午後。
雑用を済ませ、ルカを連れて買い物へ向かう。
必要な物を購入し、少し遠回りをして帰宅する。
戸棚へ荷物をしまい終えた、その時だった。
端末から通知音が鳴る。
その瞬間、意識が反射的にそちらへ向いた。
胸の奥がわずかに跳ねる。
画面を開く。
〈セイ、元気かな?ルカと仲良くしてる?最近また寒くなったから、風邪ひかないようにセイも気を付けてね〉
短い文章。
それだけだった。
それなのに、胸の奥が静かに熱を帯びる。
セイは視線を落とした。
(……なぜだろう)
理由は分かっている。
分かっているからこそ、考えないようにしていた。
返信を打つ。
消す。
打ち直す。
また消す。
たった数行。
それだけのはずなのに、指が止まる。
何を書けばいいのか。
どう返せば自然なのか。
気づけば、そればかり考えている。
(……なぜ、そこまで気にする)
そこで手が止まった。
そして、不意にひとつの考えが浮かぶ。
(……気づかれたら、終わる)
その瞬間。
胸の奥で何かが静かに繋がった。
(第219話に続く)