その後、部屋へ戻る。
ルカの食事を用意し、自分の朝食も作る。
いつも通り、何も変わらない朝だった。
食事を終え、片付けを済ませる。
そこで1度立ち止まった。
今日やるべきことを頭の中で確認する。
庭の手入れは終わっている。
掃除も昨日のうちに済ませた。
夕食の下ごしらえも終わっている。
来客の準備も問題ない。
暖炉も正常に稼働している。
不足はない。
しばらく考える。
そして気づいた。
(……やることがない)
静かな沈黙が落ちた。
ふと部屋を見渡す。
テーブル。
椅子。
暖炉。
どこも問題ない。
昨日のうちに何度も確認している。
不足がないように。
困らないように。
思いつく限りの準備を済ませていた。
セイはしばらく無言になった。
(……本当にやることがない)
そう考えたところで、ふと視界の端に姿見が入った。
服装に問題はないだろうか。
そんな考えが頭をよぎり、何となく立ち上がった。
鏡の前へ向かう。
髪も乱れていない。
服にも問題はない。
数秒考える。
もう1度確認する。
やはり問題はない。
「……」
なぜ確認したのか、自分でもよく分からなかった。
そしてまた思考は振出しに戻る。
(なにをやるべきか思いつかない)
その事実を前にして、ようやく自分の癖に気づく。
予定があると、不測の事態に備えてできる限りの準備を済ませてしまう。
昔からそうだった。
足りないものはないか。
困ることはないか。
気づいたことを1つずつ潰していく。
その結果――
今日の自分の仕事まで、昨日のうちに終わらせてしまっていた。
(第246話に続く)