セツナとルカの楽しそうな様子を見ながら、セイは静かに思う。
こんな時間が、自分にも訪れるなんて思ってもいなかった。
ログアウトできなくなり、この世界へ閉じ込められた日から、毎日はただ繰り返されるだけだった。
存在を見失わないために、決めた日課をこなし、考えすぎないように今日を終える。
それだけの日々。
誰かと食卓を囲むことも、笑い合うことも、クリスマスを楽しみに待つことも、もう、自分には縁のないものだと思っていた。
それなのに今、目の前ではセツナが楽しそうに笑い、ルカが嬉しそうに野菜を頬張っている。
その笑い声を聞いているだけで、不思議なくらい胸の奥が温かかった。
(……ありがとう)
心の中で、そっと呟く。
誰かと笑い合い、同じ料理を囲み、同じ時間を過ごす。
そんな当たり前の時間が、今の自分には何よりも尊かった。
この世界へ閉じ込められたあの日には想像もできなかった、温かな時間。
それは贈り物の形をしていなくても、誰かにもらった物でなくても、確かに、自分へ届けられた最高のクリスマスプレゼントだった。
(第296話に続く)