ライブホリック2日目
時間ギリギリで会場に到着すると、前日よりも明らかに人が多い
その理由はマカロニえんぴつや04 Limited Sazabys、SUPER BEAVERが出ているからだと思われる

•KEYTALK(12:00〜)
この日のトップバッターはKEYTALK
アニバーサリーイヤー1発目のライブとなる

「物販」のSEで登場すると、CDJではSNSに「あれは武正のようで武正ではない」と書かれてしまった武正(Gt.)はこの日も帽子を着用してないものの、爽やかな「黄昏シンフォニー」から始まるのは意外
「セツナユメミシ」や「Cheers!」みたく最近はやってないからこそ、より珍しさを覚えるが、状況が状況だし、

「この先君を待つ いくつもの未来を 僕はどれだけ支えていけるかな」

が重く聞こえてしまう

続けてKEYTALKの初期を支えた「MABOROSHI SUMMER」に懐かしみを覚えるが、突然変化する曲調は今も健在
しかも途中で義勝(Vo. & Ba.)はベースがデカくなるアレンジも行っていたりする

武正による簡単な挨拶を経て、「暁のザナドゥ」は久々、というよりは生で聞いた記憶が全く無い
ロカビリーで踊れるし、武正のギターソロも正直1番好き
なんで聞いた記憶がないのだろうか
裏を返せばKEYTALKには名曲がありすぎるアンサーにたどり着くだろうけど

前回は夏のキンプレライブで聞いた「Orion」は季節感ピッタリ
八木(Dr.)は慎重にビートを刻んでいるように見えたが、そこまで話題にならなかった印象だ
武正が「きよしこの夜」のメロディーを奏でていることも含めて、もっと知られても良いと思うのだが

今年がアニバーサリーイヤーであること、過去最大規模のツアーを行うことに触れつつ、

「今年は最高の1年になる予感がする!!」

と武正が最高の1年になるであろう予感を宣言して、義勝のスラップベースがCDJの時以上に響く「MATSURIBAYASHI」では、義勝を武正が追い回し目の前に来るものだから、義勝は「あっちいけ!」みたいな仕草をしていたのが面白い

「MATSURIBAYASHI」で生み出したお祭りムードは「MONSTER DANCE」でより高まり、ほぼ全員がマスターしている振付は圧巻
ようやくあの振付も思い出してきた

そして義勝の質問に対して巨匠(Vo. & Gt.)が歌詞で応えるのが面白い「宴はヨイヨイ恋しぐれ」を終えると、メンバーは引き上げていくが、どうやらこの日は持ち時間が前日より短くなったらしい
そう気づくのは次のgo! go! vanillas以降だったが、最初は「持ち時間間違えた!?」と疑問に思ってしまった

セトリ
黄昏シンフォニー
MABOROSHI SUMMER
暁のザナドゥ
Orion
MATSURIBAYASHI
MONSTER DANCE
宴はヨイヨイ恋しぐれ

•go! go! vanillas(13:00〜)
昨年、神奈川と神戸でアリーナワンマンを行ったバニラズ
見るのはぴあフェス以来なのでプリティ(Ba.)の髪が水色になっていることには「何事!?」となってしまう

バンドオリジナルのSEで登場すると、牧(Vo. & Gt.)はギターを背負わずにロックンロールの可能性を広げた「PANDORA」の象徴、ロックンロールとエレクトロが邂逅した「One Shot Kill」から始まるのはぴあフェスと同じ流れ
牧と柳沢(Gt. & Vo.)のツインボーカルが魅力的な「クライベイビー」、プリティと牧、柳沢の3人がステップを踏みながら演奏する姿がこちらも楽しくさせる「お子さまプレート」と序盤はほぼあの時と同じ構成だ

しかしよく見るとセイヤ(Dr.)は天井に手を伸ばすかのようにビートを刻めば、牧達に合わせるように揺れながらリズムを作っている
ここまで合わせられるのかというほどに

曲の最後には「これぞロックンロール!!」なセッションを決めた牧は、

「2022年が始まって、1月もあっという間に終わります!「やっておけばよかった!!」なんてないように今を生きましょう!!」

なんて後悔のないように精一杯生きることを奨励しつつ、

「音楽を必要としてくれてありがとう!!音楽は簡単に止まってしまう。楽しむためにも音楽は必要です!!」

と「音楽を必要」と断言する姿勢は前日の出演者やこの日の出演者と共通
バニラズだって音楽に生かされた人間だから

このように名言を連発した牧がアコギで奏で始めるのは「LIFE IS BEAUTIFUL」
アッパーではないけど、ここに描かれているのは愛をテーマにした人生讃歌
アリーナワンマンの会場限定シングルとして発表され、後に配信されたがワンマンだけでなくここでも聞けるのが嬉しい

プリティによる振付指南からは四つ打ちで楽しく踊らせる「エマ」
若干控え気味だったセイヤもエンジンがかかり出したのか、身を乗り出して叩き始め、スティック投げも決めたりするが、どうやったらあそこまで独創的かつ楽しくドラムを叩けるのだろう(あそこまで身を乗り出して叩くドラマーは日本にはほとんどいない)

PVに出てくる振付を大勢の方が行った「平成ペイン」でさらなる一体感を出し、

「ロックンロールの魔法をかけてやる!!」

と牧が叫んだ直後のラストナンバー、「マジック」では牧がスライディングを決め、プリティはセイヤの後ろで演奏
最後にはセイヤがシンバルを投げたかと思いきや、落ちてくるシンバルをしっかり叩く超人技を見せて終了

文字通り客席はロックンロールの魔法を掛けられたわけだが、バニラズほど楽しく演奏するバンドは珍しい
それはすなわち、バニラズもまたロックンロールの魔法にかけられているということだ

それにしても昔、幕張メッセ9-11ホールでクリープハイプがBowlineの主催をやった時、バニラズはオープニングアクトで持ち時間も少なかった
プリティが長谷川カオナシと長谷川コラボをしたのが今も鮮明に覚えているけど、ここまで大きくなるとは…

セトリ
SC①ヒンキーディンキーパーティークルー
SC②NO.999
One Shot Kill
クライベイビー
お子さまプレート
Life is beautiful
エマ
平成ペイン
マジック

•ストレイテナー(14:00〜)
前日出演したACIDMANが集客に苦しむ姿は世代の自分からすれば辛いものがあった
そのACIDMANと共に集客に苦労すると思われたアーティストがこの日も2組おり、1組目は昨年も例年に近い動きを見せていたストレイテナー
12月の新木場ワンマンが落選祭りとなったのは色んな意味で忘れられない

お馴染み「STNR Rock and Roll」で姿を現し、シンペイ(Dr.)が16分を刻んでいく「KILLER TUNE〜」で始まるのは熱すぎる幕開け
以前のように「オイ!オイ!オイ!」と叫べないため、身体で熱狂を現してテナー側はアンサンブルで返していくが、ひなっち(Ba.)によるベースソロが変化したのも発声できない影響か(昔はベースソロの合間にひなっちが煽りまくっていた)

テナーの今を伝える「宇宙の夜、二人の朝」でテナーの持ち味であるオルタナサウンドが会場を支配する一方、ホリエ(Vo. &Gt. , Key.)は普段と比べると声が出てない印象
それどころかアウトロの鍵盤もほとんど聞こえず、スタッフが慌てて調整する事態に
この曲の見所であるホリエの鍵盤ソロが機能しないのはあまりにも痛手だ

ただこの日の持ち時間はそう多くない
タイムテーブルの厳守が定められているからだろう、シンペイが派手にシンバルを鳴らす「叫ぶ星」を立ち止まることなく演奏
ホリエの声もこの辺りでマシになったが、先程の不調は何だったのだろう

ホリエが軽く挨拶を行って、鍵盤の前にスタンバイし、この日奏でたのはヒップホップ調だけど優しい「さよならだけがおしえてくれた」
OJ(Gt.)のギターはホリエの鍵盤をサポートするかのようだが、2日間の出演者でギターも鍵盤もこなしつつ歌えるのはSHE'Sの井上とテナーのホリエくらい
しかもホリエは途中でギターから鍵盤、鍵盤からギターに持ち帰ることも出来る
ホリエがいかに器用なボーカリストか、この日初めて見た方には理解していただけたのではないだろうか

すると「彩雲」でホリエはアコギではなくエレキを使用
これにより生生しさよりも切なさが勝るようになるが、昨年のツアー後半戦から変わったのか?(昨年のツアーでは途中からシンペイがヘッドフォンマイクをやめて、マイクスタンドに戻している

普段よりも激しさが増した「シーグラス」の

「今年最後の海へ向かう」

が2年どころか、もう未来永劫行けないかもしれないひたちなかへの思いを募らると、

「俺たち音楽好きにとって厳しい日々はまだまだ続くようです。」

と光が見えたも束の間、また厳しい日々が近づきつつあることを淡々と話しつつも、

「今日みたいに集まってくれたみんなが面白いことを見つけてくれたら俺たちの支えになるので、これからもよろしくお願いします。」

とあなたの存在こそがミュージシャンの支えだとオブラートに包まず話した

この日のライブが終わったあと、ラジオではあるコメンテーター(名前は分からない)が

「オリンピックは観客を入れないと意味がない」

と話していたが、ならば音楽を始めとするエンターテインメントも同じ
どんなエンターテインメントもあなたがいて成り立つ
あなたがいる事が演者にとって、心強い存在だから

だからこそ、

「言葉にできない願いが奏でる 拙いメロディーに伝うストーリー」

の「Melodic Storm」のように祝福の音楽の嵐で溢れる場所を守らなければならない
やっぱり我々は音楽で生かされている

そして最後は、

「長かったその眠りから 今覚めるよ!!」

と強調し、シンペイが爆速でドラムを叩きまくる「TRAIN」で終了

最初はあまりの客の少なさに苛立ちを隠せなかったが、後半になるとだいぶ戻ってきてホッとした
テナーは自分にとって1番のフェイバリットバンド
だからこそ、ガラッガラのテナーを見たくないのだ
しかしこのあと、更にガラッガラな風景を見ることになるとは…

セトリ
KILLER TUNE
宇宙の夜、二人の朝
叫ぶ星
さよならだけがおしえてくれた
彩雲
シーグラス
Melodic Storm
TRAIN

•マカロニえんぴつ(15:00〜)
「テナーは知らないから休憩時間にしようぜ。」という参加者が多かったのだろうか
先程のガラガラ具合がマカロニえんぴつでは嘘のように回復している
ツアーのチケットが取りにくいのも原因だろうけど

リハで演奏された「愛のレンタル」のセルフカバーで大いに湧いてから、The Beatlesの「Hey Bulldog」をSEに最初にステージに登場した高野(Ba.)はライブホリックのタオルを掲げ、長谷川(Key.)に田辺(Gt.)、サポートドラムの高浦がオンステージ
続いてはっとり(Vo. & Gt.)が登場し、聞けば聞くほど80年代の歌謡曲を連想させつつ、クレヨンしんちゃん愛に満ちた「はしりがき」からスタート

ライブを見るのは昨年の5月以来
分かってはいるが、田辺のギターはこの日も爆音
先日リリースされたばかりながら2022年度のシーンに早くも現れた名盤「ハッピーエンドの行方は」はキャッチーながら田辺によるハードロックルーツのギターが随所に溢れている
田辺のハードロックライクのギター、今やそれはこのバンドのアイコンとなっている

自分がマカロニえんぴつと出会ったきっかけである「洗濯機と君とラヂオ」で長谷川は高野の付近によってエアベース、その長谷川の心地よい鍵盤と共にR&Bのリズムで「レモンパイ」の存在を感じさせつつ踊らせると、

「感染症対策はバッチリ、ロックはお行儀よく、今1番協力出来ているイベントなんじゃないですか?」

とはっとりはライホリを、参加者を賞賛

確かにライブをきっかけに感染されたケースは今の所例の音楽もどきイベントを除くと出てない
そう考えると参加者の結束はとても強いと言える
終演時のあれを除けばの話だが

前半は長谷川の鍵盤のはっとりの歌が中心となっている「なんでもないよ」は後半に大きく変貌
「こんなに変わるの!?」って程にアレンジが大胆なものになっている

直後にマカえんの代表曲となっていた「恋人ごっこ」が続き、新旧代表曲が並ぶと流れとなったが、世間ではマカえん=「恋人ごっこ」のイメージが長い間付いていたとのこと
「生きるをする」や「メレンゲ」といった名曲があったのに「恋人ごっこ」のイメージ
音楽リスナーからは「メンバー全員作曲できて洋楽ルーツの凄いバンド!!」という感じなのに世間では印象が180度異なるのは面白い様な不思議なような

そうした代表曲を連発する中で雰囲気をガラリと変えるのは「愛の手」
この曲にはっとりがかける思いは尋常ではなかった
何故ならマカえんのライブを振り返る時、まっさきにこの曲が出てきたから
はっとりの迫真の歌唱
このライブにおけるハイライトはここだった

「音楽に返答を求めたって答えは帰ってこない。音楽ってギザで適当な生き物なんですよ。」

とはっとりは音楽のことを冷静に分析するが、

「でも音楽に人生のヒントを求めたい。そう思いませんか?」

のように適当だと分かっていても音楽を我々は頼りたい
音楽には生きるための希望も願いも全て詰まっているから

「これからもギザで適当な音楽を愛してください。マカロニえんぴつという音楽でした。」

とはっとりが締めくくると最後はいつだって、

「夜を超えるための歌が死なないように」

が響く「ヤングアダルト」

最新アルバムに収録された楽曲たちのお披露目はどうやらツアーまでのお楽しみのようだ
「ワルツのレター」をはじめ、名曲だらけの新作のツアーはもう間近に迫ってる
それまでに夜を超えるための歌が死なないように

セトリ
SC.愛のレンタル
はしりがき
洗濯機と君とラヂオ
レモンパイ
なんでもないよ
恋人ごっこ
愛の手
ヤングアダルト

•GRAPEVINE
集客が懸念されるアーティスト、その2
昨年リリースされた「新しい果実」は傑作だったものの、当然ながら大衆受けはしない
シーンに迎合せずに歩んできたGRAPEVINEがファンを公言するマカロニえんぴつの後に登場

定刻になるとSEもなく登場
予定調和がまずないバンドなので、ちょっとした緊張感があるがイントロで思わず拳を上げてしまった理由
それは「新しい果実」の中でも特にダイナミックな「阿」から始まったから

この2日間に出演したアーティストの中でも最も分かりにくく、シーンに片っ端も触れてない
故にフェスに向いている音楽ではない
だからアウェイにはなってしまうけれども、我を貫き続ける音楽はどう見たってカッコいい
派手でなくても心は揺さぶられる

2017年にリリースされ、このスケールがピッタリ「Arma」の幸せな音色も若者の心を掴んでいるかと問われると、その回答には非常に苦労してしまう
これだって、若者に響く要素は客観的に考えると難しい
この音楽はロックを超えてアートだから

しかしGRAPEVINEの真骨頂はここから
「阿」に続いて「Gifted」と「新しい果実」の曲を次々と演奏するのはファンは歓喜だろうが、初見は呆然と立ち尽くすか魅力に圧倒されるかのどちらか
初見よりもファンのため
この選択は間違えないし、そもそもバンドは慈善団体ではないのだ
自分を楽しませることが1番だし、ファンも喜んでくれば尚ベスト
何にも縛られることなくGRAPEVINEは自分たちの音楽を楽しむ

「新しい果実」のオープニングであり、ダブやレゲエといった要素が混在する「ねずみ浄土」では、踊らせつつもグルーヴを更に築く
これこそベテランの貫禄だろうか
そうやって次第に身体は揺れていくが、代表曲の「光について」は格別
世代じゃない自分だってこの曲の美しさは分かる
あまりの美しさにステージが見えなくなってしまうくらい

そして最後は派手なホーンを皮切りに、手拍子はどんどん早くなっていく「Alright」

客席はこの2日間で最も悲惨だった
そりゃあフェスに向かないというのもある
けど、フェスには見本市の役割を持っていることを忘れてはならない

サーキットフェスの楽しみは新しいアーティストとの出会い
それはこのフェスでも同じだ
時間の使い方は自由だとしても、ステージが1ステージなら全ての出演者を見なければ失礼だと思う

ただ裏を返せば、客席にいた方々は贅沢なライブを見ることができたとも説明できる
付近にいた若い方は目を瞑りながらも曲が終わったら拍手していた
そうやって「見てみよう」というスタンスが大切なのだ

もしかしたらこの日の参加者で、GRAPEVINEを見てなかった方が後々GRAPEVINEを好きになる可能性もある
でもライブは再放送されない
アーカイブがあるのも一部だ

「見ておけば良かった…」
そう後悔するのは後々のこと
GRAPEVINEを休憩時間にするなんて以ての外

セトリ
Arma
Gifted
ねずみ浄土
光について
Alright

•04 Limited Sazabys
案の定、GRAPEVINEを終わると多くの方が戻ってきた
「40分近くどこにいた?」と尋ねたくなるが、ここからの3組は老若男女に愛されているといってミュージシャンが続く

その先陣となるフォーリミ、オリジナルのSEで勢いよく飛び出すといきなりの「fiction」スタート
RYU-TA(Gt. & Cho.)は速攻でキャップを飛ばし、最初からほぼ帽子を着用してない状況
なんのために帽子を着用したのだろう(笑)

先手必勝と言わんばかりの「monolith」でRYU-TAもHIROKAZ(Gt.)も最後のサビ前に回りまくるが、GEN(Vo. & Ba.)によるパンクロックへの愛情が込められた「fade」がこんな序盤から聞けるとは…

「忘れ去るには 甘えすぎた夜ほどに 認めない 目眩 消えない」

の通り、パンクロックを聞いたときの衝撃はやっぱり消えない
いや、消えるわけないのだ
自分が愛したものはそう簡単に消えていくわけがないのだから

タイトルの如くさらなる高みへ向かう「Jumper」を終えると、RYU-TAは贔屓にしている神社へ参拝
GENも神社へ行って、直接言葉で思いを伝えるなどそれぞれの年始めを感じさせるが、

GEN「昨日あった友人に「明日幕張でライブしてくる!!」って言ったんですよ。毎月やってますからね〜」

と話したとおり、フォーリミは3ヶ月連続で幕張でライブをしている
昔、ハルカミライが1ヶ月に3回も幕張でライブをして「ホーム」扱いしたようだが、フォーリミにも幕張はすっかりお庭である

KOUHEI(Dr.)による巧みなドラミングが印象的な「Kitchen」ではTalking ROCK!Fes.では編集長の吉川によって、出演代わりに流されたPVと共に膨大な手拍子が起こって爆笑の渦になったことを思い出したが、「My Hero」のようなツービートの曲を聞くと以前のライブホリックを思い出す
3年前、アリーナスタンディングにはセキュリティが居なかったのにフォーリミの直前に大量動員
始まったら案の定、ダイバーの嵐となっていたが、そんな景色は過去で終わってしまうのだろうか
いや終わらせない
あの最高の景色を見たものとしてはあれを過去で終わらせたくない

CDJでは演奏されなかった「midnight crushing」でRYU-TAは何を言っているか理解できなかったけれども、イベントホール内を夜に変えて、流星群を降らせたあと、GENはライブホリックをきっかけにORANGE RANGEのHIROKIと出会ったこと、楽屋であったSUPER BEAVERの渋谷がONE PIECEに出てこるドフラミンゴみたいだったと弄りつつ、

GEN「やりたいことができない世界になって、音楽をやることさえ誰かに注意されるようになっちゃったけど、誰かの役に立ちたいと思って音楽をやってます。」

と話したように音楽は以前と比較すると制限をかけられてしまった

音楽を楽しみたいだけなのに
なんでライブすることがタブー視されるようになってしまったのか
sumikaの片岡がCDJで話したことを思い出してしまったが、GENはやっぱり役に立ちたいと思ってる
音楽に救われた側の人間として

「今日は5000人くらい?10000個の耳があるのか。何かの約に立つことができれば」 

と少しでも役に立つことを願い、RYU-TAとKOUHEIが無表情で演奏するのはシュールだけれども、

「最高な世界になったら きっと愛せるんじゃないか 何処にある ここにある 最後は 君といたいから」

と「Terminal」で再会を少しの願いと共に託し、最後は「Squall」で強烈に後押しして終了

「ライホリに愛され、ライホリに愛されバンドです!!」

とGENはライホリ愛も話していたけど、こうやって多くの音楽好きが集まる機会は今では貴重である
春フェスだって無事に出来るか分からないから

ライホリ期間中に日本はより未曾有の危機に入ってしまったが、最低な世界でもまだやれる
あの時と似ている

セトリ
SC①nem
SC②knife
fiction
monolith
fade
Jumper
kitchen
My Hero
midnight crushing
Terminal
Squall

•ORANGE RANGE
フォーリミに続くのはどこでライブをやっても百戦百勝なORANGE RANGE
しかし、この日のライブはベースのYOHが体調不良でライブに不参加
サポートを含めた5人で参加する緊急事態となってしまった

SEと共にメンバーがステージに現れると、下手には誰もいない
せめてYOHがいる雰囲気だけでもといった感じだが、

「最大級な胸騒ぎ ムテキ ステキ 魅力的」

と不穏な打ち込みとNAOTO(Gt.)のハードなギターが化学反応を起こす「ラビリンス」からスタート
普段なら「上海ハニー」をはじめ、ヒット曲から始めていたイメージだけど、このあとHIROKI(Vo.)やRYO(Vo.)の口からも出たようにセットリストを変えたと話していた
普段やっている曲がYOHの不在が原因で変えざるを得なかったのか

HIROKIとRYOが今回のライブの背景を話した上で、

「このピンチを助けてくれますか!」

とHIROKIは力を求めるが、20代後半や30代前半は特に
そうじゃなくともこの日の参加者はORANGE RANGEをたどってきている
そのため参加者が協力しない訳がないが、「チャンピオーネ」、「イカSUMMER」とヒット曲だらけのバンドはやっぱり強い
20代後半と30代前半は直撃しているから尚更

「イカSUMMER」はギターロック強めのアレンジとなり、最後にRYOがYOHのベースを弾く瞬間もあったが、会場がどよめいたのは「HEALTH」
不穏な同期とNAOTOのカッティングに合わせてHIROKI達がエクササイズを始めたのだ(笑)
打首獄門同好会が「筋肉マイフレンド」でスクワットをさせるのはもうお馴染みだけど、どうやら体操させるバンドもいた模様

ORANGE RANGEはフェスだとヒット曲と今の自分たちの両方を見せる
それは懐メロバンドで終わらせないバンドの意地だと思うが、こうして時に「?」となる曲もリリースしている
その類に当てはまる「SUSHI 食べたい」がヒットしていること忘れてはならない

「せっかくなんで普段はやれない曲を」

と演奏されたのは最大のヒット曲となった「花」

確かにフェスではよっぽど持ち時間がないと演奏されない(ロッキンで聞けたのはGRASS STAGEに出演したから)
「これが普段演奏されないの?」と思われた方もいるだろう
実際、フェスのORANGE RANGEはアッパーに振り切る
だから「ミチシルベ」も「キズナ」も「シアワセネイロ」も聞いたことがない
ワンマンに行けば聞けるんだろうけど、この曲を聞けた瞬間はまさしく「今という現実の宝物」

更に壮大なイントロに導かれたのは「※〜アスタリスク〜」
CDJでは過去に演奏されていたが、ここのところは最近フェスではやらないと思われる
にしてもこのメガヒット曲2連発
自分はORANGE RANGEの快進撃をリアルタイムで見てきた人間だから、高揚してアドレナリンが出まくっていた(ORANGE RANGEで1番体力を使ってしまったと思う)

そして最後は今年、横浜DeNAベイスターズに復帰した石井琢朗が現役時代に登場曲として起用していた「以心電信」

「いつも僕らは繋がっているんだ」

を声に出すことはなかったけれども、盛り上がりまくったこの風景は「繋がっている」と誰もが実感したと思う
最後にHIROKIたちが歌う

「届け〜」

はもちろん届いていた

この日のORANGE RANGEは「HEALTH」が全てを持っていったが、この日聞けなかった曲がものすごく多いのも事実
だから5月に行われるぴあアリーナ2daysも参加したい所存だ

そして終盤、

「ライブホリックはバンドとバンドを繋げるイベントでもあり、僕らと音楽好きの距離を縮める大切なイベントでもあります」

とHIROKIは語っており、ORANGE RANGEがこのイベントをいかに大事に思っているかが分かった

セトリ
ラビリンス
チャンピオーネ
イカSUMMER
HEALTH
※〜アスタリスク〜
以心電信

•SUPER BEAVER
この日のトリは昨年、国内でトップクラスにライブをしまくったSUPER BEAVER
まもなく始まるツアーが凄まじい争奪戦となっており、彼らを見るためにこのフェスに参加した方も多いだろう

リハでばっちりアンサンブルを鳴らし、定刻を少し過ぎた頃「Tokyo」がSEとして流れ始めると柳沢(Gt.)、上杉(Ba.)、藤原(Dr.)の3人がまず登場
続いて登場した渋谷は、

「17年目の新人バンド、SUPER BEAVERです!!」

と力強く宣言し、「証明」で早くも一体感を示すものの、

「大袈裟なことを言うと 結局「あなたがいないと」僕の全部」

とこの日は「あなた」の部分を特に強調していた

最初は無観客ライブをやっていたものの、

「あなたの声は聞こえなかった」

とインタビューで渋谷は包み隠さず話し、徐々にビーバーはライブの本数を増やしていった
どのバンドも「あなた」の存在を強く求めているが、ビーバーは特に求めている
それはこの後のMCでなおさら実感することに

現状を打破すべく藤原がパンキッシュにドラムを叩く「突破口」を経て、

「何が正解か分からないこの時代に、正解を求めようとするライブホリックに感謝します!!」

とこの状況下でも開催を決意してくれたライブホリックに感謝する渋谷
この時代、正解はなにかはわからない
参加者を守るために延期するのは間違いじゃないし、メンバーの体調不良などで延期にするのも不正解ではない
それでもライホリは開催して正解を求めに行った
ライホリが延期、中止になったら次のライブがいつになるか分からないミュージシャンもいただろうし、ライホリの決断はいつか英断と呼ばれる日が来ることを信じたい所存

厳しい時代であってもここから始めようとする「青い春」で手拍子が鳴り響いて、

「SUPER BEAVERが!!笑わせたいんだよ」

とあなたを笑顔にしたいと伝えつつ、

「名前を呼ぶよ 会いにいくよ」

とあなたの元にいつでもビーバーが駆けつけることを示唆する「名前を呼ぶよ」は、聞けば聞くほど琴線に触れていく
この作品が主題歌になった「東京リベンジャーズ」は非常に良い評判を聞くが、見たことはない
映画を見た方からするとこの曲はどのように映っているのだろう

「自分たちの音楽はあなたの背中を押すものではなく、現実を見つめさせるもの」

と冷静に言いつつ、

「会いたいあなたに会えるのはあなただけ!!」

と宣言した「予感」では、

「会いに来たんだ ライブホリックに!!」

とこの日だけの景色を生み出すが、渋谷の子の発言は前日出演したBLUE ENCOUNT•田辺の

「自分の手で掴み取ろう!!」

に近い

SUPER BEAVERとBLUE ENCOUNTの繋がりは有名だが、この2日間のライブでより2組の関係の深さが分かってくる

この日の盛り上がりを見た渋谷は、

「これなら列伝出れるんじゃない!?」

と確信するものの、

「聞いてみたらやっぱり出れないみたいだし、(04 Limited Sazabysの)GENちゃんには「ドフラミンゴみたい」って言われた」

とビーバーの規模になると列伝に出るのは困難だし、GENを巻き込み始めたのは先程のコメントが余程ショックだったのだろうか
確かに街中で渋谷を見かけると怖いけど(笑)※昔タワヨコのインストアで間近に見た

「主催から「明日元気が出るような希望に満ちたライブをお願いします」と手紙貰ったけど、俺たちが打って付けじゃないか!!」

とAwesome City Clubのatagiのように、主催者からのコメントを持ち上げテンションを高ぶらせると、

「俺たちは最短ルートを辿ることが出来なかった。けど4人で音を鳴らす時間が多かったから、あなたの大切さを誰よりも分かっている」

と渋谷が告白したのは事実で最初のメジャーでビーバーは主導権を最終的に持っていかれ、音楽そのものも嫌になりかけていた
渋谷が辞めようとした直前、当時のマネージャーに「ちゃんと話し合ったら」と言われたことで4人で話し合い、そこからインディーズで活動
どんどんビーバーを支える方は増えていき、多くのあなたが見つけてくれた
最終的にはインディーズで武道館や代々木第一体育館ワンマンを行うとんでもない快挙を成し遂げたが、そこまで押し上げてくれたのは多くのあなただった
証明であの歌詞を強調したように、あなたの大切さをビーバーは誰よりも分かっている

「あなたにとっての楽しいや普通を守ってくれている人がいる。その人と対峙できるように歌いたいと思います。」

とあなたを支えてくれる方に届けるように歌ったのは名曲「人として」
幾つもあるビーバーのバラードで自分はこれが好き
いつだって人生は信じ続けるしかないし、愛し続けるしかない
なんて言われようが続けるしかないのだ
渋谷が話したように努力は必ず実るわけでもない
だとしても簡単に諦めたくはない
カッコ悪い人にはなりたくない 
人として 人として かっこよく生きていたいじゃないか

そして最後はビーバーからあなたに向けて直接愛を叫ぶ「アイラヴユー」で終わると思われたが、

「少し早いかもしれないけど、今年1年の厄払いとして!!」

と「さよなら絶望」で終了

先に渋谷はステージを去ったが、演奏を終えると藤原は何故か求愛ダンスをはじめ、上杉はライブホリックのタオルを掲げていた
さよなら絶望!!

セトリ
証明
突破口
青い春
名前を呼ぶよ
予感
人として
アイラヴユー
さよなら絶望

この後は規制退場になるはずだが、一部のものはやっぱり無視して先に帰っていた
これでルールを守っていると言えるのだろうか…

渋谷も話していたがこの状況で正しい選択肢は分からない 
それでも限りなく、正解に近いものを求めたライホリには惜しみない拍手が必要だ 
この状況で開催するにあたって、様々な葛藤もあっただろうし、誰もが肯定してくれるわけではないから

もはや色んなイベントが中止延期になってもおかしくない
つい先日見ていたアーティストが感染してしまうケースもある
予断を許さない状況であるが、このイベントは開催、参加してよかったと思える日が来ますように