夜の通りを、2人はゆっくりと歩いていた。
しばらく、靴音だけが静かに響く。
「今日は……このまま帰ろっか。せっかく来たけど、無理しても良くないし」
セツナが、少しだけ名残惜しそうに言う。
「……はい」
セイは頷いた。
そのまま、もう少し歩いたところで、セツナが、何気ない口調でぽつりと漏らす。
「でも……」
ほんの一瞬、言葉を選ぶような間。
「イルミ、綺麗だったよね。もう少し、見てたかったかも」
それは独り言に近い、本音だった。
セイの足が、わずかに止まる。
(……)
胸の奥が、きゅっと音を立てる。
「……僕もです」
思わず、そう口にしていた。
その言葉に、セツナの足がふと止まる。
夜の静かな通りに、2人の靴音だけが途切れた。
(第173話に続く)