セイの言葉を聞いた瞬間、セツナが驚いたように振り返る。
「え?」
「さっきは……少しびっくりしましたけど」
セイは、ゆっくりと言葉を選びながら続ける。
「今は、もう大丈夫ですし……良かったら、もう1度だけ、見に行ってみませんか?」
セツナは、一瞬迷うような表情を浮かべる。
「でも、また具合悪くなったら……」
「その時は、すぐ離れます。それに……セツナさんも、いますから」
軽い笑みと共に、その言葉は、自然に口をついて出た。
言ってから、少しだけ照れたように視線を逸らす。
セツナは、セイの表情を見つめてから、ふっと息を吐く。
「……ほんとに、大丈夫だよね?」
「はい」
短い沈黙のあと、セツナは肩をすくめるように笑った。
「じゃあ……ほんの少しだけ、ね」
「ありがとうございます」
2人は、先ほどよりも、ゆっくりとした歩調で、来た方向へと歩みを戻す。
通りの先には、再び淡い光が揺れていた。
(第174話に続く)