■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第153話) | 世羅の気功と日常ブログ

世羅の気功と日常ブログ

「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
テーマに、気ままに想いのままに
書き綴るブログです。

夜中、ふと目が覚めた。


時計を見るほどでもない時間だと、セイは感覚で分かる。


……あれ、少し寝てたみたいだ)


いつもなら、横になっても意識だけが冴えたままなのにログアウトできない不安が頭の奥に居座って、眠ろうとしても眠れない夜が続いていたはずなのに、今日はほんのわずかとはいえ、ちゃんと眠れていた。


それに気づいた瞬間、胸の奥が少しだけ緩む。


布団の中で静かに息を整えると、すぐ近くに小さな気配を感じた。


ルカだ。


規則正しい、小さな寝息。

 

そこにいるだけで分かる存在感。


それから、もう1つ。


部屋の奥――扉の向こうに、彼女がいる。


音がするわけじゃない。

 

ただ、「いる」と分かる。


同じ家の中、同じ時間に、同じ空間を共有しているという感覚。


セイはそっと視線を向け、暗がりの中でセツナの部屋の方向を見つめた。


……あそこに、セツナさんがいる)


そう思っただけで、胸のあたりが温かくなる。


安心する感覚と同時に、なぜか少しだけ鼓動が速くなるのも分かる。


彼女の気配を、はっきりと意識してしまう自分がいる。


でも、不快じゃない。


それどころか――


(同じ空間に、人の気配があるというのは……こんなに、あったかいんだな)


孤独だった時間には、知らなかった感覚だった。


誰かが「いる」こと。


それを当たり前のように感じられること。


セイはもう1度、静かに息を吸って、布団の中で身を落ち着ける。


ルカの寝息と、セツナの気配に包まれながら、そっと目を閉じた。


……もう少し、休めそうだ)


そう思えたこと自体が、今のセイにとっては小さな奇跡だった。

 

(第154話に続く)