外に出ると、空気はさっきよりも少しだけ冷えていた。
けれど、さっきよりも、どこか軽い。
そんな感覚のまま、2人は夜のスキー場へと向かう。
道中、街の灯りが少しずつ遠ざかり、その代わりに、雪の気配がゆっくりと濃くなっていく。
視線の先には、白く染まり始めた景色が広がっていた。
「……なんか、もう雰囲気あるね」
セツナが小さく呟く。
「はい。少しずつ、景色が変わってきています」
セイは短く返す。
そのやり取りだけで、気持ちも自然と切り替わっていく。
やがて視界の先に、灯りが見えてくる。
スキー場だ。
雪は静かに降り続け、ゲレンデのライトに照らされて、淡くきらめいている。
その光景を目にした瞬間、胸の奥に、わずかに静けさが広がった。
リフトで山の上へと向かいながら、2人は言葉少なに景色を眺める。
雪に覆われた木々と、遠くに広がる街の灯り。
それをただ共有しているだけで、十分だった。
(第147話に続く)