■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第97話) | 世羅の気功と日常ブログ

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目の前で鼻をぴくぴくと動かす小さな生き物を、セイは吸い込まれるような心地で見つめていた。

 

すると、セイの横顔を優しく見守っていたセツナが、ふと思い立ったようにこう言った

 

「ねえ、この子に名前、つけてあげない?」


セツナの提案に、セイは少し考え込み、連想を巡らせ

 

……月の光のように、静かで落ち着いた存在。ラテン語で“光”を意味する名前……

 

セイは小さく息を吐き、うさぎを見つめた。

 

セツナさんさえよければ、この子の名前は――ルカにします」

 

「うん、ぴったりだね。セイらしい名前だよ」

 

そう微笑みながらセツナが言う。

 

そして、うさぎを見ながら、

 

「それでは、ルカ。セイをよろしくお願いね」

 

と口にした。

 

すると、うさぎ――ルカが口を開く。


「うん。セツナちゃん、まかせて」

 

「わっ……今、ちゃんと喋った!」

 

セツナは目を丸くし、すぐに表情を緩めた。

 

「可愛いね。ちゃんと会話できてる。

 

「はい。どうやら僕たちの名前も、すでに覚えてくれたようです」

 

「ねえ、セイ。せっかくだからも1度ちゃんと話しかけてみて」

 

セイは少しだけ間を置き、改めてルカに向き直った。

 

……ルカ。これから、よろしくお願いします」

 

「うん。セイくん、これからよろしくね」

 

「ふふ。セイってば、ルカに対しても敬語なんだ」

 

……あ。そうですね。つい、癖で」


セイはわずかに視線を落とした。


その様子がどこか微笑ましくて、セツナはルカにこう言う

 

「ルカ。セイはね、意外と寂しがりやだから、これから、ちゃんと相手してあげてね」

 

「うん。セイくんのことは、ルカにまかせて」

 

「ふふ……ほんと、可愛いな」


そう言いながら、セツナはそっとルカの背を撫でる。

 

「セツナさんに撫でられて……ルカも、気持ちよさそうですね」


「うん。なんだか、私まで嬉しくなる」

 

「セイも、撫でてみたら?」


「えっ……僕も、ですか?」


「そうだよ。これからは、毎日一緒なんだから」

 

……はい。そうですね」

 

少し緊張した手つきで、セイはルカに触れる。


ふわりとした温もりが、指先に伝わった。

 

「ふぁ……セイくん。気持ちよくて、ルカ……うっとり」

 

「そ、そうですか……それなら、よかったです」

 

そのやり取りを眺めながら、セツナは満足そうに微笑んだ。

 

「うん。これなら安心だね。じゃあ、私はそろそろ戻るよ」

 

「はい。今日は、遅くまでありがとうございました」

 

別れの時間はいつもより少し早く、そして静かにやってきた。

 

(第98話に続く)