重くする」

にはゾッとしたけど(笑)

「ここから上げて行きましょう!!」

と陽報が煽りつつも、「もういいの?」は関係が冷え込んで別れるであろうカップルを描いた曲
そんな決して陽性ではない歌詞は、キャッチーなメロや菊地陽の歌声によってアッパーに昇華される
が、ここから踏み出せるのかは気になるところ
なにせreGretGirlは今や失恋ソングだけではなくなってきた
「サムデイルーザー」のように背中を押す曲もあるし、「Winter」のように幅広い見解が出来る曲もある
いずれは失恋ソング、具体的に言えば喪失以外の曲も届く状況を作る必要がある
既にキャパはZeppまで到達した
これをホールやアリーナまで広げるには一歩踏み出さなければならない
その時、このバンドの真価が大きく問われるだろう

そして最後は「夕食時にこれはテロ行為に他ならないだろ」と嘆きたくなる「オムライス」
自分はこの翌日、休みにしていたのでライブ前は少食で済ませた
それが「オムライス」によって空腹に耐えられながら、ライブを見る状況を呼んでいた
近いうちにオムライスが食べたい



・GRAPEVINE
前述通り、フェスに出演してもGRAPEVINEはなかなか馴染まないし、昨年のライブホリックではほぼガラガラだった
ただ今回はスリーマンライブ
出演者全てを見るべく参加しているようなものだから、流石に客席ががら空きになることはない
でも安心してしまう

このイベントはとにかく転換が早く、This is LASTが終わって15分も経過せずに田中(Vo. & Gt.)達がサポートの金戸(Ba.)や高野(Key.)と共に出てくるが、「いつからそんなに陽キャになった」と言わんばかりにテンションハイな田中(笑)
昔時の人になった鼠先輩のように六本木を「ギロッポン」と称し、より「?」が浮かぶも青春の二次会を始める「Alright」でAORにも似た貫禄あるアンサンブルを鳴らすと「やっぱりバインだな」と認識する
ちなみにライブホリックでは完全に浮いたが、今回はしっかり予習したのか
あるいはバインのファンが多く集ったのか
アウェイな感じは全くしないし、客席中央にあるミラーボールどころか壁までも虹色に
どうやらEX THEATERの壁は演出にも活用できるようだ

バインは先日まで「another sky」の再現ツアーを行っていた
なのでその流れがセトリにも反映されると思ったが、この数日前にバインはビクター主宰のフェスに出演し、昨年のライブホリックのように最新アルバム「新しい果実」をベースにしたセトリとなっていた
なのでその流れは引き継がれ、初見にも受け入れやすいと判断したのか、何故か田中が目を覆い隠すようなポーズを取った「EVIL EYE」も演奏され、

「確かめてやる!!」

と田中が叫ぶと客席には目を意識ようなポーズが大量に
演奏もサイケデリックさを増し、西川(Gt.)がブルージーなギターを弾きまくることで極上のロックンロールへ突き進んでいく

貫禄に満ちた田中の歌声はどんどん調子を上げ、「Suffer the child」の頃には完全にロックスターとして君臨しているが、やっぱり田中はテンションがあまりに高く、

「何度も共演させてもらったユニゾンありがとう!!」
「最初に出てくれたThis is LASTもありがとう!!」
「何度も出演させてもらっているEX THEATERもありがとう!!」

と全て「!!」をつけるほど、テンションハイ
そこまでバインのライブは見てないけど、「本当に田中?」と思ってしまう(笑)

そんなハイテンションなMCの直後に「目覚ましはいつも鳴りやまない」をやるのはクールダウンしていくような感じもするが、

「自分が正しいか分からなくなることもあるでしょう」

と歌詞を変えていたのは気のせいだろうか

こうなると「新しい果実」の曲を連発すると思った
しかしこの日はそうはならず、やっぱり「another sky」の再現ツアーを行ったのもあり、轟音オルタナロックを鳴らす「マダカレークッテナイデショー」も演奏
アウトロでは田中の合図で金戸が前に出てベースソロを行うが、バインと言えばマカロニえんぴつもリスペクトするバンド
ライブホリックではガラガラだった分、この日は多くの人々がバインのかっこよさを目に焼き付けている

しかしそうしたアピール出来る絶好の機会でもダブやレゲエの要素を盛り込んだ「ねずみ浄土」をやるのがいかにもバイン
踊ろうにも踊りにくいし、キャッチーであるかと問われたら回答に困る
けれどもループミュージックのようにグルーヴを繰り返しているから、自然に中毒になってくるし、

「バナナはフルーツ
それともスイーツ」

すら癖になる
そんなグルーヴを積み上げまくる曲のラストを

「好き嫌いはよせ」

で締めるのはカッコいいし、芸術的なサウンドスケープを生み出す「Gifted」でミラーボールは青く染まる
我々の心が浄化されていくかのように

そして最後は1度は参加者が耳にしたことであるだろう名曲「光について」
フォロワーさんによれば、かつてはこれをフェスで演奏しなかった時期もあるらしい
今となっては信じられないけど、この曲の美しさを眠らせるのは勿体ない
何より演奏中はほとんどなかった照明が、最後に一斉に輝く
その構成は見事でしかなかった
まさに貫禄

セトリ
Alright
EVIL EYE
Suffer the child
目覚ましはいつも鳴りやまない
マダカレークッテナイデショー
ねずみ浄土
Gifted
光について

・UNISON SQUARE GARDEN
そんなGRAPEVINEの余韻に浸る暇もなく、あっという間に主催のユニゾンの時間
つまりはトリの時間である

「絵の具」をSEに最近You TubeチャンネルやTwitterで個人アカウントを開設したTKO(Dr.)、逆に以前個人アカウントを持っており田淵義朗が「息子が出ていたのでMUSICAを買ったこ」とを報告したため家族関係が発覚した田淵(Ba.)、白と紫のモノトーンYシャツを着用した斎藤(Vo. & Gt.)が登場し、GRAPEVINEに触発されたのかセッションを始めるが、そのセッションは次第にこの日が初お披露目だった「Numbness like a ginger」に
来月からユニゾンはツアーが始まるし、いくつかフェスにも出演する
だからそれに備えた予行演習もあっただろうけどここ最近の曲はTKOのドラムが主張しまくる曲が多かったので、じっくりメロディーを堪能できるバラードは久々(ちなみに「ブルーロック」は興味があるがなかなか見れていない)

その新曲本邦初公開から昨年のCDJでも演奏された「instant EGOIST」では、斎藤の

「feeling hoping dreaming!!」

に合わせて、参加者は飛び上がり「23:25」のフレーズを弾いた直後の田淵の奇声はユニゾン主催のイベントだからか、CDJのように笑い声は起こらないし、そのままダンサーのように踊りまくるのも「いつもの事だよね〜」といった感じで受け入れられていたが、何故かアウトロで「23:25」のフレーズを弾く前のセッションを再び行い「ん?」と思っていると、本当に「23:25」に突入
昔は「23:25」のフレーズが鳴らされると斎藤達は一時停止し、田淵の奇声を合図に動作を再開する場面があった(「Catcher In The Spy」のツアーの頃?)
けれども「23:25」にそのまま移行するパターンはそう無かったと思う
すなわち珍しい瞬間を目撃しているということだ(「Patrick Vegee」の繋ぎがライブでなかなか再現されないことは触れてはならない)

いつものように田淵は動き回り、TKOはここ最近のライブを象徴するように立ちながらビートを刻んだりもする
そんなこの日のライブは発声が許可されているも、

「帰ろう世界へ」

で合唱は起こらない
まあユニゾンは田淵が先日掲載したブログで「自分だけの音楽の掴み方は忘れないで欲しい」と記していたし、合唱は強制しないスタイルなのだろう(この前ツーマンしたcinema staffの飯田も似た考え)
でも

「揺らいでいる風景も七色のステージに変えて キラキラ」

で虹色になる演出は無くては困る
というか忘れていた
序盤の流れが凄すぎて

そうした唐突な新曲投下から驚きの繋ぎを見せたあと、斎藤が自己紹介しこの企画の由来を説明するが、

「今日は気合が入ってます!!」

と宣言した直後、オフラインでは実に4年半ぶりとなる「チャイルドフッド•スーパーノヴァ」を軽快でキャッチーな軽快なリフで踊らせ、イントロで歓声を上げる参加者も現れた「Miss.サンディ」も2021年に行った「CIDER ROAD」のリバイバルツアーを除くと、6年ぶり
これだけレアな曲を連発するのは気合が入っている証明の1つとなるし、パレードを行進する兵隊のように足を上げ下げする田淵を見るのも久々
TKOのビートも超人化した近年のドラムと比較するとシンプルでこれもまた懐かしい

なのでここまではポップな曲がかなり続いていたが、これぞグランジな音圧強めのアンサンブルを鳴らす「蒙昧termination」で世界は一変
cinema staffとのツーマンでは直前に「世界はファンシー」をやったので、

「あのね歌詞書いたの僕じゃないんで 田淵に言っておいて」

の破壊力は流石に落ちてしまうが、TKOが高速16分を刻む中田淵がサビでチアリーダーのように足を上げまくる「天国と地獄」のパフォーマンス力は全く落ちてない
運動量はシーン屈指だし、Spitzの田村やBURNOUT SYNDROMESの石川、ハンブレッダーズのでらしみたいのようにアクティブなベーシストはたくさんいるけれども、ここまで視覚面でも凄いと思うのは田淵
これだけ動いて、演奏に支障が出ないのが田淵の凄いところ

このロックモードの終わりを告げるようにTKOがヘッドフォンを装着する「kaleido proud fiesta」ではストリングスと共に斎藤の伸びやかな歌声が響き、再びストーリーが始まることをここに宣言するが、この日は聞こえなかった合唱もツアーでは聞こえるようになるのだろうか
自分は「合唱は歌いたい人がやればいい」というスタンス
だから「これは違うな」と思ったら、合唱を求められても合唱しない
でも「kaleido proud fiesta」はオーディエンスの声が載った光景を見てみたいと思っている
この数年間、禁じられていた合唱
それが加わることでさらなる快進撃が始まるから
その合唱は単なる合唱ではない
祝祭の鐘である

そして最後は卒業式で起用されてもいいと思っている「春が来てぼくら」
「春が来て〜」が鳴るのに相応しい季節になったとも思うし、この「春」は長く続いたシーンの「冬」が終わり、ようやく「春」が訪れたとも思っている
マスク着用の是非で今後も課題は山積みになりそうだけど、間違ってないはずの未来へ向かうこの日のユニゾンは間違いなく花マルだった

すぐにアンコールで戻ってくると、前回のVGのように斎藤はこの日の出演者について
まずThis is LASTは、

「スリーピースでこれだけのスケールを出しているのは凄い」
「これからもっと大きな場所でライブをやって、多くの人に届くようになるでしょう」

とべた褒めし、先輩GRAPEVINEは、

「雛は目にしたものを親だと思うでしょ?親です(笑)」

と客席の笑いを誘うが、

「昔ずっとギターを背負っていて、腰を痛めてしまったことがあるんですけど、代官山UNITでGRAPEVINEがライブをすると聞いて(2006年のワンマン?)、チケットを取ったら整理番号2番で、最前で田中さんを見ていたのですが、後ろから押されるのでとにかく腰が痛かったです(笑)。そんな田中さんを袖からも後ろからもこんなに近く見れるようになるとは思いませんでした!!」

と昔の思い出を語っていた
ユニゾンが持ち時間が短い際、代表曲を少しだけやったら後は自由にやるスタンスもここから影響を受けていそう

そうして出演者について言及した後、アンコールで演奏されたのは助走のようなTKOのドラムを中心としたセッションを経て、ミラーボールが輝く中で演奏されるのは新未来を願うような「オリオンをなぞる」
まさか「カオスが極まる」も「シュガーソングとビターステップ」もやらないとは思わなかった
けれどもそれはきっと次のツアーでやるからだろう
今日のライブはシーンが再生していく流れを祝福するかのようなもの
つまりこれからのシーンはポジティブに取られていいということだ
要するにココデオワルハズガナイノニ

セトリ
Numbness like a ginger
instant EGOIST
23:25
チャイルドフッド•スーパーノヴァ
Miss.サンディ
蒙昧terminaton
天国と地獄
kaleido proud fiesta
春が来てぼくら
(encore)
オリオンをなぞる




※先月のVGのレポ↓


※配信ライブで見たThis is LASTのレポが掲載されている記事↓
 


※昨年のライブホリックのレポ↓