少し歩くと、前方の通りが明るくなっているのが見えた。
建物の輪郭をなぞるように、細かな光が連なっている。
「あ、あそこかな」
セツナが指差す。
「はい。案内には、あの一帯と書いてありました」
イルミネーションのエリアが近づくにつれ、人の流れが少し増えてくる。
けれど、マーケットほどの密度ではなく、立ち止まって見上げる余裕がありそうだった。
通り沿いの木々にも、光が巻き付けられている。
白や淡い色の光が、枝先まで丁寧に施され、夜空に浮かび上がるようだった。
「思ったより、落ち着いた感じだね」
「はい。派手というより……静かですね」
そう言いながら、セイは無意識に周囲を見渡していた。
足元、通りの幅、人の距離。
それはいつもの癖のような確認で、特別な意味はなかった。
(第163話に続く)