次の日の朝。
セイはいつも通り目を覚ました。
窓から差し込む光。
聞こえるのは時計の針の音だけ。
静かな朝だった。
いや――
正確には、ずっと静かだったはずだ。
彼女が帰った後の拠点は、いつもこうだ。
ルカがいて、自分がいて、それだけ。
何も変わっていない。
だが。
(……静かだな)
なぜか今日は、その静けさだけが妙に意識に残った。
まるで部屋の中から何かが抜け落ちたような感覚。
以前も同じ状態だったはずなのに、今はその差だけが妙に鮮明だった。
(……違うな)
セイはゆっくり考える。
環境は変わっていない。
変わったのは――
(僕の認識か)
そこで思考を止めた。
これ以上掘り下げると、昨日ようやく気づいた感情に繋がる気がしたからだ。
セイは1度そこで思考を断ち切った。
(第208話に続く)