昨日のうちに、今日やるべきことまで全て終わらせてしまっていた。
そのことに気づいたセイは、しばらく何もせずに立っていた。
やるべきことがない。
改めてそう認識すると、何をすればいいのか分からなくなる。
「……」
自分の徹底ぶりに、思わず小さくため息をつく。
では、どうするべきか。
セイは考える。
だが思いつかない。
掃除は終わっている。
料理も終わっている。
買い出しも必要ない。
今から新しく何かを始めるほどの時間でもない。
しばらく考えた末、セイは本棚へ視線を向けた。
(……本でも読むか)
特にやることが思いつかなかった。
セイは1冊の本を手に取り、椅子へ腰を下ろす。
ページを開く。
文字を追う。
だが気づけば、同じ行を2度読んでいた。
内容がほとんど頭に入っていない。
セイは小さく息を吐き、本を閉じた。
窓の外を見る。
冬の日差しはやわらかく、空は穏やかだった。
まだ昼には少し早い。
そう判断したところで、ふと端末へ視線が向いた。
彼女はいつも家へ来る少し前になると連絡をくれる。
『今から行くね』
たいていは、その一言だった。
まだ来る時間ではない。
それは分かっている。
だが、なぜか気になった。
端末を呼び出す。
だが特に通知はない。
(まだ早い時間だから問題はない)
そう判断して画面を閉じた。
(第247話に続く)