そして、本当に帰る時間になってふと、セツナが立ち上がる気配がした。
「それじゃ、私そろそろ帰るね」
その言葉を聞いた瞬間、覚悟していたはずなのに、胸に寂しさが押し寄せた。
「もう、お帰りになるんですね…なんだか寂しくなります…」
自分でも驚くほど、胸の奥に、自分で言ったはずの言葉が入り込んでくる。
セツナは少しだけ表情を曇らせたが、すぐに安心させるように声を出す。
「うん。次に会うのは1週間後だけど元気でいてね、セイ」
そしてふと気が付いたように言葉を続ける。
「あっ、セイにとっては、21日後だったね。大丈夫?」
その言葉が、遅れて、胸の中に落ちてきた。
――21日間、会えない。
数字として聞いた瞬間、今までぼんやりしていた感覚が、一気に輪郭を持って迫ってくる。
(……そんなに、長いんだ)
理由はわからない。
ただ、胸の奥が、急に重くなったように感じた。
(第178話に続く)