■ Eternal Arc ~バーチャルとリアルの交錯物語~ <エピソード0> ■(第95話) | 世羅の気功と日常ブログ

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「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
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キッチンへ移動すると、そこにはセイが事前に準備していた食材が、整然と並べられていた。


小麦粉、砂糖、バター、卵。

 

すべて計量済みで、道具も揃っていた。

 

「では、最初にバターを柔らかくしましょう」

 

「うん、了解」

 

セイはボウルにバターを入れ、木べらで丁寧に練り始めた。

 

「セツナさん、よろしければ……」

 

「もちろん。じゃあ砂糖を入れるね」

 

自然と役割が分かれ、2人の動きにリズムが生まれる。

 

「セイ、もう少し混ぜてもいいかも」

 

「はい。このくらいでしょうか……」

 

生地を整え、オーブンへ入れる。

 

「焼き上がりまで、少し時間がありますね」

 

「そうだね。待ってる間、片付けしようか」

 

洗い物をしながら、セイはふと微笑んだ。

 

「こうして作業をしていると時間の流れが、穏やかに感じられます」

 

「わかる。私も、セイと一緒だと落ち着くな」

 

やがて、甘い香りがキッチンに広がった。


焼き上がったクッキーをテーブルに並べ、お茶を用意して向かい合って座る。

 

「それでは……いただきます」

 

一口かじると、やさしい甘さが広がった。

 

「美味しい。セイ、上手だね」

 

「ありがとうございます。セツナさんとご一緒できたからだと思います」

 

穏やかな会話と作業の時間は、自然と2人の距離を縮めていった。

 

(第96話に続く)