やがて、2人はイルミネーションの中心になっている広場に足を踏み入れる。
視界が一気に開け、光がまとまって目に入ってきた。
噴水の周囲を囲むように、柔らかな光が広がっている。
音楽は流れていないが、その分、光そのものが静かに主張しているようだった。
「……きれいだね」
セツナが、小さく息を吐くように言う。
「はい」
セイも、自然と視線を上げる。
その光景を、ただ“きれいなもの”として受け止めながら。
そしてセイは、そのままもう1度、イルミネーションに視線を向けた。
噴水の縁をなぞる光。
水面に反射して、ゆっくり揺れる明かり。
先ほどと何も変わらない、同じはずの景色。
――なのに。
胸の奥が、わずかにざわついた。
(……?)
理由は分からない。
ただ、光を見つめていると、胸の内側が落ち着かなくなる。
セイは無意識のうちに、ほんの少しだけ足を止めていた。
(第164話に続く)