端末を閉じたセイは、しばらく何もせずに座っていた。
まだセツナが来る時間ではない。
そう分かっている。
それでも、なぜか落ち着かなかった。
しばらくして、あることが気になった。
(本当に来るだろうか)
すぐに首を横へ振る。
今日は来ると言っていた。
セツナは約束を破るような人ではない。
そう理解している。
だが――
(年末だから急用が入る可能性はある)
仕事。
家族。
現実世界の用事。
自分の知らない事情はいくらでもある。
(いや、セツナさんは約束を守る人だ)
そう思う。
だが。
(絶対ではない)
そこまで考えたところで、ふと窓へ視線を向けた。
「……まだこんな時間か」
無意識に呟く。
足元でルカが耳を揺らした。
セイは気づかない。
再び本を開く。
2ページ読む。
やはり内容は頭に入っていなかった。
セイは本を閉じて窓を見る。
冬の日差しは、先ほど見た時とほとんど変わらない位置にあった。
(第248話に続く)