■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第264話) | 世羅の気功と日常ブログ

世羅の気功と日常ブログ

「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
テーマに、気ままに想いのままに
書き綴るブログです。

外へ出ると、冬の空気が頬を撫でた。

 

セイは片手にルカの入ったかごを持ちながら歩く。

 

通りへ出た瞬間だった。

 

「わああー!ひかってるー!」

 

ルカが大きな声を上げる。

 

かごの縁に前足をかけ、身を乗り出して街を見回していた。

 

「ルカ、あんまり身を乗り出していたら危ないぞ」

 

「はーい!」

 

返事は素直だった。

 

だが視線はすでに別の方向へ向いている。

 

「あっちも、ぴかぴかー!」

 

「そうだね」

 

「ふふっ。ルカは楽しそうだね」

 

「はい、本当に」

 

セイはそう答える。

 

だが、その声はどこか柔らかかった。

 

「おい、ルカ。あまりはしゃぐんじゃない」

 

「はーい!」

 

元気な返事が返ってくる。

 

だが、その直後にはまた別のイルミネーションへ視線を向けていた。

 

「あっちもぴかぴかー!」

 

「まったく……」

 

セイは小さく息を吐く。

 

その様子を見たセツナが、どこか楽しそうに、ふふっと笑った。

 

……?何かありましたか?」

 

セイは意味が分からずセツナに問いかける。

 

「ううん、なんでもない」

 

セツナはそう言いながら笑みを浮かべたままだった。

 

なぜ笑われたのか分からない。

 

何か変なことを言っただろうか。

 

そう考えてみるが心当たりはない。

 

……そうですか」

 

結局よく分からないまま歩き出す。

 

けれど、不思議と悪い気分ではなかった。

 

(第265話に続く)