■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第155話) | 世羅の気功と日常ブログ

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身支度を終えたセツナは、そのまま庭へ出ると、小さなプチトマトへ目を向けた。

 

「うん、今日も順調に育ってるね」

 

朝の光を受けた葉が、小さく揺れる。

 

まだ頼りないその姿が、どこか微笑ましい。

 

セツナは小さく微笑むと、ゆっくりキッチンへ戻っていく。

 

中では、セイがちょうど朝食を仕上げているところだった。

 

「私もお手伝いするよ」

 

「もうすぐ終わりますから、ゆっくりしていてください」

 

「うーん。でも、やっぱり私も何かしたいな」

 

そう言いながら隣へ来るセツナに、セイは少し考えてから口を開く。

 

「でしたら、ルカのご飯だけお願いできますか?」

 

「うん、任せて」

 

セツナは嬉しそうに頷くと、切り分けてある野菜を器へ盛りつけていく。

 

ルカが食べやすいよう、小さめに並べながら、そっと床へ器を置いた。

 

するとルカはすぐに駆け寄り、小さく鼻をひくつかせながら器を覗き込む。

 

その様子に、セツナがくすっと笑った。

 

準備を終えたころには、キッチンいっぱいに朝食の香りが広がっていた。

 

セイとセツナは向かい合うように席へ座り、静かな朝食を始める。

 

「いただきまーす」

 

「いただきます」

 

焼きたてのパンを口にした瞬間、セツナの表情がふわっと緩む。

 

「うん、この朝食とっても美味しい。パンも美味しいし、目玉焼きもサラダもハムも、何もかも美味しいよ」

 

「簡単なものばかりですが……」

 

「ううん、それで十分だよ。ありがとね、セイ」

 

その言葉に、セイは小さく視線を伏せた。

 

ルカは自分の器で、しゃくしゃくと野菜を食べている。

 

時折こちらを見上げては、満足そうに鼻をぴくぴく動かしていた。

 

静かな朝の家の中に、3人の小さな笑い声だけが、やわらかく溶けていく。

 

その光景を見つめながら、セイはふと気づく。

 

以前の自分なら、この静かな時間を、ただ「穏やかだ」と処理して終わっていた。

 

けれど今は違う。

 

この時間が終わってほしくないと、どこかで思っている。

 

その感情に触れかけた瞬間、セイはそっと視線を落とし、温かいスープへ口をつけた。

 

(第156話に続く)