ルカは小さな尻尾を振りながら、テーブルの隅から楽しそうに2人の作業を見つめている。
包丁の音や、まな板を叩く小気味いいリズムが、静かなキッチンにやわらかな活気を生み出していた。
テーブルの隅にいたルカが、トコトコと足元まで寄ってくる。
セイは優しく視線を移し、静かに尋ねた。
「ルカ、何食べたい?」
「今日たべたお野菜がいい!」
元気いっぱいに答えるルカの姿が微笑ましく、セイは思わず口元を緩める。
胸の奥が、ほんのりと温かかった。
2人は自然に役割を分けながら、手際よくシチューを作っていく。
コトコトと鍋の煮える音。
少しずつ広がっていくシチューの甘い香り。
時折交わされる何気ない言葉。
そのどれもが、静かな家の中に、穏やかな時間をゆっくりと積み重ねていった。
セイはシチューに合わせて野菜たっぷりのサラダを盛りつけ、ルカの分も忘れずに小皿へ並べる。
そして、2人分のシチューをよそい、食卓へ運んだ。
「それじゃ食べよっか」
「はい、ではいただきましょう」
その言葉と共に、セイの胸にも自然と安堵が広がっていく。
(第150話に続く)