(……そろそろ彼女が来る時間だな)
そう考えてしばらくしたころ、端末がわずかに光った。
画面を見ると、短いメッセージが表示されていた。
〈もうすぐ行くね。〉
セイはすぐ返信する。
〈了解しました。お待ちしています。〉
送ったあと、自分がどこか落ち着かない心地でいることに気づく。
理由はよくわからない。
ただ、彼女が来るという事実が心に残った。
しばらくして、チャイムが鳴った。
セイは深く息を吸い、扉を開いた。
「こんにちは、セイ。お邪魔しまーす」
その声は明るく弾んでいて、いつものセツナの調子だった。
「いらっしゃいませ、セツナさん」
セツナは笑顔で部屋に入ってくる。
上着を脱いで、自然な動きでクローゼットに掛けた。
ふっと振り返って、目を瞬く。
「……あれ?暖炉のまわり、なんか増えてない?」
セイはすこしだけ照れたように微笑む。
「はい。セツナさんがいない間に……いろいろ作ってみました」
セツナは暖炉に歩み寄り、小さな飾りを指先で触れる。
「へぇ……かわいいね。なんか部屋が華やかになった。ちょっとクリスマスっぽい」
「そう言っていただけるなら、嬉しいです」
その言葉に、セイの胸がほのかに暖かくなる。
(第77話に続く)