2人は早速ディナーの準備を始めることにした。
セツナがエプロンの紐を結ぶ。
自然な動作で当たり前のように身に着ける。
そしてその姿は、不思議とよく似合っていた。
その姿を見ているうちに、ふと、ある考えが頭をよぎる。
同じキッチンに立って、一緒に料理をして、出来上がったものを同じ食卓で食べる。
それはまるで――
(これでは恋人同士……いや、夫婦みたいじゃないか!?)
そこまで考えた瞬間、セイは慌てて思考を打ち消した。
いや、違う。
そんなわけがない。
ただの共同作業だ。
これは運営が用意したイベントの一環に過ぎない。
そう自分に言い聞かせる。
けれど、1度浮かんでしまった考えは簡単には消えてくれなかった。
「セイ?」
不意に名前を呼ばれ、はっと顔を上げる。
「どうしたの?」
「……いえ、何でもありません」
「そっか」
セツナは特に気にした様子もなく笑った。
(第287話に続く)