その後セイは何となく、掃除でもしようと思い立ち、リビングへ向かう。
床を整え、棚の埃を払う。
ふと視線を巡らせたとき、暖炉の前に並ぶ装飾が目に入った。
配置は何ひとつ変わっていない。
それでも、この場所に満ちていた柔らかな空気を、身体が覚えていた。
気づけば手が止まっている。
深く考えることではないと意識を切り替え、再び掃除を続ける。
やがて掃除を終え、次に何をするか考えたとき、自然と足はもうひとつの部屋へ向かっていた。
彼女の部屋。
次に泊まりに来たとき、少しでも過ごしやすいように。
そう考えている自分に気づきながらも、その理由を掘り下げることはしなかった。
(第185話に続く)