家に戻ると、扉を開けた瞬間に、少しだけ空気が緩んだ気がした。
外の冷たさから切り替わる、室内のやわらかい温度。
セイは靴を脱ぎながら、小さく目を細めた。
「……先に、荷物を整理してしまいましょうか」
「うん、その方がいいね」
それぞれ手に持っていた袋をテーブルに置く。
ウェアや小物をひとつずつ取り出し、確認していく。
「これがウェアで……」
「手袋と、ネックウォーマーですね」
セイは淡々と仕分けながら、無駄のない動きでまとめていく。
ハンガーにかけるもの、バッグに入れるもの、すぐ使えるように置いておくもの。
「……こんな感じで大丈夫そうですね」
「うん、ばっちり」
セツナも軽く頷く。
その横で、ルカが袋の中を覗き込んでいる。
「ルカ、それはあとで」
「はーい……」
名残惜しそうに顔を引っ込める。
2人の間に小さく笑いがこぼれた。
(第144話に続く)