注文を済ませた後、セイは背もたれに体を預け、ゆっくりと呼吸を整える。
(……大丈夫だ)
さっきより、鼓動は落ち着いている。
胸のざわつきも、少しずつ引いていくのが分かった。
セツナは、セイの様子をそっと観察するように、視線を向けていたが、深くは踏み込まない。
飲み物が運ばれてくる。
「はい、どうぞ」
カップに両手を添えると、温かさがじんわりと伝わってきた。
それだけで、身体の内側が少し緩む。
数口飲んだところで、セツナが静かに声をかける。
「セイ、もう落ち着いた?」
「……はい。だいぶ」
セイは正直に答えたあと、少し間を置いて続ける。
「お騒がせして、すみません。自分でも……何が起きたのか、よく分からなくて」
「いいんだよ。急に具合悪くなること、誰にでもあるし」
セツナはそう言って、軽く笑った。
その言葉に、セイは頷く。
(第169話に続く)