【第6章 特別な人】
朝。
いつも通り目を覚ます。
だが、その瞬間に真っ先に浮かんだのは彼女の顔だった。
(今日はセツナさんが来る日だ)
その事実を思い出した瞬間、ぼんやりしていた意識が少しだけはっきりする。
そして次の瞬間、自分でも少しだけ驚いた。
起きて最初に考えたことが、セツナのことだったからだ。
(……僕は思っていた以上に楽しみにしていたらしい)
静かに息を吐く。
胸の奥がわずかに落ち着かない。
今日は彼女が来る。
その事実が改めて意識の中へ広がっていった。
21日ぶりに会える。
そう思った瞬間、胸の奥がわずかに熱を帯びた。
長いと思っていた。
実際に長かった。
けれど、ようやくその時間が終わる。
だが、そこで思考を止めた。
まずは朝の支度だ。
セイはゆっくりと身体を起こした。
顔を洗い、着替え、庭へ出る。
プチトマトへ水をやり、『幸せの種』へ視線を向ける。
まだ芽は出ていない。
だが、なぜか少しだけ心の奥が弾んだ。
(第245話に続く)