その後、2人は静かにその場をあとにした。
家に戻ると、ルカがすぐに気配を察して駆け寄ってくる。
「ルカ、ただいま。いい子でお留守番してたかな?」
「セツナちゃん、セイくん、おかえりなさい。ルカ、いい子にしてたよ」
尻尾をぶんぶん振りながら、誇らしげにそう報告する。
「ただいま、ルカ」
セイがしゃがんで撫でると、ルカは満足そうに喉を鳴らした。
その様子を見ながら、セツナがぽつりと言う。
「それじゃ、私、そろそろ帰るね」
その言葉を聞いた瞬間、考えるより先に声が出ていた。
「えっ……もう帰るんですか?」
自分でも驚くほど、胸に寂しさが押し寄せていた。
セツナが一瞬、動きを止める。
「……うん、そのつもりだったけど……でも、やっぱりもう少し一緒にいようかな?」
「……本当に、いいんですか?」
「うん。今日は土曜日だし、もう少しゆっくりできるよ」
「わーい!ルカ、セツナちゃんともっとあそぶ!」
ルカが嬉しそうに跳ね回り、その様子にセイも思わず笑ってしまう。
もう1度、3人で過ごす時間。
特別なことは何もしない。
それでも、不思議と心は落ち着いていた。
セツナが隣にいて、ルカが楽しそうにしている。
ただそれだけのことが、今は心地よかった。
(第177話に続く)