掃除を終えたセイは、午後、ひと息つくためにお茶を淹れることにした。
湯気とともに、やわらかな香りが立ち上る。
庭を眺めながら、ゆっくりと口に含む。
その香りに、以前彼女がハーブティーを選んでいたことを思い出す。
香りが好きなのか。
それとも、含まれる成分を気にしているのか。
あるいは、その両方かもしれない。
なら、彼女が好みそうなものを探してみるのもいいかもしれない。
そこまで考えて、ふと手が止まった。
「……セツナさんなら、どんな香りを選ぶだろう」
静かな声が、無意識にこぼれる。
はっとして、セイはわずかに目を瞬かせた。
(……どうしてだろう)
その理由を考える前に、そっと湯呑みを口元へ運ぶ。
(第187話に続く)