■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第154話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
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朝、目を覚ますと、窓の外にはやわらかな朝の光が広がっていた。

 

家の中はまだ静かで、どこか眠気を残したような空気が漂っている。

 

セイはルカを起こさないよう静かにベッドを抜け出すと、顔を洗い、着替えを済ませ、そのまま庭へ向かった。

 

吐く息は白く、朝の空気は少し冷たい。

 

しゃがみ込み、まずはプチトマトへ視線を向ける。

 

小さな葉は、寒さにも負けず、昨日よりほんの少しだけ伸びているように見えた。

 

……順調だな」

 

誰に言うでもなく、小さく呟く。

 

そのあと、すぐ隣の『幸せの種』へ視線を落とした。

 

見た目には、何も変わっていない。

 

それでも、セイは不思議と、そこに“何か”が確かに在るような気がしていた。

 

まだ芽吹いてはいない。

 

けれど、土の下には確かに可能性が眠っている。

 

目には見えなくても、そこにあるもの。

 

セイは、その静かな気配を確かめるように、そっと土へ触れた。

 

冷たい土の感触。

 

だが、その奥に、小さな期待が静かに積み重なっていく。

 

庭をひと通り見回したあと、セイは家の中へ戻り、朝食の準備を始めた。

 

キッチンへ立つと、足元ではルカが期待したように見上げてくる。

 

ぱたぱたと揺れる小さな尻尾。

 

「ルカ、ご飯、何食べたい?」

 

「ニンジン!」

 

元気いっぱいの返事に、セイの口元がわずかに緩む。

 

「はいはい。でも他の野菜も少し食べようね」

 

そう言いながら、パンをトースターへ入れ、フライパンに火をつける。

 

じゅう、と卵の焼ける音が静かな朝のキッチンに広がった。

 

野菜を洗い、サラダ用に切り分け、ハムを皿へ並べていく。

 

慣れた動きには無駄がなく、朝の支度は静かに進んでいった。

 

すると、廊下の向こうから足音が近づいてくる。

 

「おはよう」

 

少し眠たそうな声と一緒に、セツナがキッチンへ顔を覗かせた。

 

まだ寝起きらしい柔らかな表情に、セイは自然と視線を向ける。

 

「おはようございます、セツナさん。よく眠れましたか?これから朝食を作りますので、先に支度をしてきてください」

 

「ありがと。それじゃ少し時間もらって支度してくるね」

 

セツナはふわりと笑うと、そのまま軽い足取りで部屋へ戻っていく。

 

廊下の向こうで髪をまとめる気配がして、セイはフライパンへ視線を戻した。

 

焼きたてのパンの香りが、ゆっくりと部屋に広がっていく。

 

静かな朝。

 

誰かがいる気配。

 

食事の音。

 

穏やかに流れる時間。

 

そのすべてが、不思議なくらい自然に、この場所へ馴染んでいた。

 

胸の奥が、静かに温かい。

 

セイはその感覚を深く追わないまま、目玉焼きを皿へ盛りつけた。

 

(第155話に続く)