外へ出ると、冬の空気が頬を撫でた。
セイは片手にルカの入ったかごを持ちながら歩く。
通りへ出た瞬間だった。
「わああー!ひかってるー!」
ルカが大きな声を上げる。
かごの縁に前足をかけ、身を乗り出して街を見回していた。
「ルカ、あんまり身を乗り出していたら危ないぞ」
「はーい!」
返事は素直だった。
だが視線はすでに別の方向へ向いている。
「あっちも、ぴかぴかー!」
「そうだね」
「ふふっ。ルカは楽しそうだね」
「はい、本当に」
セイはそう答える。
だが、その声はどこか柔らかかった。
「おい、ルカ。あまりはしゃぐんじゃない」
「はーい!」
元気な返事が返ってくる。
だが、その直後にはまた別のイルミネーションへ視線を向けていた。
「あっちもぴかぴかー!」
「まったく……」
セイは小さく息を吐く。
その様子を見たセツナが、どこか楽しそうに、ふふっと笑った。
「……?何かありましたか?」
セイは意味が分からずセツナに問いかける。
「ううん、なんでもない」
セツナはそう言いながら笑みを浮かべたままだった。
なぜ笑われたのか分からない。
何か変なことを言っただろうか。
そう考えてみるが心当たりはない。
「……そうですか」
結局よく分からないまま歩き出す。
けれど、不思議と悪い気分ではなかった。
(第265話に続く)