その後、セイは着替えを済ませ、顔を洗い、庭へ出る。
プチトマトに水をやり、『幸せの種』の土を確認する。
芽はまだ出ていないが、「問題なし」と判断して部屋へ戻った。
今日は買い出しに行こう。
そう思い、クローゼットを開く。
そして上着を取ろうとして、手が止まった。
空いているスペース。
そこに視線が引っかかった。
セイはおもむろに、クローゼットを拡張した日のことを思い出す。
あの時は合理的な判断だった。
彼女が服を置く場所に困っていた。
だから収納効率の改善のために増設した。
それだけだ。
ただ、それだけのはずだった。
だが、昨日までなら流していたはずの思考が、そこで止まらなかった。
(第209話に続く)